構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Postal Crimes

政治経済の暗部をえぐるかのように、経済界の不正と虚妄を告発して来た作家の新作、「虚像」が出版されたことは、既に当方ブログにおいても紹介した。郵政民営化の闇は、かんぽの宿売却を発端としてその一部が明るみに出たが、大部分は今も闇の中にある。高杉良氏は、小説の形をとりながら、しかし、多少の新聞記事や雑誌記事を読んだ者にとっては、実名が簡単に想像できる人物を登場させている。当方ブログも、早い内に書評を書かなければと考えていたが、今朝になって、優れた紹介文があったので、それを率先して紹介することにした。

郵政民営化とは、一体いかなる虚妄と不正が行われたのか、政治的な見直しが放置された背景などを、考えるよすがとしたい。また、当方ブログは、再三に亘って、司法当局による犯罪捜査が行われて然るべきであると主張してきたが、むしろ告発が行われて不起訴になっていること自体が、日本国家の弱体化あるいは、中枢が烏天狗に乗っ取られた気配を示していることが、「虚像」を読んで良く理解できる。(中央銀行総裁までが、買収される場面の記述は圧巻であるし、その中央銀行総裁が、経済財政諮問会議で、郵政の民営化を強硬に主張したことがおもいだされてならない。しかもその人物のテカが、民営郵政会社の幹部に居残っているが、そうした烏天狗のうめき声が現実に聞こえるかのような経済小説である。小説の体を取っているが、ノンフィクションに近い。高杉良氏は、これまで新聞社などから訴えられて裁判をしてきたこともあり、実名が簡単に想像できるような小説を書くことは、高い取材力が背景にあって、裏がとれているからこそ、切り込んだ記事が書けていることと思う。)

「虚像〜政権中枢で規制緩和の旗を振った政商

「二〇〇八年(平成二〇)二月一二日、午前一〇時五分前、千代田区霞が関一丁目の日本郵政ビルの前に一台の車が止まった。“簡保の宿”入札を控え、トップ同士で大枠を確認することが目的」。トップとはワールドファイナンス社長の加藤愛一郎、日本郵政社長の北山良二。「般若顔の北山」は五井住之江銀行の最高権力者として君臨した。「権力に対する執着心も尋常ならざるものがある」
 同席したのは北山が懐刀として五井住之江銀行から連れて来た専務執行役の早河洋。「目付きの鋭いヤクザっぽい風貌、北山の威光を笠に着て、日本郵政のナンバー2として肩で風を切って闊歩していた」。秘書室長の前山弘、経営戦略室長の千田定彦、営業企画部次長の深田正夫を加えた四人は、「経営の中枢を占め、チーム北川と呼ばれている」
 「不動産としてではなく事業の譲渡ということでの入札」は、「すでに一年半前に加藤と北山で認識を共有していた」。「“簡保の宿”の件は北山社長にしっかり説明しておきました。三人で一杯やりましょう」。「小声になると舌足らず気味のべちゃべちゃした口調が癇に障る」竹井平之助。竹井は郵政民営化を進めた大泉純太郎内閣の金融担当大臣。加藤は「竹井の軽さに嫌気がさし、使えなくなる日もそう遠くない」と思うが、竹井、北山と「三人寄り文殊の知恵」を出した仲。そして加藤、北山は「�簡保の宿�譲渡スキームを練り上げてきた」
 高杉良氏の経済小説「虚像—覇者への道㊤驕りの代償㊦」(新潮社)が話題となっている。大泉内閣の政権中枢に食い込み、規制改革推進委員会で規制緩和の旗振り役の「ノンバンクの帝王」加藤は、「儲け仕事しか興味を持たない」。規制緩和路線の裏側で何が仕組まれていたか…、政商にのし上がった加藤が、なぜ表舞台から消えたか…を描く。
 そこに蠢く人物なども“多士済々”。「大企業べったり、財界べったり」の新聞「東経産(東京経済産業新聞)」、そして「ヨタ記事ばかり書き、インサイダーに乗る」記者。通産省の課長だった森川勝造が、加藤と立ち上げた「森川ファンド」、マスコミは「物申す株主」と持ち上げた。そこに出資した日銀総裁となった畑中剛。ワールドファイナンスも「濡れてに粟も極まれり」の巨利を貪った。
 人材派遣会社のエール社長の谷玲子。「頭脳明晰とは言い難いが要領がよく、押し出しの強いルックスで主婦層に根強い人気のある」横浜市長の今西浩二。みなとみらいの開発で、加藤の策動に協力する。プロ野球参入表明や放送局買収問題で名を馳せ、時代の寵児とマスコミが囃した「マルエモン」こと丸尾健太ビデオクラブ社長。「黒を白、白を黒と言いきって恥じない」政治家。加藤は「政治家ほど当てにならないものはない」と述懐する。「その極めつけは、こすっからさは相当な」竹井。
 金郵庁顧問の村木烈とまとめた竹井金融再生プランは、金融機関に厳格な資産査定による不良債権の早期処理を強要した「実体経済に疎い粗悪なアイデア」。貸し渋り・貸しはがしで「中小企業はお手上げ。経済を再生するどころか、不良債権を無理矢理捻り出す仕掛け」をつくった。「デフレ不況下のさなかに無用なまでに厳しい資産査定を断行、日本経済の屋台骨を支える多くの中小企業の息の根を止めた男」「自らの失政を恥じるどころか、円安による輸出企業の好調でマクロ経済が底を打ったことを、銀行の不良債権処理による功績にすり替えた、稀代の詐欺師」と指弾する。
 「世界的にも例のないデフレ不況下で不良債権処理を強引に進めた大泉—竹井路線にマスメディアがチェック機能を果たさなかった点も首をかしげざるを得ない」。銀行の過剰な不良債権の処理で、ハゲタカ外資が巨利を得ただけでなく、「不良債権ビジネス、不動産ビジネスで大いに果実を得た」のが、加藤が率いるワールドファイナンスだった。
 「市場原理主義者の竹井が次のターゲットに定めるのは、合わせて三〇〇兆円を超える郵貯・簡保マネー。この三〇〇兆円を欧米に差し出すとさえ憶測されても仕方がない郵政民営化法」は2005年10月14日に成立した。そして「加藤—北山ルートを遣って、日本郵政の保有する不動産情報を入手した。まさにインサイダー情報」による“簡保の宿”売却の不正が行われた。
 「当面二年は従業員を解雇しない程度の目くらまし」「収益還元法で減損処理」「簿価を二三〇〇億円から一四〇億円に引き下げる」「竹井が行った駄目押しの応援」…。情報は「加藤に筒抜けとなっていた」。会計基準の見直しでは「減価償却期間を六〇年から二〇年に短縮。毎年、費用扱いされる減価償却費は三倍となる。費用が増えれば利益は減少。一部の黒字施設は赤字に転落し、赤字施設はそれが拡大し、簿価は引き下げられた」
 日本郵政のフィナンシャルアドバイザーに就任したダイヤモンドブラザーズの存在も不透明。「契約は基本報酬が一か月一〇〇〇万円。別に成功報酬が売却価格の一・六%、ただし成功報酬には最低金額六億五〇〇〇万円が別途設定された。売却されれば価格がいくらにせよこれだけの実入りがある。一般的に売却する側のアドバイザーは高価格で売却することで成功報酬を高めようとするインセンティブが働くが、日本国民の資産を託されたダイヤモンドブラザーズに、それは皆無だった」
 「“簡保の宿”七〇施設に、首都圏の社宅物件と、世田谷のレクセンターを加え」、そして「世田谷レクセンターが最終的に外された」経緯、全てが密室の中での“出来レース”だった。総務大臣の鳥海太洋が、ワールドファイナンス傘下のワールド不動産への一括売却へ疑義を示し、北山が譲渡契約を白紙撤回するまでの結末、その経緯を示唆する内容には少し違和感を覚えるが、株価が下がる中、カジノ資本主義の中で踊った加藤は「単なる老害経営者」として消えていく。
 その前に竹井は「大泉首相の任期満了に伴う退任に歩調をあわせるように、二〇〇六年九月に任期を四年近くも残して参議院議員を辞職した」。それは「大泉退任で威を借るべき虎がいなくなった上、違法行為がバレたため辞任やむなしと判断。国民を愚弄するにもほどがある。右顧左眄する幇間的な学者や評論家を総動員して、自己正当化のためのプロパガンダを謀ったが、所詮底が割れている」
 大泉首相の下で、暗躍した竹井、加藤、北山…、企業利益のためには手段を選ばず、そこには庶民への思いやりなどは微塵もない。過剰な不良債権処理で多くの中小企業は資金繰りに行き詰まり、規制緩和と相俟って雇用が破壊され、その時代を賑わせた者たちは、水面下で全て繋がっていた。そして公的資金として金融機関につぎ込まれたのは庶民の血税だった。
 郵政民営化の実態、そして、なぜ今、郵政改革が求められているのか、改めて考えたい。
(和光同塵)」

以上であるが、ネットのアドレスがhttp://www.tsushin-bunka.co.jp/?p=1896である。ご参考まで。

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