Corrupt Scholar?
ジャーナリストの佐々木実氏の書いた記事をネットで探していたら、次のようなサイトに出逢った。市場原理主義の醜悪な一面が端的に紹介されている。他人の論文を盗用の疑惑があって恥じない人物が、学者を称して閣僚を務めた時代があった。新自由主義の政策がもたらした惨害が修復されることなく、引き続いているだけではなく、政権交代を果たしたにもかかわらず、TPPという名の国際的な覇権の枠組みを作って、日本の政治経済、ひいては文化と伝統の破壊を、継続拡大しつつある。
http://unkar.org/r/job/1297666867/22-24
「現在パソナの会長職にある竹中は、一橋大学経済学部を卒業しているが
実は その博士号は当時自分が勤務していた大阪大学で取得したもの。
(竹中を阪大に引っ張ったのは、官舎に愛人を住まわせていたとして
政府税調会長をクビになった本間正明元阪大学教授で、彼もまた
竹中と同じくサプライサイド経済学を志向する経済学者である)
竹中が一橋大学に提出した博士論文のタイトルは
日本開発銀行の設備投資研究所(設研)に勤務していた当時
完成させた 『開発研究と設備投資の経済学』というもので
ハーバード大学に留学していたときの研究成果をまとめたものである。
この論文は東洋経済新報社から単行本として出版されサントリー学芸賞を受賞したが博士号を取得しようとして 提出した一橋大学の教授会では「あまりに初歩的である」と却下され、やむなく阪大に提出、学位を取得した。
その竹中の博士論文には剽窃の疑惑がある。
『月刊現代』2005年12月号の佐々木実『竹中平蔵 仮面の野望(前編)』
によれば、設備投資研究所の同僚の実証分析を剽窃したことが指摘されている。
岩波書店の月刊誌『世界』2009年6月号の経済学者、宇沢弘文東大名誉教授と経済評論家の内橋克人氏の対談「新しい経済学は可能か3」でもこのことが指摘されている。
宇沢教授は、森嶋通夫ロンドン大学名誉教授(故人)とともに
日本人のノーベル経済学賞候補者として名高い近代経済学者で
設研に深く関係していたので、当然当時の竹中を知る立場にいた。
以下、対談の39頁から40頁まで一部引用。
(前略)
宇沢 ある朝、設研の研究会に出かけようとしていたとき、当時
設研の研究員をしていた竹中平蔵氏から一冊の本が贈られてきた。
それは、S君という同僚と二人でやっていた共同研究の成果が
ベースだった。研究会の後、雑談の席で、竹中氏からこんな本が
送られてきたと皆さんに回した。他のだれにも、その本は
送られていなかった。S君も全く知らないことだった。
そのときのS君の苦悩に満ちた表情は見るに耐えなかった。
plaglarizeは、plaglarizeされた側の苦しみの深刻さに
問題がある。心を盗まれてしまったと同じような何とも言えない苦しみです。
(中略)
そのとき、M君という若い研究員がS君にこう言ったのです。
「plaglarizeした、しないとなると、双方が傷つくことになってしまう。このことは忘れてしまって、むしろ、二人で同じようないい研究を
一緒にして、本にしよう」。それから一年ほどかけて、二人で
真剣な共同研究を重ねて、すばらしい成果を挙げ、研究書として
出版したのです。二人とも、経済学者としても、また人間的にも
見事に成長して、いま指導的な大教授になっています。
この事件は、それで一件落着したのですが、設研の雰囲気に
大きな影を残してしまったことは否定できないように思います。
学問の研究は決して一人でやるものではありません。
志を同じくして、お互いに心から信頼し合って共同的な
研究活動を行い、同時に、一人一人のアイデア、研究的貢献を
尊重して、決して粗末にしてはいけない。研究者の仲間は、大切な
社会的共通資本を守るコモンズだということを強調したいと思います。
内橋 『現代』に連載された「竹中平蔵の罪と罰」の中に、
その部分が少し出てきますね。
宇沢 そのときも取材されたのですが、一切触れなかった。
内橋 そうだったのですか。
宇沢 私がアローの下にいた時代は、私の研究人生でいちばん充実し、
実り多かったと同時に、マッカーシズムの恐怖の嵐の中で自殺した
学者が出るなど緊張した時代だった。その後、ミルトン・フリードマンが中心になって学者のモラルを徹底的に壊していく。そういう時期に
アメリカの大学に留学して、それをあたかも自分の
功績であるかのようにして、非倫理的な役割を果たしている
人たちは許せない。
(後略)
*****
かつての恩師にここまで言われているのに、竹中は沈黙を守ったまま。
以前、写真週刊誌に税金をごまかしていると指摘されたときには
すぐ民事訴訟を提起したのに、なぜだんまりを決め込んでいるのか。
竹中は未だに慶應義塾大学の教授も併任しているが、plaglarize(剽窃)は
学者の世界では懲戒解雇はおろか永久追放されるべき重大な不祥事。
学者としての良心とプライドがあるならば、反論する義務があるのに
いつまでたっても沈黙を守ったままだ。
教授と言っても、なぜか現在では講義は受け持っていないらしいので
もしかしたら慶應の学生にこのことを質問されるのを恐れているのかもしれんが。」
« Here Remains A Fountain | トップページ | Postal Crimes »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント