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A Book Review --Shock Doctrine is now translated into Japanese

待望の「ショックドクトリン」邦訳

 待ちに待った。「月刊日本」平成20年十月号に「新自由主義に抵抗する救国勢力よ、結束せよ!」と拙論を載せて、ナオミ・クライン女史の「ショックドクトリン」を紹介した。「新自由主義の本質」に迫る本が、米国でベストセラーになっているのは、一つの時代の転換と言えるだろう、と書き、「新自由主義とは、結局、破壊と衝撃を与えることによって,歴史性や公共性を崩壊させ,強引に更地にして全てを私物化していく手法だ」とも書いた。

 次の十一月号で、森田実氏と対談をして、ショックドクトリンについて再度言及した。森田氏は、「ケインズの「雇用、利子および貨幣の一般理論」、更に言えばカール・マルクスの「資本論」、アダム・スミスの「国富論」に匹敵するほど重要な本なのではないか、と思うほどである。(中略)アメリカの市場原理主義者達が次々と転向しているという話を耳にした。”フリードマンよ、さようなら!”運動が起こっている。有名なネオコンまでもが自己批判したともいう。同書は、アメリカとヨーロッパの思想を変えつつあると言っても過言ではない。」と絶賛した。

 クライン女史のホームページに日本語への翻訳予定ありと発表されたが、しびれをきらしてツィッターで、日本語版の出版はどうなるのかと尋ねたのが八月のことだ。まもなくだとの返事を頂戴して、ようやく九月に岩波書店から上下二巻の大冊として出版された。上巻は売り切れ、重版予定だ。上下で税抜き五千円もするが、反響は想定通りだ。

 上巻の帯に、次のように書かれている。「本書は、アメリカの新自由主義がどのように世界を支配したか、その神話を暴いている。ショックドクトリンとは、「惨事便乗型資本主義=大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革」のことである。アメリカ政府とグローバル企業は、戦争、津波やハリケーンなどの自然災害、政変などの危機につけこんで、あるいはそれを意識的に招いて、人びとがショックと茫然自失から冷める前に、凡そ不可能と思われた過激な経済改革を強行する・・・・・。ショックドクトリンの源は、ケインズ主義に反対して徹底的な市場原理主義、規制撤廃、民営化を主張したアメリカの経済学者ミルトン・フリードマンであり、過激な荒療治の発想には、個人の精神を破壊して言いなりにさせる「ショック療法」=アメリカCIAによる拷問手法が重なる。」とある。下巻の帯には、「ショックドクトリンは、一九七〇年代チリの軍事クーデター後の独裁政権のもとで押しつけられた「改革」をモデルとし、その後、ポーランド、ソ連崩壊後のロシア、アパルト政策廃止後の南アフリカ、更には最近のイラク戦争や、アジアの津波災害、ハリケーン・カトリーナなど、暴力的な衝撃で世の中を変えた事件とその後の「復興」や(IMFや世界銀行が介入する)「構造調整」という名の暴力的改変に共通している。〇四年のイラク取材を契機に、四年をかけた努力が結集した本書は、発売後すぐ、絶賛する反響が世界的に広がり、ベストセラーとなった。日本は、大震災後の「復興」という名の「日本版ショック・ドクトリン」に見舞われていないだろうか。3・11以降の日本を考える為にも必読の書である。」と書かれている。

 日本語版が出て読み直すと改めて圧倒される読後感である。平成二〇年十月号では紹介出来なかったが、米国内版ショック療法と題する第14章(邦訳の下巻)の冒頭に、2001年9月10日の夜に、CNNが短く報道した、「国防長官、ペンタゴンの官僚主義に戦いを布告」とのニュースの具体的な背景が説明されているが、改めて市場原理主義の拝金の冷血に身の毛がよだつ戦慄を覚えた。当日の朝、国防総省の大会議室に数百人の上級職員を集めて、ラムズフェルド長官が、「敵は、国防総省だ」と爆弾発言をする。人件費を削減して、軍務を外注して民間委託にせよと訓示する。物議を醸して八人の退役将校から辞任要求が出されて、06年の中間選挙直後に、解任された内幕が描かれる。軍事の民営化を行い、米軍に市場原理主義の理論を適用して、民営化警察国家を作り出そうとした。鳥インフルエンザに効くとされた治療薬タミフルを特許登録していたギリアド社の会長がラムズフェルドだったことも紹介する。ブッシュ大統領の後見人としてのチェイニー副大統領、ミルトン・フリードマンとの関係を詳述する。

 郵政民営化を始めとする構造改革の虚妄に抗する指南書としての邦訳を三年待った。今こそ「ショックドクトリン」を読んで、3・11の大津波と原発暴走という国難に乗じた内外の新自由主義勢力の欺瞞を剥ごう。ニューヨーク等の全米・世界各地のデモにも連帯して、ハゲタカとその手先に、反撃と総攻撃を開始しよう。

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