構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

« Chinese Threat 3 | トップページ | Inner Mongolia »

Disaster Trades

政策決定の権利も奪うTPP
その仮面を剥ぐ著書

 アジア太平洋地域で自由貿易を目指すTPP(環太平洋連携協定)の第4回交渉が、ニュージーランドのオークランドで行われた12月6日、オークランド大学のジェーン・ケルシー教授は「日本でも郵政民営化の見直しが大きな課題になっているが、ニュージーランドでは多くの国営企業を民営化して失敗した。再度、国有化している。TPPでは、また民営化の懸念が強まる」と語っていた。

 ケルシー教授は、貿易に関する国際協定に詳しく、TPPについても「政策決定の権利が金融資本に奪われる」と警鐘を鳴らしてきた。

 「TPPは、ありきたりの自由貿易協定ではない」と、その本質を鋭く突く著書をこのほど出版した。「通常の貿易協定ではない~TPPの仮面を剥ぐ」(NO ORDINARY DEAL?UNMASKING FREE TRADE AND THE TRANS?PACIFIC PARTNERSHIP AGREEMENT)

 「TPP支持者たちは、ニュージーランドの酪農産業にとって、閉ざされている米国市場を開かせる魔法の弾のように言う。オバマ大統領は雇用と景気回復の鍵としてTPPを売り込んでいるが、一方で国内市場はしっかりと保護しており、こうした問題についてのいかなる論証もない」
 「加盟国の間では既に多くの自由な取引協定がある。実際に米国の酪農市場がニュージーランドに開放されると、誰が信じるだろうか。また、中国、インド、日本が、果たして締結するだろうか。誰も、その虚偽を暴露しようとしない」
 「TPPを通商協定とするのは全くの誤称か詐称だ。TPPは本来、輸出入についての協定ではない。その義務は、一国の政策と議会の責任の中核的な領域に侵入する。食料安全基準のみでなく、金融サービスや雇用にも影響が及ぶ。外資は投資を損なうかも知れない法案を提訴することができ、国の政策をも支配することになる」
 「何よりも通常の通商協定ではないTPPは、グローバルな自由貿易の名の下に(それを進めた政府さえ)失敗と認めているネオリベラリズム、市場原理主義モデルの中に、加盟国をより深く埋没させる謀(はかりごと)を露呈させている」
 TPPは単に農業問題のみでなく、食糧の安全、雇用や金融サービスなど、あらゆる分野でのさらなる開放が求められる。
 国の意思決定に米国主導がますます強まることが懸念される。国のあり方そのものに大きな影響を及ぼす問題を孕んでいる。市場に全てを委ねて、国民を守る政府の役割を放棄することになりかねない。

 食糧に限っても、国連人権理事会報告では「世界の食糧産業が巨大な多国籍企業に支配され、小規模農家の収入が減少」していることを明らかにし、「国が小規模生産者への支援を強化、企業に価格政策を変えさせること」、さらに「農業労働者の賃金や労働条件の権利保護の重要性」を指摘している。
 TPP推進派は、参加しないと大企業が海外へ“逃げ”、雇用も失われるとする。農業も含めて関税をゼロしないと、輸出先の関税もなくならず、国際競争に負けるとの主張だ。また、法人税の引き下げも実施されようとしているが、その理由に国内投資と雇用拡大を挙げる。

 しかし、本当に雇用や下請に回るのだろうか。内部留保や株式配当に回るだけで、消費税の引き上げに通じるものならば、経済の危機を打開し再生を図ることと逆行する。輸出一辺倒から転換、家計を温めて内需拡大を図る政策が、経済再生のカギだ。

 国民の命に関わり、国土の保全に重要な役割を果たしている農業を守り、一部の大企業に集中する富の再配分を政治の力で行うことこそが急務。
 農業や金融、雇用など幅広い分野、さらに国の政策決定権利までにも影響が及ぶTPPについて今一度、立ち止まって冷静に判断すること、そして市場原理主義によって格差が拡大した国のあり方を問い直すことが、政権交代の意味だったことを、改めて再認識すべきだ。
(麦秀の嘆)

http://www.tsushin-bunka.co.jp/?p=928

|

« Chinese Threat 3 | トップページ | Inner Mongolia »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/209267/50501385

この記事へのトラックバック一覧です: Disaster Trades:

« Chinese Threat 3 | トップページ | Inner Mongolia »