Economics of Patriotism 4
阿川弘之氏の息子だから、こんなことを言っていると言えば、驚くかも知れない人物である。大学時代から「国に留学して、米国の弁護士資格を取っているが、日本の論壇でも保守派の論客として活躍するようになった。諸君という雑誌で、「日本は米国51番目の州になってもいいじゃないか。なにも変わらないで継続する」と述べた論文を寄稿した。
阿川尚之氏は日本が米国の一部になっても、合衆国の州はステイトとして自治権をもつから、日本もステイトとしてそのまま参加できるから、日本の国旗・国歌も州旗、州歌として採用されると嘯きました。
更に、「民族の思い出を保持しようとする決意さえ持っていれば日本が米国の51番目の州になっても天皇も文化も何ら変わることなく継続する」というあきれた認識を示している。皆さん、信じられますか。文化主義よりももっと悪い。
民族の思い出の象徴として生き延びる、だからいいじゃないか。更に、阿川氏は、南北戦争と大東亜戦争とを同列で論じて、南部が負けた悔しさがわかるだろう。太平洋戦争で負けた日本は南北戦争で負けた南部と同じである。負けた悔しさが分かる。日本人もまた米国人と彼等の歴史に共感を抱き、共に働いていこう、と論じている。彼の頭の中では最初から日本は米国化されたグローバルな世界のなかで位置づけられており 、その一部になっても、天皇は属国になっても継続されるからいいと言うことですが、これは、三島が説く文化主義的なかざりにすぎなーい。こうしてみると、グローバル化は文化主義と同様に危険である。戦前、ゾルゲ事件で死刑になった尾崎秀美も同じことを言いました。彼は、共産主義によるインターナショナルな統一的な世界ができたときに、「天皇制度は廃止されるだろうが、最も古い家としての天皇家は残るだろう」と述べています。尾崎は、ソビエト・ロシアによりおロマノフ王朝が倒された時、王族がどんな目に遭われたか知らなかったのでしょうか。彼の論理では、ソビエト・ロシアが世界を統一するもので、その中にいく日本は決して弾圧されない。文化としての天皇は残るだろうと発想する。グローバル化の気味の悪さで、こうした例を挙げている。この人達は、アイデンティティーがどこかへ行ってしまっている。倒錯してしまっている。こうした倒錯は現在の日本人とも無縁ではない。エコノミスト達は、米国中心の世界経済がまず頭にあり、日本はそれにどう貢献するかを考える。そんな人達に日本経済が復活したり、豊にすることができるとは思えません。
話題になっているTPPについて、重大な問題として、何人かと連携して反対を唱えてきた。TPPは小国が集まって04年にたんじょうしたが、08年に米国が突然参加を申し出た。小国の連合に対して、大国がいきなり乗っ取りをしたと言っても良いが、そこで、TPPの性格が変わった。私は、米国の狙いを金融と投資であると指摘した。08年以前には、協定状況に投資と金融はなく、TPPを利用して、金融・投資の自由化をしようとしたのが、米国のもくろみです。09年に大統領に就任したバラク・オバマは、露骨に、TPPは米国の国内の景気対策で有り、実は雇用対策であると言い、通商代表部も議会に同趣旨の文書を送っている。自由貿易等とは一切言っていない。TPPの相手として米国以外は小さすぎた。バカなことを言うなとウォールストリートジャーナルに記事が出て、からかわれた。その後ろに、そこで日本と韓国とをくわえてはどうかとの意見があり、ピーター村研究所などが出て来て、安全保障と絡ませれば日本は断り切れないなどとの意見が出て来た。この時点で、日本と韓国とを巻き込む戦略になっていく。
TPPの効果という、数字で、2.7兆円という数字が出たが、日本のGDPの内からすれば、意味が無い数字であった。日本の新聞は腐っている。0.054%の数字である。財界は、韓国が対米輸出を伸ばしたなどと、まことしやかに言った。
(つづく)
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