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Corrupt Postal Privataization

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郵政民営化後のかんぽ会社の商品の「構造的欠陥」について、署名入りで告発が行われている。

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2011年10月24日号

終身保険・入院特約の制度改正を!
―「死亡時返戻金の支払」・「終身払」の復活―
東京簡保交友会 会長●早田利雄

1.終身保険・入院特約の苦情等は、30年に向けて、徐々に、しかも確実に増加! 

 「即時定期年金・入院特約」は、お客様の苦情等に端を発し、発売2年6か月後の23年1月、販売自粛に追込まれた。
 しかし、「終身保険の入院特約には、苦情等のリスクはない。」とかんぽ会社は、主張する。果たしてそうか。  
 現時点では、苦情等は、ほとんど表面化していない。
●お客様は、「死亡時に返戻金がないこと。」から生じる種々の現象について、まだ十分理解していないこと。また、加入者死亡の事例が少ないこと。
●発売3年経過の現時点では、基本契約の保険金は、払込額の数倍の金額となり、加えて特約料の支払総額もまだ少額なため、損失感を感じていないこと。
 しかし、払込済契約が発生する30年に向けて、徐々に、しかも確実に苦情等は増加していくだろう。 
①未経過特約料は、52歳時の67万円から60歳時は374万円と払込済直後がピークとなる。しかも、この金は、受取人等には、一切払われない。
②基本契約の保険金と払込総額との差額(プラス分)は、52歳時の838万円から、60歳時は190万円と激減する。時の経過とともに、①との関係もあり、総合的な収支は徐々にマイナスとなり、損失感を強く感じるようになる。
③統計的には、男性は82歳程度で、加入者の半数が多額の未経過特約料を残して死亡する。
(例示 50歳加入・60歳払込済、1千万円・男性)[8月1日掲載]

2.現特約の「正味保険料」は、80歳で死亡した時、前特約より230万円高い。

 各死亡年齢別の現・前特約料の比較は、表1の通りである。
 20年7月から発売した現入院特約(「その日から」)は、毎月の「入院特約料(表定保険料)」は、入院1日日から保障する等内容の充実を図っている中で、250万円安くなっている。
 しかしながら、「死亡時の返戻金がない」ため、実際にお客様が支払う「正味保険料」は、前特約より高い場合がある。
 払込済直後の60歳で死亡したとき、前特約は、払込総額は689万円。しかし、死亡時返戻金が628万円払われるので、正味保険料は、61万円。一方、現特約は、表定保険料439万円のままのため、378万円高いことになる。
 70歳死亡時は、344万円、80歳死亡時は、230万円高くなっている。
 保険料の引下げは、「表定保険料が対象」とかんぽ会社は説明するが、「正味保険料」を見ると、男が平均寿命(80歳)で死亡した時、230万円も高いのでは、「特約料を引下げた。」ということがお客様には実感できない。
 中国の故事成語「羊頭狗肉」を思い出す。[7月11日掲載]

3.日本・第一・明治安田の大手三社は「終身払」、かんぽは「有期払」

 かんぽ会社は、「死亡者に積立てられた積立金を残余の被保険者群団に繰入れ、保険料を引下げたので、返戻金はない。」と主張する。加えて、返戻金の受取権利者が基本契約の受取人と異なる場合のトラブル解消のためと言うが、解消策は、「返戻金受取人の事前指定制度」等他にも有効な方法がある。  
 更に「他の民保では、解約時の返戻金の仕組みはあるが、死亡時の返戻金は、設けないものが多い。」と、「他の民保並み」を強調するが、その実態は?
 日本、第一、明治安田大手三社の医療保険(終身型)の払込み方法は「終身払(終身にわたり、毎月払込)」のみである。
 現「終身保険」の特約料は、一生涯分を一定の払込期間に全額払込む「有期払」を採用している。そこで、払込済後の60歳時の解約返戻金は、払込総額の85%・男は374万円、女は421万円である。この返戻金は、「未経過特約料(60歳から100数歳までの将来の特約料分)」を還付しているものである。80歳時は290万円、100歳時にも110万円(男)の未経過特約料が存在する。
  「終身払」であれば、未経過特約料は発生するものの、その額は、「有期払」に比べ、極めて少額である。したがって、「死亡時返戻金がないこと」に、お客様の理解を得ることも容易である。「死亡時返戻金がない制度」とするのなら、他の民保並みに「終身払」を採用すべきである。

 参考)簡保の特約料払込方法等の変遷
 ①平成5年3月末以前  「終身払―死亡返戻金なし」
 ②平成20年6月末以前  「有期払―死亡返戻金あり」
 ③平成20年7月以降  「有期払―死亡返戻金なし」
 注) 「一時払」は、23年1月以降、販売自粛(停止)
(例示 50歳加入・60歳払込済、1千万円・男性)[7月18日掲載]

4.現特約の「有期払・一時払で、死亡時返戻金がない制度」は、構造的欠陥!

 23年1月に、終身年金の販売自粛と合わせ、「即時定期年金の入院特約は、『死亡返戻金がないため、被保険者が早期死亡した場合の喪失感が大きいこと。』から、販売を自粛する。」との指示文書が出ている。
 「即時定期」の場合、1000万円の入院特約料は、111万円である。加入直後等お客様が早期に死亡したとき、「死亡時の特約返戻金は、ない。」というルールにより処理すれば、受取人等が納得しないことは、当然予測できる。   
 しかし、この問題は、制度創設時から指摘されていたものである。その説明会場でも「このままでは、将来、お客様とのトラブル発生が危惧される。改善して欲しい。」という声が多く出されたが、一顧だにされなかった。
  「販売自粛」は、お客様の苦情等により実施せざるを得なくなったものではあるが、制度創設時に、この事態を想定していなかったとすれば、「極めて杜撰・稚拙な制度設計である。」という批判を、免れることは出来まい。。 
 何れにしても、即時定期年金の販売自粛は、「有期払・一時払で、死亡時返戻金がない現入院特約は、制度的に破綻していること。」を認めた証左である。
 かんぽ会社は「説明不足等による将来的な苦情等のリスクの発生と販売実績が低調なことを考慮し、即時定期の入院特約を自粛した。」と強弁する。
 しかし、苦情等は「一時払でありながら死亡時返戻金がない。」という制度設計から来る構造的欠陥であることを認識しなければ、真の解決策には至らない。
[7月25日掲載]

5.「『終身』は、10年間の特約料が『養老』の 5.2倍」でも苦情等は起きないか?

 現在、販売継続中の「終身保険」の入院特約料の総額は、439万円、60歳時の払込済直後の未経過特約料は、374万円である。これは、即時定期111万円の3倍超の額である。据置定期年金は、ほぼ同額の110万円である。
  「一時払」と「分割払」の相違はあるが、「被保険者が保険期間中に死亡した場合、未経過期間割合の保険料が払戻されない仕組み」であることは、即時定期と何等変わることはない。有期払制度を採る終身保険・据置定期年金を販売自粛の対象外とするのは、全く整合性が取れない不合理な処理である。 
 簡友会の「速やかに終身保険の入院特約は、販売自粛すべきである。」という提言に対し、かんぽ会社は、「保険料の払込方法を分割払とする基本契約に付加する特約については、①加入後早期の死亡にあっては、払込保険料が少額であること。②保険料払込済年齢の近く又はそれ以降の死亡にあっては、それまでの期間の保障提供があるから、即時定期のような苦情等のリスクはない。」と主張する。
 ①52歳の事例では、基本契約が838万円のプラスとなるため、総合収支は、767万円のプラスになる。しかし、入院特約料を分計すれば、払込総額の80%・71万円が未経過保険料(払い過ぎ)である。
  60歳の事例では、基本契約のプラス分は、190万円に激減し、未経過保険料が354万円であるため、総合収支は、164万円のマイナスになる。
 ②「60歳死亡のときは、それまでの間、入院保障を提供しているので、苦情等にはならない。」と主張するが、これでは、50歳から60歳まで10年間の入院特約料が、「養老保険タイプでは85万円」、「終身保険タイプでは5.2倍の439万円」となり、全く合理性がない。
 ③素直に「入院特約料は、52歳時は17万円、60歳時は85万円。差額の71万円、354万円は、保険料引下げの原資に活用した。したがって、返戻金はない。」と言うよりほかない。しかし、この回答でお客様の理解・納得が得られるとは到底思えない。
 注)本項の入院特約料は、養老保険(50歳加入・60歳満期、1千万円・男性)と同額(月額7,100円)と仮定
(例示 50歳加入・60歳払込済、1千万円・男性))[8月1日掲載]

6.100万件を上回る現入院特約加入者に正確な情報を丁寧にお知らせすること。

 即時定期への入院特約付加は、23年1月以降自粛しているが、それ以前の加入者に「販売自粛に関するお知らせ」等を、一切行っていない。23年10月の「販売停止」も公表していない。甚だしく不誠実な対応である。
 一方、終身保険への現入院特約付加は、既に100万件を上回り、更に増加し続けている。「重要事項は必ず説明し、ご理解いただいている。」と言うが、社員の相当数が、入院特約の仕組みを十分には理解していない現状から、この判断を信じることは出来ない。早急に、正確な情報を提供する必要がある。
  「死亡時に返戻金はない。」とその概略は説明していても、その内容をどこまで具体的に説明し、お客さまがどの程度理解しているかについては、多くの課題が残っている。①死亡時に返戻金を支払わない理由は②正味保険料・未経過保険料等への影響は③継続か、解約か、その選択の利害得失は。等々
 80歳の時、特約を解約すれば、男は290万円、女は361万円の解約返戻金が払われる。これと同額となる入院日数は、男は190日、女は240日である。これに対する評価は?    
 入院特約をそのまま継続して、入院保険金・手術保険金・長期入院一時保険金を受け取るのか。それとも解約するのか、あなたは、どう助言するか。
 入院特約発売当初から、優績者の一部は、「75~80歳までに解約を進める話法」を展開し、トラブルからの自衛を図っている。しかし、解約前に死亡したお客様の不利益を防ぐことは出来ず、それは、入院特約制度の改正に委ねざるを得ない。
「生涯補償」を標榜しながら、80歳前後の時点で、解約を進めることは、異常事態である。お客さまのためにも、社員のためにも速やかに解決すべき課題である。
[8月1日掲載]

[結 論]
既述の論点から明らかなように、終身保険・入院特約制度の選択肢は、
「有期払―死亡返戻金あり」「終身払―死亡返戻金なし」の二つである。
おかしいことをおかしいと認める勇気を!

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