Unilateral Radiation
7日、東日本大震災による福島第一原発の事故を受けて、同原発の半径80キロ圏内としてきた外国の国民向けの避難勧告の対象地域を、原則20キロ圏内に縮小したとの当該外国政府の外交担当省が発表したとの報道である。
一方的に日本政府と異なる避難距離を日本国内に定めて、事故発生直後から、20キロ圏内を対象とした日本政府よりはるかに広い80キロ圏内からの避難を求めていた。他国の中に、かってに丸を書いて、そこから自国民は退避せよというのだから、内政干渉にならないのだろうか、基地を運用してまだ占領気分に浸っているのではないかと疑わしめるようなことだとの批判もあった。
ご当人は否定しているが、沖縄人は怠け者だと発言したという元沖縄総領事が、文庫本を出して、その内幕の一端を書いている。「余談ながら、なぜ米政府が退避言うと勧告の対象範囲に八〇キロという数字をもちだしてきたかと言うと、実は裏付けとなる的確な情報があったわけではありません。退避勧告の範囲は原子力規制委員会(NRC)のグレゴリー・ヤッコ委員長が決めました。日本政府は半径二〇キロ圏内に避難指示を出しているのだから、日本側とすりあわせがあってしかるべきだったかも知れませんが、結果として、日米の避難指示に矛盾が生じてしまった。だが、ホワイトハウスも国務省も、NRC委員長が決めたのだから、それでいいに違いないという態度であって、八0キロ圏の数字そのものに異議を唱えることはありませんでした」と書いてある。
外国政府の避難勧告を信じて、東京を逃げ出した連中もいたほどであるが,実は根拠のない話であった。「三月十五、十六日ごろ、国務省内で妙な噂が流れた。日本政府が原発事故に対処してくれる米軍部隊の派遣を要請しようとしているという未確認情報でした。それを聞いて,我々は困惑してしまいました。原発事故に対応する能力を持った米軍部隊など存在しないからです。当然、原発事故への対処訓練を受けているような部隊もありません。」と日本の平和ボケの一例として書いている。
津波対策をもせずに、欠陥があると指摘されていた原発を売った国の、その外交担当者の記録である。当方ブログは、決して、その外国に対して敵対的な視点をもっていないどころか、むしろ、死活的な関係を有すると判断しているから、その外国との関係は、余計に正確に検証されなければならないと考える。
追加的な情報であるが、御巣鷹山の日本航空機の墜落事故との時に、横田基地の夜間行動をとることの出来るヘリと捜索救助部隊があるので、それを米軍が出そうと「日本政府に電話してすぐに断られたので、米軍の担当者は本当に怒っていました。」と暴露した上で、政治決断が出来ない日本を「要はだれも責任をとりたくないからです。緊急事態でも決断できる人がいないのです。」と嘲っている。図星の発言である。勿論、当方ブログは、その元総領事殿の告白を鵜呑みにするほど、外国追従の徒でもなく、自立・自尊の日本をどう創り上げて、世界にどう友邦を求めるかとの現実的な話が関心事である。
元総領事の文庫本の第二章は、嵌められた「ゆすりの名人」報道となっており、共同通信の石山永一郞という記者の実名をあげて、取材の姿勢を問題にしている。社員の記者の報道ぶりについて、文庫本で問題にされた以上、共同通信も事実関係を明らかにすべきであろうが、どうなったのであろうか。コミンテルンやスメドレーの時代でもないのに、外国勢力の謀略に加担するような者がいるのだろうか。
決断できない日本という題で、下にThe Japan That Can't Decideと横文字の副題を付けたケビン・メア氏の本(文春新書)は、アメリカ側から日米同盟の内実を観察した「爆弾告白」となっている。ご参考まで。
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