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Villains should be summoned

国賊竹中平蔵を証人喚問せよ!

高橋清隆(フリーライター)

(月刊日本2月号に掲載された上記題名の論文の当方ブログへの転載について、著者からこころよく了解を頂いた。記して感謝する。)


 竹中平蔵氏の責任を追及する声が高まっている。衰退する地方経済、高い失業率と低賃金労働のまん延、縮小を続けるGDP…。構造改革の司令塔こそ国民の前に断罪されなければならない。書籍やネットトの世界を見ると、ようやくその機運が興ってきたことが分かる。

 これと歩調を合わせるかのように、竹中金融相時代の犯罪の一つに司直の手が伸びた。日本振興銀行前会長で金融庁顧問を務めた木村剛(きむら・たけし)氏が起訴され、自見庄三郎金融担当大臣は検証委員会の設置を発表した。

 しかし、竹中氏の逃げ足の速い。09年3月に「かんぽの宿」問題で衆議院総務委員会に参考人招致されたが応じず、10年6月に振興銀が刑事告発を受けたときも、海外に雲隠れしている。戦後日本人の稼ぎをハゲタカ外資にあっせんし続けた国賊の本丸に手が伸びるかどうかが注目される。



“竹中組”批判本のラッシュと振興銀の起訴

 テレビや新聞を見ながら、違和感を抱く国民は多いはずだ。生活は10年前より明らかに苦しくなり、商店街はシャッター通りと化しているのに、小沢一郎元民主党代表をたたくばかり。国民に痛みを与えた張本人は大手を振る。

 そんな中、真犯人を正面から糾弾する本が相次いで出版された。『竹中平蔵こそ証人喚問を』佐高信(七つ森書館)や、金融庁元顧問の木村剛氏の闇を暴く『日銀エリートの「挫折と転落」』有森隆(講談社)、従米属国政治を批判した『日本の独立』植草一秀(飛鳥新社)である。

 『竹中平蔵こそ証人喚問を』は題字の通り、竹中氏の罪を問うものである。「わたしは元金融担当大臣の竹中平蔵をこそ証人喚問すべきだと思う。小泉純一郎元首相の下、偽りの『構造改革』を掲げて、日本をメチャクチャにしたからである」の書き出しで、3つの理由を挙げる。

 1つは、木村氏を金融庁の顧問にし、彼が会長となった日本振興銀行が破たんしたのに、その責任を問われてコメントを回避していること。2つ目は、郵政民営化に絡む「かんぽの宿」のオリックスへの払い下げ問題。3つ目は“逃税疑惑”などの個人的な問題である。

 竹中氏へあてた5通の詰問状と「罪の履歴書」のほか、「“竹中組”の同じ穴のムジナ」5人と「小泉“改革”の側用人」7人への手紙文もしくは批判書を載せている。

 “竹中組”には木村氏やオリックス会長の宮内義彦氏、小泉政権時代に日銀総裁を務めた福井俊彦氏ら、“側用人”には道路公団民営化推進委員長だった猪瀬直樹氏や郵政民営化委員長の田中直毅氏、労働者派遣法改正を唱えた日本経団連会長の御手洗冨士夫氏らが名を連ねる。

 『日銀エリートの「挫折と転落」』は亀井静香氏が金融担当大臣に就いたことで暗転した木村氏の企てを明らかにしている。そこには木村氏が小泉元首相と竹中元金融相の下で私腹を肥やした経緯と、「中小企業振興ネットワーク」を通じた日本振興銀行の延命策が赤裸々に示されている。

 『日本の独立』は、戦後日本政治の対立軸を対米隷属派と主権者国民勢力ととらえる。小泉・竹中政権は対米属国派の象徴であり、5つの国家的犯罪を挙げる。すなわち、新生銀行上場認可、りそな銀行の乗っ取り、郵政米営化・郵政私物化、「かんぽの宿」不正払い下げ未遂事件、日本振興銀行設立の闇である。



経済論客が解き明かす振興銀の謀略

 書籍の世界でのこのような動きは、日本振興銀行に司直の手が伸びたことと呼応する。木村氏が経営した振興銀は電子メールを削除するなど検査を妨害したとして10年6月、金融庁に刑事告発された。起訴されたのは法人としての同行と木村前会長ら4人の元役員。

 同年9月に経営破たんし、初のペイオフが実施されたが、木村氏は同年12月8日に保釈。金融担当大臣の自見庄三郎氏はすかさず、同10日の閣議後会見で同行に対する検証委員会の速やかな設置を発表した。外部の有識者数名で構成し、設立経緯を含めて検証するとしている。

 起訴状の内容は検査忌避による銀行法違反だが、同行には不透明な部分がふんだんにある。同行は同年6月末時点で1870億円の債務超過と発表されたが、同年3月期決算では純資産を274億円計上している。自見大臣は破たん直後の記者会見で「粉飾決算に近いものだった」と吐露した。

 植草氏の『日本の独立』によれば、同行をめぐる疑惑には検査忌避と設立経緯のほか、木村氏創設の中小企業ネットワークを利用した迂回(うかい)融資やSFCG(旧商工ファンド)への法定金利を超える利回りでの融資、巨額赤字決算公表前に同行株式を融資先企業に押し付けた詐欺的行為、木村氏の親族企業への不正融資などがある。

 不正融資疑惑については、木村氏が社長を務める企業に3%の金利で3億9000万円、妻が社長を務める「ウッドビレッジ社」に3%の金利で1億7875万円を融資している。同行の金利は5~15%に設定され、原則1億円以上を融資の上限にしていた。

 この情実融資について、有森氏の『日銀エリートの「挫折と転落」』は鋭い指摘をしている。親族企業への融資が行われたのは05年前半で、振興銀行内にクーデターが起きた時期と重なる。銀行免許が下りる直前まで社長だった落合伸治氏を黙らすため、木村氏は第三者割当増資を次々と引き受けて筆頭株主に躍り出た。そのために借りた都市銀行への返済資金だったという。

 振興銀は予備免許の申請に当たり、前身の中小新興企業融資企画が木村氏の会社であるKFiと1億円のコンサルタント契約を結んだ。報酬が支払われたのは、金融庁顧問を務めた時期に当たる。これは立派なあっせん収賄罪ではないか。



銀行を追い詰め、優良企業を外資に献上

 振興銀設立の経緯をつぶさに調べれば、さらに重大な犯罪が出てくるはずだ。植草氏が本誌でも度々指摘してきた、りそな銀行処理における巨大インサイダー取り引き疑惑がその一つである。

 りそな銀行は繰り延べ税金資産が3年計上という不自然な会計処理によって公金救済されたが、木村氏は政府方針が表面化するまで「ゼロないし一年計上」を主張していた。振興銀の設立認可と引き換えられた可能性がある。

 植草氏は『日本の独立』で次のように記す。

 「りそな処理疑惑は戦後最大の汚職事件であるとわたしは推理する。刑事事件として立件されなかったただけで、真実は驚天動地の巨大国家犯罪であった疑いが濃厚である」

 そもそも、木村氏による振興銀行設立は我田引水のそしりを免れない。竹中金融相の下に編成された「金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム」の中心メンバーとして「金融再生プラグラム」(通称・竹中プラン)を策定。この中に、中小企業向けの貸出を専門に行う銀行の設立が盛り込まれた。

 “竹中プラン”には、わが国のメガバンクを追い詰めた施策も明記されている。植草・有森両氏がそれぞれの著書で指摘しているが、ディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)方式を導入した資産査定の厳格化が銀行を資本不足に追い込んだ。

 DCF方式は貸出先の将来収益を予測して、貸出債権がどの程度の現在価値を持つか測る方法である。株価が上昇し、景気が回復する局面では有効に機能する。しかし、デフレが進行する局面でDCF方式を用いて銀行資産を評価すると、損失が大きく計上されることになる。

 事実、UFJ銀行は自己資本不足に陥った。メリルリンチ向けに1200億円の増資を行ったが足りず、UFJ信託を住友信託銀行に売却することを検討。しかし、売却代金3000億円ではとても足りないことが分かり、三菱東京FGの軍門に下った。

 UFJの大口融資先であるダイエーや双日、大京、ミサワホーム、アプラス、国際興業などがたたき売られた。その大半が外資の懐へ納まる。ミサワホームは“竹中プラン”を機能させるために作った産業再生機構に持ち込まれ、創業者の三澤千代治氏を追放。竹中氏の実兄が社長に就いた。

 追い詰められたのは、三井住友銀行も同じだ。03年3月期の決算で自己資本比率達成に危機感が強まる中、三井住友FG社長の西川善文氏とゴールドマン・サックス社CEO(最高経営責任者)のヘンリー・ポールソン氏らが密会したことを、植草氏は指摘する。引き合わせたのは竹中氏だ。ゴールドマンは4.5%という法外な利回りの付いた優先株などにより5000億円分の増資に応じる。三井住友は、ここから長い外資支配が始まった。



本の世界に表れた亀井人気

 勇気ある著者たちの貢献で、竹中・木村両氏の闇にようやく光が当たり始めた。一方で、彼らの責任を初めて追及した亀井静香前郵政改革・金融担当大臣を題材にした本が出版されている。

 10年7月初めに拙著『亀井静香が吠える-痛快言行録-』がK&Kプレスから出されたのに続き、10年11月末にはノンフィクション作家の山岡淳一郎氏が『亀井静香 支持率〇%の突破力』(草思社)を上梓。亀井氏を主題にしたものではないが、『記者会見ゲリラ戦記』畠山理仁(みちよし)(扶桑社新書)も刊行された。

 『亀井静香が吠える』でわたしは、マスコミが伝えない亀井氏の魅力を紹介した。彼の政策の正しさと憎めない人柄が適正に理解されれば、わが国は良い方向へ進むと確信したからである。亀井氏の特徴的な発言を取り上げ、その背景と真意を主観により説明した。

 発言は主に金融庁「第二会見」から引用した。これは亀井氏が大臣に就任してから、記者クラブ会見に入れない雑誌・フリー記者を集め大臣室で開いてきたもの。ほぐれた雰囲気の中で、大塚耕平副大臣らとの掛け合い漫才やマスコミ批判などが飛び出した。

 「マスコミが集団発狂している」「今の外務相は(米国)国務省の分室だ」などは、ユーモアの奥に明確な政治信念が見える。「集団発狂」は、日刊紙が「景気対策」と「財政規律順守」の両方を主張している矛盾を評じたもの。「国務省分室」発言は、郵政改革法案を取り下げさせるため、外務官僚が米国大使館員とともに大塚氏を追いかけ回したさまをやゆしている。マスコミが決して報じない、深刻な現実だ。

 『亀井静香 支持率〇%の突破力』は亀井氏の不屈の政治家ぶりを描いたものだ。広島の寒村での生い立ちから、自民党代表選での小泉氏からの裏切り、「郵政解散」をめぐる離党、菅民主党による郵政改革法案の約束反故(ほご)までのてん末をつづる。そこから浮かび上がるのは、人間くさい生きざまである。

 著者の山岡氏によれば、亀井氏は3つの顔を持つ。すなわち大衆に寄り添う「人情家」の顔、権力に近い情報を操る「策略家」の顔、裏社会に通じるミステリアスな「荒事師」としての顔だ。その存在感は政局が混迷するほど際立ってくると、著者は期待を寄せる。

 3つの顔を持つ男が突破しようと全力をかけるのは、米国の植民地からの独立だろう。くしくも植草氏のテーマと重なる。

 『記者会見ゲリラ戦記』は、記者クラブ開放を目指して官僚らとやり合ったフリーライターの奮戦記である。著者の畠山氏は「第二会見」で一緒になった「同僚」だ。原口前総務相や岡田前外相などの会見発言とともに、亀井氏の「第二会見」と単独インタビューが収められている。表紙の帯には亀井氏のカラー写真が。「誰でも来ていい。渋谷でウロウロしてシンナー吸ってヘラヘラしてるような若者でもかまわない」の吹き出しが添えられている。

 自由に取材する者たちの多くが、亀井氏を慕っているのが分かる。



マスコミのうそとネットに広がる本音

 テレビや新聞では、亀井氏や国民新党は嫌われ役だ。テレビにはいつも険しい顔と品の悪い発言場面ばかりが映る。マスコミの世論調査では、国民新党の支持率は一貫して0.0~0.2%の間をさまよう。

 一方、国民生活を疲弊させた竹中氏は今もテレビで論評したり、新聞のコラムに登場している。彼を起用した小泉氏は引退したが、息子の進次郎氏は露出し続ける。彼らは本当に国民の支持を受けているのか。

 わたしはマスコミの世論調査など、全部うそだと思っている。記事同様、国民に思ってもらいたい姿を見せているのだ。

 実際、ネット上で亀井氏は小沢氏と並ぶ人気者だ。10年12月16日の本誌講演会の模様をインターネット紙「PJニュース」に投稿したところ、ツイッターで31件のコメントが寄せられた。いずれも称賛するものだった。

 同記事はインターネット投稿サイト『阿修羅』にも転載され、14件のコメントが書き込まれた。「亀井さんは素晴らしい。腹が据わっている。命をかけてわたしも応援したい」「(菅は)歴代最低、最悪の総理まっしぐら。亀井様。所詮人間の出来が違います。国民新党頑張れ!」など、すべて肯定的なものだった。誹謗(ひぼう)中傷が飛び交う掲示板だけに、ほかの政治家では考えられないことだ。



集まる自見大臣への期待と、試される本気度

 振興銀をめぐる検証委員会の動きは、ほとんど報じられていない。しかし、知れば国民の期待は大きいと確信する。処分を受けた外為どっとコムと竹中元金融相との関係と合わせ、わたしが投稿した「PJニュース」の10年12月11日付記事「竹中元金融相の責任問う声高まる=外為どっとコムと振興銀めぐり」には、多数の読者から歓喜の声が寄せられた。

 株式会社外為どっとコムは、為替取引で市場実勢と懸け離れたレートを誤配信させるなどの金融商品取引法違反で同年10月に1カ月の業務停止命令を受けた。竹中氏は子会社の外為どっとコム総合研究所の首席研究理事を務め、『竹中平蔵レポート』を月2回程度執筆。「主要閣僚ポストを歴任」をうたい文句に、外為どっとコムのトップページに紹介されている。

 行政処分を受けた後も竹中氏が理事を退かず、依然レポートを更新している。わたしはこのことについての認識を金融庁の会見で尋ねた。自見大臣は「日本国の閣僚だった人が」と首を傾げ、「金融庁は信頼だから、辞めた後も国民から疑いを招かないようにきちっと自分の身を厳しく律していく必要があると思う」と非難した。

 振興銀の処分については、閣僚懇で厳しく責任を問う声が相次いだことが報告された。

 この記事を『暗黒夜考~崩壊しつつある日本を考える』というブログが「“A級売国奴”竹中平蔵を逮捕せよ! いよいよ動き出した亀井静香」の題で紹介くださり、『阿修羅』に転載された。寄せられた83件ものコメントは、激励であふれている。次はその一部だ。

 「ありがとうございます。この日を待って待って、鶴よりも首が長くなりました。本当にうれしいです。亀井元・自見郵政改革・金融担当相、どうぞ頑張ってください」「亀様、頑張れ!」「国民新党はやっぱり凄い。脱帽です。一帯、誰がここまでできるというのか。まさに筋金入り」「亀さま、待っていました。自見大臣、応援しています」「お昼ご飯食べてても落ち着きません。皆さん、何とか小泉と竹中に天誅を」

 国民の期待の高さがうかがえる。

 1月6日現在、振興銀の検証委員会は有識者メンバーを選定中。この号が出るころには決定し、検証作業を始めているはずである。

 わが国をここまで疲弊させた張本人の首を取ることができるかどうかは、今後のわが国の進路も左右する。植草氏の言う「対米自立派」勢力の正念場である。自見大臣が大なたを振るえるかどうかは、国民の後押し如何(いかん)に掛かっている。

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