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TPP is a foreign conspiracy to destroy Japan

TPPは、日本と韓国を破壊しようとするはかりごとであることを、当該国の外交関係者が発言する電報が漏洩したとのことである。

TPPがいかなる問題を抱えているのか、もう一度整理しておきたい。ウィキリークスの公電漏洩により、TPPへの参加が見送られたのは、天の助けであるとしか言いようが無い。一色保安官が、YouTubeに中国漁船の体当たり映像を公表して、中国の陰謀が明らかになったことと軌をいつにしている。天佑である。

下記の拙文はご参考まで。

環太平洋経済連携協定が、菅内閣になって突然提起され、しかも異常な勢いで推進された。幸いにして、ウィキリークスにより、外国政府の公電が漏洩して、日本と韓国を潰す策略であることが表面化した。

外国勢力の陰謀が確認されることとなり、外交による歴史的な蛮行が強行されるのではないかと懸念する声が高まっており、日本の政治・経済を破壊しようとして、米国流の弱肉強食の資本主義を日本に導入しようとした小泉・竹中政治の構造改革の再来であるとの指摘もある。

アメリカが2008年9月に、投資金融の全ての分野の交渉に参加を表明して、昨年九月の尖閣諸島の近くで中国漁船の海上保安庁の巡視船に対する体当たり事件を契機に、菅政権は雪崩を打ってこの環太平洋経済連携協定(TPPと略称される)の推進に走ることになった。

しかし、冷静にTPPの本質と利害得失を検討することが重要で、そうでなければ、新自由主義の構造改革論を信じて上げ潮だと主張したが実際には引き潮で破綻したリーマンブラザーズの二の舞の様な社会経済の混乱と破綻の道を、歩むことになる可能性が大きい。TPPは、民主党に政権が交代してから、一旦棚上げ又は廃棄されたかに見えた、日米間における「年次改革協議」の再来であり、米国による日本改造の事実上の復活となる気配が濃厚となり、日本における市場原理主義の追従者が勢いづいている。

昨年の11月9日に、菅政権はTPPについて関係国と協議を開始すると閣議決定に踏み切ったが、党内論議はもとより、国会などで、議論が十分に行われた形跡はない。TPPは即時あるいは10年以内の例外なき関税撤廃を原則としている。参加にあたっては、FTAを結んでいない国(例えば日本に取ってはアメリカとオーストラリア)とは事前協議を行い、かつ参加国全員の同意を必要とするから、これまでの二国間のFTAとは全く内容が異なることになる。全ての品目を自由化交渉の対象とすることも敢えて宣言することになれば、「重要品目も生け贄に奉じて、白旗を掲げて降伏する」ことに等しく、強権的な政治手法は、小泉・竹中政治で採用された問答無用の恫喝を加える新自由主義に典型的な政治手法であり、市場原理主義の社会実験が中南米で行われたような政治弾圧や逮捕や投獄が頻繁に行われる事態は日本では見られないが、不起訴となった有力政治家を検察審査会で再度裁判に起訴する等、司法当局を巻き込んで政治冤罪が発動されているのではないかとの指摘も見られる事態となっている。鈴木宗男議員は、去年最高裁判所の決定により、収監され国会議員の職を失っている。マスコミの論調も、多元的な議論のない、表現の自由が制限されて、例えば政治家の発言なども捏造される事態や、報道されない事態が頻発している。

このように、尖閣列島における中国からの軍事的な圧力を含めた恫喝があった可能性があるが、それに対抗するとして、米国の経済植民地になる可能性のあるTPPを、議論もなく受け入れてしまうことは国益を毀損する可能性が大である。残念ながら、民主党内には、政権与党としての矜恃と使命感が欠落しており、郵政民営化に反対して構造改革の内在的な欠陥を追求して離反した当時の自民党議員と比べても、危機感が大きく欠落している。

TPPは、産業界にはこれを歓迎する向きがあり、筆者が参加したとある貿易団体の新年会に於いても幹部から歓迎するような発言が見られたが、TPPに潜む日本破壊の戦略を想像すれば、逆に、産業界としては、特に日本の基幹産業を支える経済団体などは、危機感を表明して警鐘を乱打することが識見であると考える。

TPPは、経団連などの団体が支持しているとの見方がある。前原外務大臣(当時)が昨年10月19日に「日本のGDPの第一次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守る為に98.5%のかなりの部分が犠牲になっている」と述べているが、実は、アメリカは、1.1%、イギリス、ドイツは0.8%であり、アメリカ、イギリス、ドイツ、共に農業の利益確保に血道を上げており、農業なき通商国家,或いは半島国家を目指すのであれば格別、産業界としてTPPを礼賛することは、世界情勢が変わる中で、主従の関係を維持する日米安保体制と輸出依存の農業なき通商国家を墨守することにつながる。

産業区分を細かくしていけば、自動車を中心とした輸送用機器も2.7%であり、製造業全体でも実は二割を切った19.9%の数字との並びで論じられるべきである。前原外相の講演で、犠牲になっているとする輸出は、実は17.5%に過ぎないから、全体の比較をしない針小棒大の政治宣伝の講演内容である。更に、農業の関連産業の広がりや、多面的な機能に対する理解を欠いているとされる。食品産業は、9.6%にも上り、従業者の人口は775万人にも達する。

従って、農業のせいで国益が失われるとするのは的外れの議論であるし、FTAが進まないのも農業のせいであるが一気にTPPを進めるしかないとすることも短絡している。一部の輸出産業と一面的な消費者利益の為に,他にどれだけの国益を失うのかを総合的に検討しなければならない。経済団体がいつしか、自動車業界などの利益保護団体に矮小化して外国勢力の主張のお先棒担ぎの体をなしているとして、国民的な批判の対象となる恐れがあり、ものづくり企業としての日本の基幹産業を担う企業は、慎重に対処して、むしろ、TPPの欠陥について十分な研究を行うことが必要である。

TPPとは何か。

 TPPは、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの四カ国が2006年に発足させたEPA(経済連携協定)を広く環太平洋地域全体に適用としようとするものであり、具体的には、2015年まで工業製品、農産物、金融サービスなど全ての商品について関税その他の貿易障壁を実質的に撤廃して、環太平洋全域に亘って、究極的な貿易自由化を実現すること主な目標として政府間の交渉を進めるとする。これまで、オーストラリア、ペルー、アメリカ、ベトナム、コロンビア、カナダが参加の意向を表明している。目的にかかげてである。TPPはいわゆるFTA(自由貿易協定)の一種でもある。そもそも、FTAは二国間・多国間で関税その他の制限的通商規則を・・構成地域間における実質上の全ての貿易について廃止されている地域とされている。ガット第二十四条に法的に位置づけられている。もちろん、実質上の全てのと言う文言の公式解釈はないが、通常は例えば農業全体などの特定部門を除外しないで、全貿易額の90%以上の関税を撤廃することとされており、原則は即時撤廃であるが、廃止は10年以内に行うことという経過期間の設定が、94年に解釈了承されている。その他にも、協定所議品目の設定や、再協議品目の設定などの例外措置もある。北米自由貿易協定では、アメリカはカナダとの間で乳製品、ピーナッツバター、砂糖、砂糖含有品、綿を除外している。経済連携協定(EPA)は、FTAの一変形であり、関税撤廃だけではなく、規制緩和や経済制度の調和等まで含めた協定により、重要な品目の除外と開発助成を組み合わせたり、或いは、投資環境を整えるなどの要素を加えて、互恵の様相を強めて、日本が進めた方式であり、2002年のシンガポールとの協定を皮切りにして、11カ国と日本が結んだ協定のことである。

 FTAは、世界全体としてのガット体制での合意が困難になったために、いわば各個撃破で、大国が貿易自由化の為の別の手法として活発に採用されている手法である。問題のTPPAPEC諸国に参加の道を開いたとして、即時又は段階的な関税撤廃という、FTAでは認められているはずの例外規定を認めないFTAとされているのが、最大の特徴である。2006年に、TPPは発足しているが、シンガポールは都市国家、ブルネイは人口が僅かに40万人、チリは、中南米との出入り口との位置づけで、四カ国合わせて2640万人の小国が糾合して、中国の台頭に抗して通商国家としての活路を開くものであったが、アメリカが、関与を表明して、TPPは性格を一変させた。小国の例外有りのFTAから、例外なしの帝国のFTAに豹変した。小国の軒先を借りて母屋を乗っ取る手法であり、帝国の世界戦略追求の場に変化させたのである。

 FTAの本質は,差別性にあるが、相手を選んで、関税撤廃を追求するもので、非貿易的な関心事項への配慮はないが、国内助成の削減と言った内政干渉もなく、例外措置をとれるので、関係国の了解さえあれば、柔軟に自由化を追求できる利点がある。WTOの無差別原則の例外として認められており、協定毎に柔軟に対処できる。確かに、一方では、意図的に競争相手を排除できるから貿易の流れが歪曲されることは否めないし、典型的な例として,米国はカナダと墨西哥とは、米国の乳製品の方が競争力があるので、北米自由貿易協定では乳製品をゼロ関税にして、墨西哥にどんどん輸出して、一方の米豪FTAでは、乳製品を例外扱いとして、世界一競争力のあるオーストラリアからの乳製品のアメリカ流入を不正でいる身勝手さである。米豪のFTAでは、アメリカが譲歩したように言われているが、間違いである。

更に、例外なしが優れたFTAであるとするのも間違いである。ゼロ関税のFTAよりも、高関税品目を除外してFTAをまとめる方が優れている可能性がある。高関税品目を抱える国としては、自国の経済厚生が高まるのは、輸入増加によって国際価格、つまり日本の輸入価格の上昇が高いと、消費者の利益が圧縮され、国内生産が被る損失と関税収入の喪失額との合計が消費者の利益よりも大きくなってしまう場合があり得る。日本とタイとのFTAの試算でも、例外品目のない場合の日本の利益は3億7300万ドル、域外国の損失は30億2200万ドルになるが、米、砂糖、鶏肉を除外した方が、日本の利益は、6億6100万ドル増加して、域外国の損失は6億3600万ドル減少する。日本とヨーロッパのFTAの試算も同様であるが、重要品目である、アメリカの農業製品であるから、それを除外すること自体が交渉の妨げとなる。(そもそもアメリカがFTAを推進しているのは、ガットでは、農産物の補助金の問題を避けて通れないからである。)

日米と日本とヨーロッパのFTAの試算に於いても、例外なしの場合は、日本の利益は8億2400万ドル、アメリカの利益は36億2500万ドル、域外国の損失は46億4500万ドルであるが、農産物を除外すると、日本の利益は11億4200万ドル増加し、域外国の損失も31億4000万ドル減少している。

日本は、慎重に相手国を選んで、例外措置と開発援助等を組み合わせて、EPAを推進してきたが、例えば、日本が農業技術や食品安全、貧困解消に関する支援策に応ずる代わりに、タイも米の自由化を要求しないという形で力を発揮した。タイの零細農民の所得向上に配慮した優先処置も表明したことが,決着に貢献しているし、フィリピンとのEPAでは、小規模農家が生産するモンキーバナナや小さなパイナップルについて優先的な関税撤廃や無税枠設定を行うといった具合に、相手国の零細な農民に対する配慮を可能な限り行い、アジアの貧困解消と所得向上に貢献することによって貢献しようとする日本の姿勢が評価された事例もある。

お互いの農業や産業をつぶし合いをしないという、いかにもアジア的な知恵が発揮され、特に多様な農業の存在がようやく理解されるに至っているが、TPPにはそうした理解が 欠落しており、超大国の制度、特にアメリカ型の農業を有利に展開しようとする意図が露骨に示されている。

「食料は軍事的武器とおなじ武器であり、直接食べる食料だけではなく、畜産物のエサが重要である。まず、日本に対して、日本で畜産が行われているように見えても、エサをすべて米国から供給すれば、完全にコントロールできる。これを世界に広げていくのが米国の食料戦略だ。そのために農家の師弟には頑張ってほしい」とウィスコンシン大学では教授されていたし、ブッシュ大統領は、日本を皮肉るかのように,「食糧自給は国家の安全保障の問題であり,米国では自給が当たり前であると考えられているのは、なんという贅沢だろうか。」「食料を自給できない国を想像できるか、国際的な圧力があれば屈服してしまう国だ。危険にさらされているリスクのある国である」と演説している。

アメリカでは、イギリスの植民地時代から、西部開拓を含め拡張主義がとられ、先住民族の虐殺と文化、歴史の抹殺に象徴されるように、先住民から強奪した土地を基盤にして、氷河時代に蓄積した地下水をほとんど極限まで使った粗放農業が行われてきた。アメリカの都市は輸送手段には、公共的な手段が極端に不足し、二酸化炭素の排出に無頓着な経済をつくりだしながら、農業には巨額の補助金が投入されている。

 アメリカが、TPPに関与してきたのは、ヨーロッパにはヨーロッパ連合があり、主導権を採ることは難しいが、北米では、北米自由貿易協定を通じて覇権を追求してきたが、アジアでは、政治体制や発展段階が実に多様で、モザイク模様になっていることから、アジアの団結に楔を打ち込み、主導権を確保する手段として関与してきている。東南アジアでは、ASEANが成立して緩やかな自由貿易圏が成功裏に展開したが、2005年にいたって、中国がASEAN+3(日中韓)という共同体構想をぶち上げたことから、これをアメリカ排除の動きと受け止めて対抗戦略としてTPPを利用したと考えられている。日本は、米中の間に挟まれ、インドを加えて、それにオーストラリア、ニュージーランドを加えて、ASEAN+6とする提案を出している。

 自由貿易の命題は、市場原理主義の基本的な柱のひとつであるが、それが成立するためには、社会的な共通資本の存在が全面的に否定され、現実には決して存在しないような制度や理論を前提として、非現実的で、反社会的で、非倫理的な命題が絶えず登場して、自由貿易の夢物語が社会的共通資本を破壊して惨害をもたらすことが歴史上に繰り返されているが、拡張主義の帝国にとって好都合な考え方である。

 社会的な共通資本とは、宇沢弘文教授の定義によれば、「ひとつの国ないし特定の地域に住む全ての人々が、豊かな経済生活を営み、優れた文化を展開し、人間的に魅力なる社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置を意味する。社会的共通資本は、自然環境(大気、森林、河川、水、土壌など)、社会的インフラストラクチャー(道路、交通機関、上下水道、電力、ガスなど)、制度資本(教育、医療、司法、金融制度など)の3つの大きな範ちゅうに分けて考えることが出来る。」となるが、自然環境は、それぞれの国や民族が長い歴史を通じて聖なるものとして次の世代に引き継いできたし、社会的なインフラストラクチャーについては、管理運営は官僚的な基準で行われてはならないし、市場的な基準に左右されてもいけないし、また、制度資本についても、人間的な尊厳をたもち、魂の自立を保ち、日本国民として誇りに思う権利と事由を十分に教授することができるよう制度とならなければならないとする。

 ところが、新自由主義の政治経済思想は、企業の自由が何ら規制なく補償されるときに、人間の能力が最大限発揮され、生産要素がもっとも効率的な利用が行われるという、根拠のない、非科学的な信仰、或いは思い込みに過ぎない考え方であり、その教祖がシカゴ大学経済学部を中心とするミルトン・フリードマン教授であったが、あらゆる公共分野を私有化して、全てのものを市場を通じて取り引きするという制度を作ることが理想とされた。教育や医療、交通機関など、いわゆる公共サービスが民営化の美名の下に否定されて、実は私物化された市場の形成が追求された。水も市場がつくられ、自由市場貿易が追求された。儲けるためには、法を犯さない限り、何をやってもいい。日本では、若い経営者が、愛情もお金で買えると嘘ぶいたが、規制改革の名の下に、儲ける機会を広げた。国家は、武力の行使も辞さないことが横行して、場合によっては核兵器で先制攻撃をかける理論も横行して、核兵器の使用が現実化する緊迫した事態が発生した。

 小泉政権が、こうしたパクスアメリカーナを標榜する市場原理主義の日本侵略を本格化させたといわれる。日本の経済社会は、小泉・竹中政治の結果、ほとんど全ての分野で格差が拡大した。国民総生産は,大きく後退していわゆる縮小均衡が見られる。医療や農業分野が大きく毀損された。医療分野における国民皆保険制度は、長い時代を経て、60年代に至ってようやく達成した世界に冠たる制度であったが、これを混合医療というアメリカ型の保険会社が医療を支配する制度に切り替えようとした改悪の動きも見られた。教育制度ではバウチャー制度がまことしやかに議論された。幼稚園の民営化や、英語教育を幼児に行うことでの言語と文化を破壊する洗脳教育の危惧すら見られることが、まことしやかに推進された。もちろん、郵政民営化などは改革の本丸などと称揚されたが、内実は、郵便貯金と簡易保険による巨額の国民資産の私物化と外国への国民資産の移動が画策されたから、それが失敗したことが、深刻な問題として顕在化してきている。こうした危機的な状況の下で、2009年の総選挙で、民主党の地滑り的な勝利があり、政権交代が初めて行われたが、新たな新自由主義の再来とも思われる政策が復活しており、失望感が大きく広がっており、菅政権の支持率は,2割を切って低下している。

 TPPに強権的に参加しようとする政策決定を見て、政権交代に寄せられた国民の期待を無残に裏切ったとする決定的な見方があり、政権与党の中からも、菅政権を打倒しなければならないとする動きが表面化して活発化している。

TPPに対するアジア諸国の動向

TPPはアジア諸国を引き込むことが目的であるが、TPP会合に中国は欠席した。韓国は米韓のFTAに署名したが、牛肉問題で、批准には至っていない。韓国はヨーロッパとFTAの調印しているが、TPPについての関心を持つようなポーズを見せているが、中韓共に、農業問題への慎重な態度である。

タイやインドネシアは、ASEANを中心に結束すべきであり、アメリカの介入は其の団結を分断させるものとして警戒的である。現在の九カ国に日本が加わったとして、10カ国のGDP総額は日米で九割以上を占めることになり、事実上の日米経済統合が本音ではないかとの見方もある。

名目は環太平洋経済連携であるが、日米の無条件、例外なしの経済統合の別の名称がTPPであることが明白である。環太平洋と銘打つからには、そもそも中国の参加が見込まれない経済連携など意味がないとの考えm説得力があり、日本は今や中国との貿易が対米貿易を上回っているのが現実であり、中国への現地投資も抜きんでていることから、利害得失を熟考することが必要である。

日米FTAの政治経済学

 戦後日本は日米安保体制に依存して、沖縄返還があったが、米軍の基地を含む軍事機能は、沖縄に押しつけ事実上の占領政治が継続された。ジョセフ・ナイ氏は、沖縄は核の傘の人質であると、今年になって文藝春秋新書として邦訳された本で明言している。他方、日本本土は軽武装国家として、高度成長に邁進したが、冷戦の崩壊で,日本列島が共産主義からの防波堤としての役割が意味を失った。小沢一郎氏が発言したとされる、在日米軍プレゼンスは第七艦隊で十分、駐留なき安保、沖縄の基地は最低でも県外などの発言は、アメリカの虎の尾を践んでしまったと指摘されている。政権交代後の鳩山内閣は、首相と幹事長を同時に更迭する事態となって挫折した。

 菅政権は、自民党と変わらないような安保依存論に戻ったが、TPP参加は,横浜で開催されたAPECで来日したアメリカ大統領への土産という見方があったが、「既に中国と話している」との返答であって、日本が米中の二大国の協議対象であったことが露呈した。朝鮮半島における、韓国軍艦の沈没事件や、尖閣諸島での中国漁船体当たり事件、其の直後に行われたロシア大統領の北方四島訪問などは、アメリカによる戦後体制の現状維持を追認するものとして、太平洋戦争の終結時点に歴史が逆転した印象すら与えるものとなった。事実、ロシアは、ヤルタ体制に戻ったことを広言して、その国際法の基盤を主張している。国際連合は、連合国であり、スターリンとルーズベルトが結託した時代が再来したかのように主張している。

 2008年からの世界的な金融経済危機は、アメリカの過剰消費、野放しの金融資本主義の帰結であったが、日本では米国市場依存、なかんずく内需拡大を忘れた外需依存が裏目に出た。金融からものづくり、外需から、環境、福祉、エネルギーなどの内需依存経済への転換が重要であるが、依然として、均衡財政論が巾を効かせて、米国がグリーンニューディールなどと威勢の良い内需拡大政策が主張される中で、日本では、緊縮財政の色濃い仕分け会議が、財源を生み出す魔法の会合のように喧伝されている。

 WTOの交渉とTPPの交渉の違いも明らかにしておく必要がある。WTO交渉は関税引き下げを交渉分野にしているが、同時に農業の国内保護引き下げをも交渉の対象としている。アメリカは、WTOでは、自国の農業補助の引き下げに激しく抵抗するから、いつも交渉が行き詰まるが、FTAの交渉では,農業の補助の削減は交渉の対象にならないから、もっぱら押せ押せの交渉になる、関税やその他の国境措置の引き下げや撤廃を強圧的に進めればいいから、アメリカにとっては、力を誇示して交渉に当たれる都合の良い交渉方式である。

第三の開国という言い方は間違いである。

 日本の関税率は、全品目で3.3Z%であり、世界で最も低い。アメリカが3.9%、ヨーロッパが、4.4%、韓国が8.9%、タイが16.9%、インドがなんと33%である。アメリカ人の中にも,まだ日本市場が閉鎖的であるなどと主張する向きがあるがそれは誤っており、アメリカよりも日本は、全体として、市場が開放された国である。農産物を見れば、なるほど、アメリカは関税率が6%で、日本の12%よりも低いが、ヨーロッパは20%であり、タイは35%、韓国はなんと35%、インドに至っては、135%の関税をかけている。

 日本はWTOの規則を金科玉条のように守って来ており、農業保護の補助金削減をまじめに実行している優等生である。農業所得に占める財政負担の割合は15.6%で、欧州諸国が軒並み90%を超えているのに比べれば遙かに低い。いまだに、にジョンは過保護な農業保護国であるという批判は事実ではない。逆に言えば、アメリカをはじめ、欧米が高い自給率を誇り、高い農産物の輸出が行われているのは、手厚い政府支援の証左である。我が国の自給率が低いのは過保護だからではなく、農業の保護水準が低いからである。菅首相は,第三の開国と発言したことは事実誤認にとどまらず国益を失した可能性が高い。

 日本がTPPに参加しなければアメリカの軽トラック関税25%が日本企業にとって不利だとか、ヨーロッパとのFTAがないから、EUの自動車関税10%、薄型テレビ関税14%が日本企業に録って不利だとかの解説がまま見られるが、実は其の韓国企業が好調な理由は、ウォン安である要素がもっとも説得的である。関税率の問題ではなさそうだ。

 日本で高関税が維持されているのは、僅かであるが、米、乳製品などの農産物がある。それが撤廃された場祭、食糧自給率は、14%に急落する。実は,アメリカが狙っているのは、食料戦略によって、日本を弱体化させるのではないかとの見方がある。(ウィキリークスの公電漏洩によって、日本弱体化を目的とするのではないかとの仮説が証明されている)主要産業である農業を失った地域社会は崩壊して、国土は荒れ果てる。伝統と文化と共同体を破壊する方法である。関税撤廃によって、打撃を受けるのは、繊維製品、皮革製品、履き物、銅板など、重要な品目は工業分野にも多いし、金融、医療など,労働力の移動を含むサービス分野の開放が意図的に行われているのではないかとの見方がある。

市場開放が困難なのは、農業分野が主であると言われているが、事実に反する。もっと深刻な障害は素材・部品産業である。韓国では,日本からの輸入が増えて被害が出ることを懸念する世論の高まりがあり、韓国側は中小企業への技術協力やそのための基金出資について要求があったが、日本側は、「そこまでしてFTAを韓国と結ぶつもりはない」拒否している。日本のものづくり企業が実は韓国のいわゆる大企業を支えている現実もある。

グローバリゼーションは体制の危機の輸出合戦である。

 グローバリゼーションは,貿易を自由化して拡大すれば、世界の相互依存が深化するといわれ続けてきたが、現実には起きなかった。アメリカも貿易の拡大を国家戦略としては捉えていない。貿易の拡大どころか輸入超過に苦しんでいるというのが本質である。貿易が需要不足と過剰生産という矛盾を解決しなかったからである。アメリカでは需要不足を価格の切り下げで対処しようとして、賃金の安い中国に生産拠点を移し、中国はアメリカの工場と化した。天安門事件で威信を低下させた中国共産党は、高度成長で民衆の不満を解消する政策を掲げ、貧農を切り捨て、沿海部の繁栄に限られるいびつな経済構造をもたらした。都市と農村の格差が拡大して、利益を上げたドルを国内で貫流させるとインフレが発生するので、内需拡大ではなく、米国の金融資本の増強に使われ、米国債や株に投資されたことは、日本のいわゆるキャリートレードの状況と同じである。

 日本や中国から過剰とも言える資本を流入させて、産業が衰退しているので、現実の経済ではなくマネーゲームとなり、それが破裂して一種の恐慌を発生させたのである。中国共産党の体制の危機は、アメリカが中国共産党を温存して体制の崩壊を回避しているとの見方も出来る。

 自給度の高い国民経済があってこそ、貿易は補完的なものになる。戦前の日本でもエネルギーはなんと70%もの自給率があった。徳川日本が鎖国できたのは、当時の日本にそれだけの経済手技術的な蓄積があったからであり、生活の質の高さと美意識は,特に江戸時代には最高水準に達して世界の文明国に伍している水準にあった。

 TPPは、WTO同様に頓挫する。世界市場を拡大する政策を採らないで,強者が強者になり、弱者を放置する世界政策では、消費市場がどんどんしぼむばかりで、国際的な合意はますます難しくなる,弱肉強食の貿易大系が現出することになる。氷山に衝突して沈没するタイタニックに乗り遅れることは結構なことであるから、一部の経済界やマスコミの騒ぎたてるようにTPPというバスに乗り遅れる方が国益になるばかりではなく、世界の平和と安定に貢献する可能性が大である。

 日本は、貿易依存、輸出依存の国ではない。貿易依存度が増したのは、弱体化した結果に過ぎない。世界銀行の統計でも、貿易がGDPに占める比率は、世界170カ国中で164番目である。企業の中には、国内市場が飽和しているから海外市場が大切で輸出を強化するとの方針を採る会社がまま見られるが、国内需要を喚起することが優先すべきである。

 しかも、ため込んだ外貨を海外で投資して国内の経済活性化に貢献しないから、海外進出を主導した挙げ句に、でっち上げの事故でリコール事件が頻発する政治的な攻撃を受ける始末で、構造改革に加担してもなすすべを知らなかったようである。(トヨタ自動車リコール事件は、政権交代で弱体化している日本の政治状況を視ながら仕掛けられた経済戦争の色彩が拭いきれない。今後の検証が待たれる。大地震、原発の暴走という,国難を抱える日本は、早々に、そうした外国支配から訣別を表明することが大切であって、TPPと訣別することが世界の平和と安定に貢献することになる。

 経済団体の幹部を輩出したトヨタやキャノンが派遣労働者の解雇に先頭を切らざるを得なかったのは、そうしたグローバル政治経済の変貌に対する認識の浅さと欠如が原因であるといわざるを得ない。

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