構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Lost Idol and Fake Privatization

今朝(1月30日、日曜日)は、山形の月山に近い町のホテルで朝食をとった。降り積む雪の中を、友人がコンビニで買ってきた頂いた日本経済新聞の朝刊を手にして、内心の怒りで手が震えた。前の日に月山の山中の集落を訪ね、4メートルを超える積雪の中で屹立するかのような郵便局のけなげな局舎を見たばかりであったから尚更の気持ちが募った。

商船三井最高顧問の肩書きが末尾に麗々しく括弧に入って記されている、生田正治氏からの聞き書きである「私の履歴書」を読んだ。「私の履歴書」は一時代の画した経営者の回想録で、日本経済新聞の人気コラムである。

「優秀な官僚が使命感を持って行動するときの力はすばらしい」と述べて文章が始まる。郵政民営化法案が可決されたときの郵政公社の幹部の動きのようであるが、馬鹿げたことで、郵政民営化法の可決を喜んだ幹部がいたとすれば、今となっては、市場原理主義の虚妄を知らずに盲従した軽薄官僚、あるいは、判断力を失ったイエスマンの官僚、又は冤罪を生んだ暴走検察のようなこととでも書くべき話である。船会社の希代のワンマン経営者のもとに、公社官僚が無批判に従って、忠言する者もいなくなり、地方や、郵便局長をいじめているだけの戯画?を想像した。チャプリンの独裁者の世界を礼賛するような一文であり、郵政民営化が実は官僚支配にすぎないことを吐露したのかも知れない。

さて、「株式売却の凍結は民営化事態の凍結だ。郵貯の預入限度額を2000万に引き上げることはまさに時代逆行。経済と財政規律の歪みを増す。」と最後に書いているが、連載が29回目を迎えており、その前の記事に何を書いてあるかは筆者は読んでいないが、驚きの結語である。国会であれほど議論されて株式凍結法案が可決されたことに対して「時代逆行」と決めつけることには驚きを禁じ得ない。公社の総裁を務めた経歴を反故にしてしまいかねない、倒錯した政治的な主張である。「歪みを増す」とは、市場原理主義の歪みの方が被害甚大で、構造改革論の民営化が、私物化であり、また外国勢力と結託した投機経済の一翼を担っていたことが明らかになる中で、何らの反省も感じない横柄があるようだ。経済界の指導者のひとりと目されてきた人物の回想録であるだけに、郵政公社の総裁の地位が、トロイの木馬の戦士として、民営化推進のための走り使いの役割を果たしただけだったのかと想像するにつけて、暗澹たる思いと失望にとらわれる。市場原理主義の世界戦略からすれば、プレスリーの真似をしただけではあるが、そのお先棒担ぎの一翼を担って日本を破壊した小泉・竹中政治の側用人を務めただけのことであったらしいすれば、慚愧にたえない。

紙面を手にする両手が怒りで震えたのは、「制度疲労が目立つ特定郵便局制度の近代化」などと暴言がすぎるからである。「積年のしがらみや不合理な慣行が低い生産性とコスト高の要因になっていると思った」と述べた上で、年間数十日、公費で出張して集まるなどと事実に反する認識を前提に、部下にあたる郵便局長に対して悪罵を投げつける経営者の独善をかぎとるからである。「実質的な人事権や、局長による局舎の提供など「会社の中の会社」の観もあった」とするが、相当な被害者意識にもとらわれていたらしい。「古参局長の中には旧態を維持することに使命感を持つ者もいて、政治と称し政界の一部に毎年多額の献金をしたり、選挙になると集票やポスター貼りに励んだりしていると聞く」とのくだりに至っては中傷以外の何者でもない。政治活動は、原則的に自由になったのではないのか。民営化の代償ではないのか。郵政民営化でよくなったのは、政治活動が自由になったことだけだと揶揄する意見があることすらご存じないようだ。私怨を感じる空威張りの文章である。多額の政治献金をしたり、大量の政治宣伝を広告会社を動員して、はちまきをして郵政民営化を叫んだのは、自動車会社の幹部であり、小泉・竹中政治を支えた経済団体ではなかったのか。生田氏が所属していた経済団体の座長は、とある女性政治家の後援会長を務め、政治資金団体の責任者をしていたではないか。「部会・連絡会をやめて特定局長が常在戦場の覚悟を持って自局で働くはずだったのに、民営化と同時になぜか逆走してしまった」と書くに至っては、公社総裁時代にも、郵政の歴史や文化はもとより、組織の末端の経営の現実や郵便局に閉じこもりうつむいて仕事をするようになった郵便局長の悲哀に対する理解が決定的に欠落していたようである。それまで、うまく機能していた郵便局制度を攻撃して、郵便局長を疲労困憊の極みに追いやったことを近代化と言うのだろうか。民営化とは郵便局つぶしだったのか。

当方ブログは、私の履歴書の第29回目の記事を読んだだけであるが、事実の誤認を含めて、こうした見識と自制を欠いた経営者の一方的な発言に対して、黙認するわけにはいかない。

「私の履歴書」の連載がいつまで続くかのか知らないが、前後の「私の履歴書」も近々読んだ上で、改めて感想を、当方ブログに掲載するが、とりあえず、抗議の意思を明確にしておきたい。郵政民営化見直し法案が国会で継続審議になっており、その審議日程が話題になる中で、妨害しようとする悪質な政治宣伝の記事ともなっている。場合によっては、記事を掲載した日本経済新聞にも抗議の意思を伝えることにしたい。電話番号は、日本経済新聞 03-3270-0251である。ご参考まで。なお、商船三井(広報室)の電話は、03-3587-7223である。これまたご参考まで。

また、当方ブログの読者の皆様、当該新聞欄の読後感をコメントとして送付して頂くことをお願いしたい。郵政民営化の見直しを確固とするためにも、惨害をもたらした郵政民営化と推進した勢力の残党に対してはっきりと抗議の声を上げることが必要であり、その抗議の輪を広げる好機となればと思う。

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コメント

この人は自分が進めた国際物流戦略についてどのように書くのだろう。
民営化の代償として国際物流に進出できるとされたが、自らの判断の誤りで、TNTと組み結局は何もうる事ことができず、また、中国郵政との提携も何ももたらすことがなかった。
自らの失敗についてこの人はどのように書くつもりなのだろう?

投稿: 天網恢々 | 2011年1月30日 23時37分

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