構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Structural Destructions

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郵政民営化は「米営化」だと指摘して著書まで出版した小林興起衆議院議員は、小泉・竹中政治に真っ向から反対の声をあげた。芝公園を起点に東京駅前まで行われた郵政民営化反対のデモ行進にも参加するほどであった。そのために、くのいちの刺客を出されて自民党を追放されて、いわゆる郵政選挙では議席を失った。ちなみにその刺客候補の資金管理団体の会長は、小泉政治の中で規制緩和を強行した宮内義彦氏とされる。小林氏は、9年8月の選挙で,東京の比例区から当選を果たし、現在は民主党の議員である。その会見記事が掲載されているので、紹介する。

「郵政民営化は小泉構造改革の“本丸”として進められたが、当初から「国民には全く利益がない『郵政米営化』」だと鋭く指摘していたのが小林興起衆議院議員(民主党)。米国の対日年次改革要望書に沿って、「日本人が汗水流して貯めた貴重な郵貯と簡保の資金が、外国の金融資本に吸い上げられる構造」をつくり上げようとした。そのためには「民営化の名のもとに郵政事業を分社化、明治以来の“日本国民のため”の素晴らしい制度を破壊した」と強調する。郵政事業は「郵政公社という形が最も良い。しかし、まずは早急に分社化を見直す」ことで、郵政改革法案の成立が不可欠とする。「小泉構造改革に命がけで反対した」小林議員、「国が疲弊したことに対する国民の怒りが、民主党に政権をとらせた。小泉元首相が進めた郵政民営化に反旗を翻した国民の期待に応えることが、政権交代の意義。真っ先に郵政民営化を見直すことが政権政党の責務」と語る。(一部省略)

 郵貯・簡保資金を外資に差し出す

 ■小泉構造改革の“本丸”として進められた郵政民営化について議論が始まった当初から、国民には全く利益がない「郵政米営化」と喝破されていた。
 
 便利で効率的な社会をつくり、経済を発展させることは反対するつもりはない。しかし、小泉構造改革で主張された民営化の問題は、背景に米国との深い関係性があったことだ。
 米国は、日本とモノづくりにおける貿易競争をしているうちに、日本の優秀な工業製品に太刀打ちできなくなった。日本に太刀打ちできず、いずれはアジアの国々にも太刀打ちできなくなることを恐れたのだろう。
 だが、日本の資金を米国の金融資本の支配下に置くことができれば、日本人の富の分け前を手に入れることができる。日本にとっては米国の金融戦略の罠にはまることを意味するが、米国側から見れば、強い米国を守る道だった。

 ■その頃から米国は対日年次改革要望書を、毎年のように出していた。
 
 小泉構造改革は、要望書の内容に基づき、日本の資金が吸い上げられる構造をつくり上げていった。構造改革が進むことで部分的に便利になったことがあるかも知れないが、大局的に見れば、日本人が働いて得た資金が日本人に還元されず、外国の金融資本に吸い上げられていくことになった。
 二十年ほど前から日本の国民総生産は上昇していない。バブル崩壊などの影響があるとはいえ、成長なき日本経済だ。働けど働けど富は外資に持っていかれ、現状維持にとどまる。それをさらに定着させてしまったのが小泉構造改革だ。
 構造改革の総仕上げとして、米国は日本人が汗水流して貯めた貴重な資金、郵便貯金と簡易保険の合計約三百兆円を運用することに目を付けた。株主になって運用する戦略を立て、要望書を通じて金融部門の分離を強く要求した。
 小泉・竹中路線の最大の問題は、民営化の名のもとにまず郵政事業を分社化したことにある。赤字になりそうな郵便事業は面倒を見ない。郵便事業はどの国も厳しい状況で、だから米国も国営を堅持している。
 安い価格で全国に届けるのだから、黒字を維持することはたいへんだ。民営化前は、三事業一体で郵便局を通じてサービスを提供、郵便貯金と簡易保険が郵便局を維持することを補っていたが、それを分離した。

 ■当時、竹中平蔵氏は、郵便は運送事業を始めることで儲かるなどと説明していた。
 

 確実に黒字になるという予測はなく、騙したと言っていい。赤字体質のある部門を切り離し、郵便貯金、簡易保険の黒字部門を民営化し、株式市場で株式を買い占めて、日本が気づいたときにはその株主は日本でなく米国だったということだ。運用資金で旨みを味わうということが、郵政民営化の正体だった。
 また、民営化は公務員改革でも何でもない。郵便局員は公務員だが、実際には自分たちで稼ぎ、郵政事業に税金は一円も使われていなかった。しかし、これらについて、当時のマスコミは一切報道しなかった。むしろ「小泉構造改革は、日本を発展させる非常に大事な改革」と書き立てた。
 日本の新聞やテレビは、基本的に米国が不利になる報道はしない。戦後の検閲を通じて、米国に逆らってはいけないことが骨身に染みているのだろう。問題点を指摘しようという姿勢は毛頭ない。専門紙が一生懸命に書いても、読者数が多い大新聞が、こういう問題の本質を隠す。
 マスコミが問題の本質をはぐらかすことで、国民に本当のことがなかなか伝わらない。何のためにマスコミの存在があるのか分からない。根が深い問題だ。
 米国の生保協会から何千億円という資金が、マスコミのPR用に使われたという話もあるようだが、生保業界は米国の大統領に献金している大きな政治勢力だ。

 分社化の弊害を取り除け

 ■民営化すれば経済も豊かになり、サービスも向上すると喧伝された。実際にはサービスは低下し、現場で働く人たちは煩雑な業務処理に苦労し、処遇も改善されない。
 
 以前の郵政事業はまさに“日本国民のため”を原点に法律がつくられ、行政もそれに基づいて行われた。しかし、郵政民営化法は外国金融資本のための法律だった。
 小泉構造改革は、日本のための、庶民のためのものではない。離島の振興についても、そこに住んでいる方が悪いという理屈だ。そういう市場原理主義で物事を進めようとする感覚だから、離島の人たちはたまったものではない。明治以来の良き日本の伝統、価値観を変えてしまった。

 ■三事業一体ならば、郵便配達の折に貯金を頼んだりすることができた。分社化によって郵政事業が分断され、東日本大震災でも地域住民の不満が噴出した。
 
 以前の郵便局は地域のために存在していた。しかし、郵政民営化法は資金を収奪して本社に集めるのが主眼で、地域で生きる人たちのことを考慮するというものではない。民間人が地域のために働くとは郵政民営化法に記されていない。民間は自らの利益を生むために働くのだから、郵便局に公的な存在を求めるわけはない。それは行政、市役所が行えばよいとなる。
 郵便局長は地域のために汗をかき、懸命にサービスしていた。今も使命感が高いが、郵政民営化法にはそもそもサービス精神などない。以前は地域のために業務を行うよう職員や局長が教育されていた。明治時代からのそうした文化や伝統を小泉構造改革が破壊した。
 特に過疎地域に行くと、職員が郵便配達しながら貯金や保険のサービスも行っていた。日本が生み出したほかの国にはない素晴らしい制度だ。明治以来の確たる知恵の一つがそこにあった。

 ■郵政民営化の論議では、財政投融資で問題が出るのは「資金を集める郵便局が悪い」という逆さまな論理があった。
 
 明治時代の政治家や官僚は偉かった。日本経済に対する的確な考え方を持つ政治家がいたからだ。日本は小さな島国だが、世界の列強と匹敵するほどまでに発展した影には、そうした政治家たちの姿があった。発展途上国が、これほどまで急激に発展した歴史は他にないだろう。
 もちろん、国民も頑張ったが、国民が努力したということだけでなく素晴らしい知恵があった。その一つが郵政制度だ。財政投融資という形で資金が集まり、税金以外にも国家・国民のために使われていく。財政投融資は長期の資金だから、活用すれば経済の発展に計り知れないプラスになることが多くあった。
 それが平凡な国家になり、今や国債の返済などにしか頭が向かないではないか。財政投融資も資金を無駄に使っていると批判を浴びた。しかし、国家の予算は必然的に無駄になる部分もある。だからこそ常に検査や監査をする。しかし、チェックが必要だから本体までやめるということはない。郵政制度に裏打ちされた財政投融資は、世界に類を見ない素晴らしいものだ。問題が生じたから全てやめてしまえというのはおかしい。
 
 ■郵政事業を国民の手に取り戻そうと、民営化を是正するのが郵政改革法案だ。郵政事業は本来、庶民のための事業だが、新たな郵政事業、郵便局はどうあるべきか。
 

 郵政公社という形が最も良いだろう。株式会社にすること自体が問題で、国民の事業にはなじまない。外資規制をかけて外国に乗っ取られないために株式処分凍結法を成立させたが、郵便貯金や保険は株式会社として運用するようなものだろうか。
 道路公団の民営化と同様、公のものを株式会社にした瞬間に良い部分が失われる。どのようなものでも民間だ国営だと単純なことではなく、民と官の間に公(おおやけ)という中間領域をつくり、民の資金も活用しながら、公の精神を失わず、官でやらなくてはいけない部分も残すのが一つの知恵だ。
 公社という形態は郵政事業には最適だ。国だけにやらせても機動的な対応ができないこともあるから、民間的な運用方法を取り入れて効率化を図る。市場原理主義だと公の領域が失われる。公の役割も残すのが公社だ。個人的にはこうした考えが最適だと思っている。
 とはいえ、その形態まで一気に戻すのは難しいだろうが、分社化は早く元に戻さないといけない。

 求められる民主党の実行力
 郵政改革は復興と矛盾せず

 ■民営化で効率化と言いながら、分社化で人が増えたりして非効率になっている。分社化を修正するはずの郵政改革法案がなかなか成立しない。
 
 当時、小泉構造改革に本当の意味で反対したのは、我々のような元自民党国会議員だった。民主党は野党だからという理由で反対した人たちが多かった。本心から反対したのか、野党だから反対したかでは大きく異なる。我々は日本を守るために市場原理主義をチェックしようと、命がけで反対した。
 ところが、反対した人たちのエネルギーが今、政治にない。小泉構造改革によって国が疲弊したことに対する国民の怒りが、民主党に政権をとらせた。しかし、なぜこの国が疲弊したのかという根源に対する思考が浅い。もし、自分が民主党の代表だったら真っ先に郵政民営化を見直す。
 小泉元首相の眼目が郵政民営化だったのだから、それに反旗を翻した国民の期待に応えるべきだ。直ちに民営化の見直しからスタートすることが、政権交代の本来のあり方だ。

 ■小泉構造改革で年金、医療、雇用も破壊され、国民生活のセーフティーネットが崩壊しつつある。国民が民主党に期待したことを実現するのが、政権交代の意義だ。郵政改革を含めて公約をきちんと推進する力が、今こそ求められている。
 
 政権が交代すれば、それで全て良くなるということではない。交代した以上は、政治を変えなくてはならない。実行力のある腹の座った人物がいないと政権は成り立たない。生みの苦しみ、混迷の中にのたうちまわっている感じだ。
 早く志を同じくする政治勢力を結集、政権交代の意義を国民の前に明確化し、なぜ、このような国になったのかを問い質すべきだ。明治以来、日本はなぜ発展してきたのかという原点に立ち返り、良い知恵や考え方を採り入れた国の在り方を考えることだ。
 小泉構造改革の名のもとに、日本を植民地のように外国に売り渡した既成勢力を糾弾してこそ、新たな日本を創ることができる。

 ■「郵政等三党合意を実現する会」では、小林議員も郵政改革法案の早期成立を強調されていた。
 
 なぜ、民主党のリーダーは本気で動こうとしないのか。郵政の問題と震災復興とは矛盾しない。構造改革で破壊されたことを見直す。その第一の眼目は郵政民営化の見直しだ。それを明確に説明すれば野党だって抵抗できないはずだ。郵政民営化を見直すために、民主党は与党になったのではなかったのか。
 民主党の支持率が低いのは、今の政権のリーダーたちに実行力がないことに対する怒りだ。悪いのはマニフェストでも何でもない。今、小泉・竹中ラインに戻したいと思っている国民は皆無だ。政権交代は何ゆえに起きたのか。自分たちに力があり、政権交代ができたのではなく、国民の怒りが爆発したのだから、それに応えるために実行力を発揮すべきだ。
 もう一度、国民が納得するような政権交代勢力は何かを、民主党は見定めていかなくてはならない。国民が何を望んでいるのか、革命的な変革が求められている。民主党の代表選も近く、こうしたことに基づいて党を築いていくべきだ。残念だが、構造改革に反対しなかった、あるいは賛成に近い人たちの存在が民主党にあり、彼らの動きが復活している。

 ■米ドルが急落し、経済情勢も不安定極まりない。「主権在米経済」とも指摘されているが、日本は独立国家として、日米関係を含めて今後どうあるべきなのだろうか。
 
 米国はあまりにも莫大な軍事費を使い過ぎた。米国ももはや一か国で世界を支える財政力はない。今後は国連が中心の世界にしていかなければならない。あらゆる人種、全ての人が世界の平和を守る方向性にしていかなくてはならない。それによって米国の軍事費も削減できる。
 日本が経済で助けることもあるだろうが、米国は日本に思う存分のものを要求してきた。以前の政治家は、例えば十のものを要求してきた時には、同盟国だから二つか三つはいいだろうと交渉に応じていたが、小泉・竹中の構造改革は十要求してきたら二十を差し出すというものだった。
 これでは同盟国という友人関係ではなく主従、本国と植民地の関係だ。それでは両国の健全な発展にならない。米国の要求に応えることが、これまでの政権維持に役立った面もあるかも知れないが、できないものはできないと毅然とした態度をとることが、米国の改革や反省につながる。日本の生きていく道を開くことにもなる。
 米国は議論する国だ。過去の日米交渉で日本はダンピングと批判されながらも国益を考えながら対応した。しかし、小泉構造改革は必要以上に応えてしまった。なぜ、これほど卑屈に米国の要求に迎合したのか、いいかげんにせよと言いたい。また、こうしたことを国民に明確に知らせるのが新聞やテレビの役割だ。

 ■郵政事業を支えている社員、特に地方の郵便局で頑張っている皆さんへメッセージを。
 
 郵政の仕事は明治以来、この国の文化とともに成長してきた大切な仕事だ。郵便局の人たちが安心して働けるように、また地域の人たちに貢献できる拠点として発展するように、必ず郵政民営化法の見直しを行い、きちんとした国づくりを目指す。
 それが国民が政権交代を選択し、我々が政治を託された政権党の責任だ。

」以上。

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