構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Lost and Found

民主党に政権交代があって、国民の強い期待感があったが、急速に消え失せるだけではなく、外交でも敗色が色濃い。同盟国に対する信頼が低下しただけではなく、隷属外交をすすめ、同盟国ではない周辺国からも、徹底的に力を試され,しかも国益を失う外交が行われている。いや、外交の体をなしていない状況にあるとの見方すらありうる。永田町の政治が空洞化して、それに伴って霞ヶ関の追従が有り、国家の基本がぐらぐらしている気配だ。

つい、先日とある会合で、小泉内閣の最後の時期に,内閣官房の枢要な地位にあった御仁の話をきいたが、国民の官僚に対する信頼が回復していないなどと戯言を述べていたが、その御仁が、市場原理主義の虚妄のお先棒を担いで、中央から,地方へ、官から民へ、大きな政府から小さな政府へ等と叫んでいて、ごまをすったあげくに出世した人物であったから、可笑しくなって,笑いをかみ殺すのに苦労した。

優れた外務官僚も残っていると思うが、政治家の劣化に馬鹿らしくなって、意見を具申すれば恨まれるとなれば、前述の小泉内閣の時に提灯担ぎをして出世したお調子者の官僚ばかりが残って、正論を直言して犠牲を払う官僚も殆ど残っていないのかも知れない。先日は,経産省の役人が辞める辞めないの騒ぎを起こしたが、官にあって道心を失う典型であったから、いさぎよい人士はいなくなっているのかも知れない。恐るべきことである。

佐藤優氏が、ロシア外交に敗北しつつある現況に的確な忠言を行っている。むしろ、人材が払底しているのであれば、市場原理主義のカルトの手先の陰謀に嵌められて霞ヶ関を追われた、佐藤優氏のような専門家を外交の第一線に復帰させることが第一で、玄葉議員のような経験のない素人を外務大臣のような主要ポストに就任させること自体が、国益を失わせる奇矯な政治となっている証拠ではないだろうか。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0912&f=column_0912_006.shtml

以下、上記のリンクからの引用である。

佐藤優の眼光紙背:第113回

  9月11日、ロシアのパトゥルシェフ安全保障会議書記が、北方領土の国後島と水晶島(歯舞群島)を訪問した。共同通信の報道を引用しておく。

  これは、9日の日露外相電話会談の際に玄葉光一郎外相がラブロフ露外相に対して述べた事柄に対するロシアからの反応だ。もっとも日本外務省の報道だけを見ていると、なぜロシアがこのような反応をするのかがわからない。ロシア国営ラジオ「ロシアの声」(旧モスクワ放送)の日本向け放送で、ロシアは明確なシグナルを出している。関係する記事を引用しておく。

  日本の一部に、ロシアの本音は、歯舞群島と色丹島の2島返還であるという見方があるが、これは間違いだ。ロシアの現時点での立場は、0島返還である。2002年に鈴木宗男氏が失脚した後、日本外務省は、あたかも東京宣言(1993年)に基づけば、北方4島が日本に返還されるような情報操作を行った。しかし、東京宣言で日露両国政府が合意したのは、択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島からなる北方4島の帰属に関する問題を解決して平和条約を締結することにすぎない。北方4島の帰属に関する問題の解決と、日本4島の日本への返還は同義ではない。北方4島の帰属に関する問題の解決ならば、日本4-ロシア0、日本3-ロシア1、日本2-ロシア2、日本1-ロシア3、日本0-ロシア4の5通りの可能性がある。東京宣言では、北方4島の日本への返還は担保されていないのである。外務省が過去10年近く行ってきた「東京宣言至上主義」という情報操作をこれ以上継続することは国益に反する。

  1956年の日ソ共同宣言で、ソ連は平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すことについて合意している。このことと、ラブロフ外相が主張する北方4島は、ロシア領であるという主張は矛盾していないのだろうか? ロシアの論理に従えば矛盾しないのである。なぜなら北方4島がロシアの主権下にあっても、これらの島を日本に譲渡することは可能だからだ。ここで鍵になるのが「引き渡し」という言葉だ。「返還」ならば、本来、日本の主権下にあったものを、ロシアが日本に返すということだ。「引き渡し」ならば、歯舞群島や色丹島が、日露どちらの主権下にあったかという問題を迂回して、事実として領土が移動することを意味する。日露双方が国内的にどのような説明をするかについては、お互いに目をつぶり、領土問題を解決するという発想が「引き渡し」という言葉に込められている。

  今回、ロシアは、玄葉外相がこのあたりの北方領土交渉に関するニュアンスを理解しているか、探りを入れているのだ。本件に関し、共同通信は、と記し、この訪問がプーチン首相によってなされているというニュアンスを出しているが、この見方はずれていると筆者は思う。安全保障会議書記は、職制上、メドベージェフ大統領に隷属している。今回、訪問対象を歯舞群島に拡大するという決断は、メドベージェフ大統領によってなされたと筆者は見ている。今回の事態は。昨年11月1日のメドベージェフ大統領の国後島訪問の延長にある。北方領土の「脱日本化」をメドベージェフ大統領が積極的に進めていくということだ。

  筆者が外務省にいたならば、以下のアドバイスを玄葉外相に対して行う。

  これまでロシア要人が歯舞群島を訪れることはなかった。今回、パトゥルシェフ安全保障会議書記が歯舞群島に属する水晶島を訪れたことは、従来のゲームのルールに反するので、玄葉外相が公の場で何らかの発言をしないと、日本がロシアが出しているシグナルに気づいかないほどインテリジェンスのアンテナが壊れていると見られる。ただし、エキセントリックな反応はしない。玄葉外相は、「歯舞群島にロシア要人が訪問するのは初めてのことと承知する。こういう行為が両国間の信頼関係の増進と平和条約交渉の進展に貢献するとは思えない」と不快感を表明する。ただし、玄葉外相が、ベールイ駐日大使を呼んで抗議することは避ける。抗議は、欧州局長もしくは政務担当外務審議官がベールイ大使を外務省に呼んで行う。こうして、玄葉外相がラブロフ外相と政治的取り引きを行う余地があるというシグナルをロシア側に送る。

  北方4島における共同経済活動に関する青写真を、外務官僚に厳しく指示し、早急に策定させる。

2.の青写真ができたら、玄葉外相がラブロフ外相に電話をする。そして、「私の政治主導に基づく共同経済活動に対する日本側提案ができたので、近く事務レベルでの協議を行いたい。北方領土問題に関して、マスメディアや会見を通じて交渉をすることは、非生産的だ。あなたと直接、膝をつきあわせて交渉を行いたい。ただし、9月11日のパトゥルシェフ安全保障会議書記の水晶島訪問のような事態があると、私としても、マスメディアに対して発言せざるを得なくなる」と伝える。

  こうすれば、北方領土をめぐりロシアの攻勢を防ぐことが出来る。

  来年3月の大統領選挙をにらみ、ロシアは政治の季節に入っている。次の選挙では、メドベージェフ大統領、プーチン首相のいずれかが立候補する。北方領土問題も政争の具になりはじめている。メドベージェフ大統領は、領土ナショナリズムを最大限に活用し、ポピュリズムを煽り立てようとしている。プーチン首相は、日本との戦略的提携を実現し、ロシアの外交カードにしようとしている。そのためにプーチン首相は、北方領土問題で何らかの譲歩を日本に対して行わなくてはならないと考えている。いずれにせよ本格的な北方領土交渉は、大統領選挙後にしか実現しない。その前に領土ナショナリズムを煽り立てる勢力が、北方領土から日本の影響を完全に駆逐してしまおうとする策略を阻止しなくてはならない。共同経済活動に踏み込み、北方領土の日本化を進めることが有効なカードになる。(2011年9月12日脱稿)

  佐藤優(さとう まさる)

  1960年生まれ。作家。1985年に外務省に入省後、在ロシア日本大使館勤務などを経て、1998年、国際情報局分析第一課主任分析官に就任。
2002年、鈴木宗男衆議院議員を巡る事件に絡む背任容疑で逮捕・起訴。捜査の過程や拘留中の模様を記録した著書「国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて」(新潮社、第59回毎日出版文化賞特別賞受賞)、「獄中記」(岩波書店)が話題を呼んだ。
2009年、懲役2年6ヶ月・執行猶予4年の有罪判決が確定し外務省を失職。現在は作家として、日本の政治・外交問題について講演・著作活動を通じ、幅広く提言を行っている。近著に「予兆とインテリジェンス」(扶桑社)がある。

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