構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Turmoil and its Cause

郵政民営化の闇の、氷山の一角ではあるが、日本通運の不採算部門が日本郵便と統合された(押しつけた?)闇の一部が、露見しつつある。天網恢々疎にして漏らさずである。大震災があって、いよいよ郵政民営化の闇のほころびが明るみに出た。悪事は必ずばれる、烏天狗どもの羽音が闇の中で未だに聞こえるが、無明の闇に一灯を掲げる人がいる。光が当たれば、妖怪変化は消えてなくなる。福島県の災害地で、唯一の金融機関としてなお機能して頑張っている郵便局の関係者の尽力に心からの敬意を表する。郵政民営化の破壊を今こそ修復すべきだ。郵政民営化は人災であった。

http://www.tsushin-bunka.co.jp/?p=1153

●新生ゆうパック混乱の原因と改善すべき点

[元東京小包局長]佐藤喜孝㊤
「新仕分け番号」
「日通TM」使用が主因

 昨年7月1日、ゆうパックがJPEXを統合してスタートした。初日からの混乱でマスメディアの格好の材料となり、また、そのことと関連し1000億円を超える大幅な赤字決算が見込まれることとなり、総務大臣から報告を求められたことは記憶に新しいことである。
 一方、郵政事業の抜本的見直し(郵政改革)については、一昨年10月に閣議決定されておりながら、その行方が心配されているところ、一連の動向が休止状態にあった郵政民営化委員会を目覚めさせるなどの影響も見逃せないところである。
7月統合時の混乱は、なぜ生じたものであろうか。
 西川前社長による日本通運との統合基本合意が如何に無謀だったかということはあるが、経営陣交代後のことである以上、その原因究明が別に必要である。
 7月1日統合の危うさを指摘する声が現場にあふれていた中で強行され、混乱をみた原因は、事業を覆っている本社偏重・現場軽視である。それは異なる意見を言う者は、たちまち左遷されるという形の「見せしめ」によって、深く広く浸透してきたものである。
 これらの状況は、公社化・民営化に伴って強大な政治権力を背景に乗り込んできた民間経営陣の圧倒的権威の下に醸成されたものであったことに思い至るのである。
 その典型例は「JPS」である。特に作業現場での工夫改善に経営の活力を求めるトヨタ方式を標榜しながら、上意下達という真逆なことを続けたことは「ものが言えない、従って考えない」風潮を根付かせてしまっている。
 以上のような土台の上にJPEXを統合する計画に際し、自ら脳髄を振り絞って計画することをせず、「外部の力」に頼り、そこに人事権まで付与したことが組織全体を一層死に体にしたものと思われる。
  「ものが言えない、従って考えない」風潮の浸透は郵便事業会社の目的等(会社法第1条や3条3項)や郵便法の目的(法1条)に視線が向かず、「荷物の個数増加」だけを目的とする運営が続いてきた結果である。
 昨年11月19日の総務大臣への報告書では、このような組織全体について深い考察が行われている様子が窺われる。それが実行されるならば、災いを転じて福となるのではないか、是非そうなって欲しいと願う。
 ここでは、大臣報告には出てこない具体的な問題点を、「新仕分番号の採用」と、その裏腹の関係にある「日本通運ターミナル(TM)」の使用だと見て、OBだからできる忌憚のない意見を述べることにする。
 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
 郵便事業は、統合に当たって「新しい仕分番号」と「バーコード」を作った。その実施日は2010年7月1日である。
 輸送基地には前日までの引受(JPEX番号や郵便番号の)ゆうパックが到着する。それは「新しい仕分番号」対応の区分機にはなじまない。
 JPEXから引き継いだ日本通運TMは、栃木貨物・埼玉貨物など日本通運の取引会社である社員が運行しており、7月1日の午前0時を期して郵便事業会社の非常勤職員となる。中には、雇用継続しないで0時を以て退職していく者もあった。
 7月1日からの引受ゆうパックは、郵便局窓口端末機・携帯端末機で郵便番号を打鍵入力して、新仕分け番号コードの印刷されたラベルを貼り付ける。大口集荷を含めてラベルのないものは、郵便事業会社の職員が差立便までの間に、ラベルを貼るという計画だった。
 7月1日は、お中元ゆうパックのお届け開始日であった。これら大口差出し業者にはラベル貼付の依頼をしたが、郵便局会社が「ラベル無添付の場合は郵便事業会社で貼付する」としていたこともあり、輸送基地に持ち込まれたものも含め、ラベルの付いていないものが多数生じた。上り便の差立前に貼付が終わらず差立便が遅れる例も多発した。
 このようにして、輸送基地にはラベルなしのゆうパックが大量発生し、予想外に手作業が増加、作業能率が低下する、そのため作業エリアが塞がり、運送便が到着しても取り卸しができない。到着便のトラックが輸送基地近くの路上に長蛇の列をなし、交通警察の出動という事態になった。
 便編成ができなくなって集配基地への便に遅れが出る。それが配達の遅れになる。7月の混乱は、このように局会社との連携も含め、新仕分けコードに起因する事態を引き金に、悪循環が重なったのであった。

●新生ゆうパック混乱の原因と改善すべき点㊥

「新仕分番号」の必要性と効果に疑問

「新仕分番号採用」は発足時の混乱要因であったことに加え、流れが落ち着いた業務の中で見過ごされやすい大きな問題を抱えている。そのためには、新仕分番号の必要性や効果を理解しておかなければならない。
 ◇◇◇◇◇◇◇◇

  新仕分番号について郵便事業会社は、次の通りに説明している。
 ここに見るように、新仕分番号は、上2桁で輸送基地を、4桁までで集配基地を表す。また、北から南へ整然と付定されている。
 5・6桁の末尾には99をつけて、これを従来と異なるという意味の識別番号だと言う。しかし、4桁のままでも従来と異なっているのだから、識別番号を付定する意味はない。冒頭から「仕分けコードは、JPEX他、宅配事業者で使用している6桁番号とする」と、6桁にしただけである。
 重要なのは次である。
  「統括支店の施設の制約、運送時間の関係から、郵便の統括支店と荷物のターミナルが異なる地域が存在するため、上2桁コードについて郵便番号と同一のコード番号は付定できない」
 ここで「異なる地域が存在するため」と「自然現象観察記」のように書いているが、自らが決定したことをこのように書くのは責任回避と言うしかない。
 ◇◇◇◇◇◇◇◇
 具体的な例を栃木県で見る。
 栃木県一円は郵便番号32地域である。もともとは統括支店(宇都宮東)が、郵便もゆうパックも地域区分事務を行っていた。
 それを新仕分番号27にし、新たに日本通運の佐野TMを借りて28を付定、南部地域を担当させた。
 栃木県一円に二つの輸送基地ができると、全国の他地域からは分けて送らねばならない。分割したエリア毎に、郵便とは異なるゆうパックのための2桁単位のコードを付定する必要があると考えることになる。
 それは「統合すると物が多くなって宇都宮東だけでは処理しきれない」ことを前提としているのであろう。しかし、この前提自体が吟味されねばならない。

 今度は茨城県を見る。
 茨城県は、郵便番号30地域を土浦が、31地域を水戸中央が受け持ち、地域区分事務を行ってきた。
 JPEXと統合後は、両支店では郵便だけを受け持ち、ゆうパックについては、新たに県一円を26の新コードで谷田部にある茨城TMが受け持つ。
 この例は、仮に茨城TMが必要だとしても、二つの2桁地域を受け持つだけであるから新しい仕分番号付定の必要理由はない。

 福島県は郡山支店が福島県一円96・97の地域区分事務を行ってきた。統合に伴って日本通運の福島TMでゆうパックの地域区分事務を行わせることにしている。
 栃木県の場合と違うのは、日本で岩手の次に広く栃木県の倍以上の面積を持つ福島県を、分割ではなく丸ごと日通の福島TMに担わせていることである。ここでも、新仕分番号付定の必要理由はない

 以上のように「郵便の統括支店と荷物のターミナルが異なる地域が存在するため」ということは新仕分番号の必要理由にならない。日通TMを使う判断が先にあり、「民間で使っている6桁番号」を呼び寄せたに過ぎないと言うしかない。
 ◇◇◇◇◇◇◇◇
  「仕分けラベルの効果」に関してはJPEX時代のものであるが、宅配便統合(JPエクスプレス)の計画概要「平成21年5月現在」に次の記載がある。
【参考1:仕分ラベルの活用方法】ターミナルでは、区分機に荷物を供給した際、バーコード自動読取区分装置により、仕分番号を読み取ることによって自動的にあて先を識別し、区分することができます(区分機未配備ターミナルにおいては、手区分で処理します)。また、集配拠点に荷物が到着した場合、これまでは送り状に記載されたお届け先住所を見て配達担当者別に区分していたものが、仕分番号により区分することが出来るため、作業効率の向上に繋がります。
 ①新仕分番号=バーコードにより自動区分されるから打鍵作業は不要である。②5・6桁目の番号によって配達区分ができるから作業効率が良いという2点を挙げているが、②はJPEX時代のものであり、統合後については、そもそも5・6桁目は識別番号に変わっており意味がない。
 ①の自動読取効果については、新東京支店でOCRの自動読取が既に稼働していたこと、書状の自動読取で周知のように郵便番号もバーコードは持っている以上、新仕分番号だから自動読取というものではない。JPEX時代から使っていたTMに、そういうものが使われていたから引き継いだというにすぎない。
 深く認識すべきことは、このバーコード区分機による場合、日本全国の引受段階等で郵便番号を打鍵してラベルを打ち出し貼付するという前工程が必要であり、その機器の調達保守コスト、ランニングコストを要することである。特にそのような前工程は、引受全数に必要であるのに対し、現実に自動区分される数は一体どれだけなのであろうか。
 機械が入っていない場合はもちろん、変形や紐掛等で打鍵に回っているものもあり、21地域のように宛先数が少ないため円陣方式で十分なところもある。前工程を考えたら新仕分番号は、完全に総労働力を増加させている。
 次に、新仕分番号を導入した結果、同じ郵便施設で働く職員が郵便処理の場合は郵便番号を、ゆうパックには新仕分番号を対象にしなければならないことから判断にまごつき、誤区分、誤送の原因になることが挙げられる。
 以上、新仕分番号使用に必然性はなく、その使用効果にも疑問を持たざるを得ないことを見た。もちろん、現場で自動区分されている場面を見るとき、素晴らしい進歩と感じることはあろう。
 宅急便の創始者・小倉昌男の「経営学」では、「機械化は有効であり必要だと考えたが、実際にやってみた結果では…」と反省しながら事を進めたことを書いている。
 経営判断にはプランドゥシーがなければならない。

●新生ゆうパック混乱の原因と改善すべき点㊦

「日通TM」使用に合理性はない

 7月の混乱の原因を新しい仕分番号にあると見て、それを使わせた本当の原因は、日本通運のTM使用を先に決定し、設置してある自動区分機を使えば打鍵も要らない、民間宅配業界では一般的だから、ゆうパックにも6桁番号を使おうと簡単に考えたとしか思えない。
 これまで述べたように、仮に郵便とゆうパックを切り離して各別な輸送基地を設定したとしても、だから別な番号がなければならない訳ではなかった。別番号が必要となるのは、栃木県のような一つの地域を分割して輸送基地を設けた場合が典型例である。
 そして、それは①施設狭隘に対処するための避けられない方策だったかということと、②その施策によってどのような経営上の問題が生じるかの両面から考察すべきである。更にTMに付属する大型パレットの使用にも視点を注がねばならない。
 まず②について吟味する。
 新28地域には佐野TMをハブとして、ゆうパック専用の地域内便が設定される。宇都宮東支店からは郵便の地域内便が栃木県一円に従前同様に設定される。新27地域内宛のゆうパックも当然併送される。自地域発生の28地域内宛ゆうパックも郵便と併送される。
 新たに地域を分割した地域だけでなく、ターミナルを使用したところでは全てダブルネットが生じる。概括的に言えば、日本通運からTMを借りた地域では大なり小なりダブルネットが生じ、かつ地域間便も必然的に単送便となるから、全国における運送経費も必然的に増大する。このことは、計画設定の時点で当然分かっていたはずである。
 TMで使うパレットは高さが2メートル。郵便用パレットは1.7メートル、従前の専自のトラックにTMのパレットは入らない。日本郵便輸送が元請け契約をするとしても、結局は日通等の下請けに出すことになる。現在は6割までが下請けになっているということであるが、このことがまた新しい契約関係の妥当性の論議を呼ぶことになるであろう。
 郵便は重量物、荷物は容積物、郵便事業は実行上多くの比重で郵便用パレットを使い、それさえ過積載問題から下半分しか使っていない現実を見据えたとき、回転を含めて巨大なパレットに執心することは、部分最適は考えるが全体最適は考えていない姿と言うしかない。
 日本通運のTMを使用することは、施設借料(郵便用とは異なる大きなパレットの借料も)、電気、水道、ガス等々のほか、運送費の増大も全て是認するということである。
 ①の問題は実に重大なテーマである。結論から言うならば、栃木県一円においても、宇都宮東支店のみで足りるはずであり、TM使用は余計なことであった。施設の広狭を考える際は、区分運送についてのしっかりした理解の上に立って行わなければ、際限のない投資を要求することになる。
 運送業として、隔地間に物を運送する場合の鉄則は、発生地点からできるだけ早くトラックを発車させることである。トラック単位、それが無理でもパレット単位に荷量があれば、そこで作ることが重要である。トラックへの積載エリアを広くとり、積載種類を多くすることも単位荷量を作成する方策である。差立集中方式は、むしろ荷量がまとまらない場合の方策なのである。
 ゆうパックを営業する目的の一つは、全国に張り巡らせている郵便ネットワークを利用して(それが満杯で運行されているわけではないから)、集積のメリットを活かそうという考え方があった。今度の統合計画では、荷物は荷物だけで考えたものと見られる。
 陸運業界では「ペリカン便は日本通運のお荷物」と噂されていた。日本通運がペリカン便で赤字を出し続けていたことを知りながら、日本通運のTMを使えば黒字を達成できると判断したのだろうか。何とも解せないことである。
 JPEXはペリカン便とゆうパックを統合した会社を目指していたが、総務省の認可を得られないためペリカン便だけで発車したことで赤字になったという理解が一部にある。新生ゆうパック担当部門の中枢がJPEXから横滑りしてきた者によって占められているところを見ると、郵便事業がJPEXを統合する際に、「何故JPEXは認可されなかったのか」という反省を欠き、むしろ「JPEXの本格的な稼働だ」という気分で計画が進められたのではないか、そのような説得力のある見方もある。
 要は、何事も正攻法で進めなければならないという教訓であろう。
                    ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 昨年7月の混乱の具体的な原因として「新仕分番号」に着目し、それを必要とさせた要因を「日本通運のTMを使う」という判断にあると見た。そのことは直接的な借料等の支出増に止まらず、ダブルネットを作ることになるという大きな非効率となり、さらに2種類のコードを使わせることが現場の区分等作業において誤区分誤送の原因になるということも見た。
 処理要員等いろいろな投資をすることで、直接的な混乱はカバーできるとしても、根本的な問題が解決されているものではない。
 今後、郵便事業の方向を決定する際には、ここで提起された問題「①機械はどれほど有効なのか②区分運送方式が施設に及ぼす影響」を徹底的に検討すべきである。
 サービス残業ほかヤマトの労働問題が時々紙面を賑わす。運送会社の採用面接でヤマトの過酷な労働条件は聞いているが、長年勤続できない状況がヤマトの平均年齢の低さに表れているのではないか。どのような労働条件を作るかも経営が留意すべきところであると思う。ヤマトが目標であってはなるまい。
 郵便には、システムの研究余地が山ほどある。かつて運輸省が共同宅配を試行したことがあった。郵便が公共性発揮の中に事実上の独占を指向することも、環境の見地からはとがめられることではないと思う。
 年賀や特殊切手に依存しない、平常月から収支が均衡するような郵便事業を作ることは、事業目的達成のためにも必要なことである。是非、明るい展望を見せて欲しいと願うところである。
 在職中の小包に携わった経験をもとに、できるだけ正確に原因を探ることに努めた。限られた情報の下で、的外れな判断記述が混じっていることを恐れながら、正直な意見が公共財としての郵便の発展にいくらかでも参考になればと記述した次第である。

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