構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Pretense

高杉良氏をインタビューした記事があった。新刊の経済小説「虚像」の著者である。規制緩和と民営化の破壊を問い直して時代を切り開こうとする、ある意味での仮名をとりつつも、市場原理主義とその烏天狗どもの妖怪変化と虚妄を糾弾する、ノンフィクションである。

当方ブログの読者には、高杉良著「虚像」のご一読を特段勧めることにしたい。左側の図書館にも掲載するので、そこからアマゾンで購入することもできるようにしておきます。

http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/454705.html

『虚像』刊行記念特集インタビュー
「失われた十年」を問う

高杉 良

 
――このたび刊行される『虚像』は、骨太の経済小説となりましたが、その切り口とは何でしょうか。
 いま「失われた二十年」と言われていますが、私はバブル崩壊以後、「規制緩和」と「民営化」に突っ走った時代を問い直したかったのです。まさに、「失われた十年」ですね。この十年で何が破壊され、何が傷痕として残されたのか。そこに焦点を当てて、時代を切り取りたいと思ったのです。
 かつて日本経済は底力があると信じられていました。焼け野原から見事に蘇って高度成長を成し遂げ、世界トップレベルの経済力を誇るに至った。ところがバブル崩壊を経て、リーマンショック以後、日本はまだ立ち直れず、後遺症に喘いでいます。日本だけではありません。ユーロ圏もアメリカも深い傷を癒やすことができずに、のたうっている。このダメージはまことに深刻といわざるを得ません。大儲けしたのはほんの一握りの人間だけです。今日のように、企業のダイナミズムが奪われ萎縮し、格差社会となってしまった背景に何があったのか。リーマンショックによって、アングロサクソンスタンダードの崩壊が明白になったいまこそ、それを極端に推し進め巨利を貪った経営者たちの罪と罰を問いたいという思いがありました。
 この検証はマスメディアには出来ないのではないでしょうか。マスメディアは市場原理主義の行き過ぎをチェックできなかったし、むしろ加担した可能性すらあるのですから。
――規制緩和の旗振り役となった、ある辣腕経営者が主人公ですね。
 自分の企業利益のためには手段を選ばず、人を人とも思わない経営者として、象徴的に描きました。彼がいかに「財界の寵児」にのしあがり、なぜ表舞台から忽然と姿を消したのか……。これは小説でしか表現できないと思うんです。とくに経済・企業小説のメリットとして、時代を切り取ることで大きな転換点が見えてくることがあります。とくに今回は二〇〇二年から二〇〇八年にかけての時代ですね。そのなかで「権力と巨利の構図」がはっきりと見えてきた。「物言う株主」として話題になった投資ファンドとの癒着をはじめ、金融担当大臣との出来レースの構図、そして簡保の宿をめぐる見えざる取引……。主人公が「改革者」のように見えて、実はいかに自分の方に利益誘導していたか。拝金主義によってどれだけ心が傷んでいたかが見えてきたのです。紳士然とした風貌に隠された肥大する欲望、恫喝、非情。『虚像』というタイトルにこめた意味もそこですね。結局、「規制緩和」の名の下に行われたことは、弱肉強食と格差社会を生み出した破壊だったと思うのです。
――代表作『金融腐蝕列島』にも通じるところがありますか。
『金融腐蝕列島』を取材・執筆していた頃から、私は小泉・竹中ラインで日本経済がどれだけダメージを蒙ったかを実際に見てきています。今回の作品も、その延長線上にあるといえるでしょうね。そもそも、若い頃私は業界紙の記者をしていましたから、実体経済の生々しい部分がよく見えるんですよ。また、小説ですからエンターテインメント性が求められるのは当然です。核家族化した家庭のあるべき姿や家族の絆についても描いたつもりです。政財界の上層部に、厳しい現実をしっかりと見つめもっと使命感、危機感を持ってもらいたいとのメッセージも込めたつもりなんですが。
――経済の現場を取材する目は小説にも生かされていますか。
 小説の魅力というのは、面白いストーリーのなかで人間が描けているかどうかだと思います。無能な上司、有能な若手の流出、組織の硬直化、いわれなき嫉妬、左遷、そして決断の瞬間。今回の作品は一六〇〇枚を越える長編ですが、経済小説を書き続けてきた私にとっても大きな達成感のある作品になりました。(東京の自宅で)

(たかすぎ・りょう 作家)

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