Barren Land in the Snow
おはようございます。
丸山薫の詩集「北を夢む」を、本棚から久しぶりに取り出してきている。
日本の政治経済は、雪に埋もれた曠野のようだ。貯えもすくなったから、色々なことが心に沁み渡るようになって来ている。空とぶ鳥を地に釣る者も出る気配だ。
曠野
私の住むこの北の国よりも更に北にひろがる
一望 雪に埋もれた曠野の友が語った
「鴉(からす)のろうそく焼き」とう奇妙な風習がある
雪の野原に穴を掘って
その底に何かの餌(えさ)を投げて入れて置き
空とぶ鳥を地に釣るのだという
さて、その獲物をろうそくの灯(ひ)で焼くのだったか
または蒸し焼きにして食べるのだったか
その由って来るところは忘れた
世に味無いことを形容して
「蝋を噛む」という言葉があるが
あの不味いろうそくと零落(うらぶ)れた鳥と曠野の雪と
それら 荒涼の中に足掻(あが)く
一点 炎のように必死な北人の生命との照合(てらしあわせ)が
私に ある可笑しく悲痛な感銘を与えた
だが いまの私の四囲を閉ざす
山また山 雪また雪のこの山里にも
吹雪の止絶える二月の末頃になると
どこからか あれら 空の放浪者がやってくる
かれらは高い杉の梢に翼を憩(やす)め
ふいに 一声 二声 咳き入るように啼いて
すぐに 谷低く翔び去って行く
冬の無為もすでに終わりに近く
家々に食料の貯えも乏しくなっているので
その声は佗(わ)びしく 人の心に沁み渡るのだ
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