構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Economics of Patriotism 3

東谷暁氏の講演は続きます。

グローバル化した必ずしも豊になる、経済が良くなるとは限らない。グローバル化すれば、外国の物資が入り、国内には競争が生まれ製品も良くなると言われるが、おかしな議論で、成熟した市場があれば、製品が向上するのは当たり前のことだ。一番競争がないと言われるおコメをとりあげても、コシヒカリやササニシキといった品目が生まれたのは、開放体系になったからではなく、おいしいお米ができるおは、日本国民がコメに関心を寄せて大事に食べたからで、愛しんだ結果であって、別に国際的に開放しなくても、成熟した市場であれば、良い製品は生まれる。保護主義はいけないと言うことになっているが、それもおかしい。強い国は、いつも自由貿易を主張する。2004年の米豪協定は、豪州がソンをしただけであった。経済協定を結べばいいことがあるというのは、間違いである。

米国は、90年代以降から、グローバル化と世界の金融化をはじめたが、金融支配は怖い面がある。

これに先立つ80年代、米国の法律学者のリチャード・ポズナーが、正義の経済学と言う本を刊行した。日本では余り知られていいないが、米国の行く末を象徴するような本だった。これには、とんでもないことが書かれていた。「正義とはお金で計った富の最大化である」と書いてあり、私は最初読んだときに、冗談かとおもったが、ポズナーは本気で、例えば、煤煙で住民の健康を損ねる工場を、住民が賠償金を出せと工場の罪を訴える、ポズナーの基準では、工場が住民に賠償金を払って住民を現地から立ち退かせ、なおかつ工場の操業が続けることができるのであれば、富は最大化するので、このやり方が正義であるということになる。あきれたことですが、しかし、ポズナーのリオンは、80年代米国の学術論文のなかで一番多く引用された。70年代までは米国は世界で一番金融規制が厳しい国でしたが、80年代に入って製造業が低迷すると、金融に傾斜して倫理や道徳も変質して、ポズナーの理論が本が受け入れられるようになった。精神が変わってしまった。

日本人も無縁ではなく、日本でも正義の経済学のロジックを取り入れた連中が大勢いた。構造改革派と称して世に出て来ます。タクシー免許を野放図にどんどん発行させる規制緩和がされた。タクシーの数が増えて、運転手の収入が減り、渋滞も増えるが、国民もタクシーをもっと利用して、お金で計った富が最大化するだろうという構造改革が主張されたことは、記憶に新しい。

ホリエモンという人物の会社がもてはやされ、会社の株がどんどん上がったが、それを意識的に煽って、他の似たような会社の株もあがって、逮捕されて会社がつぶれるが、ホリエモン以前と以後では全体の株が上がっているとすれば、ホリエモンの業績を誉めるべきか、これは正義なのだろうか。株価を上げ、また、日本のベンチャービジネスを盛んにしたと評価する意見が今もあるが、明らかにこれは、ポズナーの論理である。我々の周りでは、ポズナーの論理で発生した。危険で、実際日本でもその現象が起こったのです。お金で計った富の最大化を持ち出すと、倫理は道徳は傷ついてしまう。

視点を変えて話をしたい。世界化やグローバル化は、金融というものに係わって、人間の倫理、道徳、そしてその国の価値観をどこまで駄目にするのだろうか。例として天皇に注目する。三島由紀夫が天皇について述べた代表的論文が「文化防衛論」であるが、この中で、一番注目すべき点は、「文化主義によって、天皇というものが閉じ込められてしまう」という点だ。菊と刀が切り離されてしまう。三島が敵として想定したのが、文化主義でした。文化主義によって無害化され、無機的でニュートラルな概念が生まれる。これは秘儀である。これが天皇という概念の「死」になるーーと鋭く分析している。しかし、文化主義だけではなく、グローバル化も世界化も日本を駄目にする。

作家阿川弘之の息子に阿川尚之という人物がいる。

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