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A Drop of Water

今日(平成24年3月5日)の日本経済新聞の地域総合面に、時流地流というコラムがあるが、そのコラムが送付されてきた。言霊を感じる文章であったので、当方ブログに転載したいと筆者の了解を求めたところ、快諾を得た。感謝して、下記のとおり転載する。

原発と若狭 水上勉の「一滴」

♦東日本大震災後、国内の原子力発電所で初の再稼働を目指す関西電力大飯原原発がある福井県おおい町は、作家の水上勉の故郷だ。9歳で京都の禅寺に出され、30以上も職を転々としながら、「飢餓海峡」「五番町夕霧楼」など人間の業の深さと悲哀を弱者の視線で描いた水上は、原発が立地する故郷を憂い続けた。

♦旧ソ連でチェルノブイリ原発事故が起きた1986年。水上は随筆「若狭憂愁」で、イカの漁場だった半島で原発の増設工事が進む様子を「人間の修羅場」と表現した。「原発の安全は人間を信じることだ。ひとつそれがくずれれば、いか釣り舟も地獄の宴だ」。そこには人類が制御しきれない“神の火”への畏怖と、ある種の諦観が漂う。

♦当時、町には火葬場がなく、土葬の風習が残っていた。水上は祈る。「原始の人間生死を抱いて生きている。世界最先端のエネルギー生産ドームを抱いている。おお、この不思議な村に永遠の幸いあれ」

♦現在のおおい町は原発4基を抱え、原発マネーでできた豪華な施設が多い。しかし内陸に分け入ると、のどかな田園風景が広がる。山すそに、水上が建てた「若州一滴文庫」がたたずむ。「一滴の水を惜しめ」との禅の思想を説き、大量生産・大量消費社会に警鐘を鳴らしてきた。ここで、、竹林を借景に上演される竹人形劇「越前竹人形」は妖(あや)しいほど美しい。

♦一滴文庫では、多くの水上作品の挿絵や本の装丁を手がけた地元在住の画家、渡辺淳(すなお)さん(80)の企画展が開かれている。炭焼きや郵便配達請負の仕事をしながら、若狭の風景を65年間描いてきた渡辺さんは、自然と人間文明のあり方を問い続ける。

♦東京電力の福島第1原発事故には大きなショックを受けた。「先を急ぐように文明の開発に明け暮れる現代。今こそ足元を見つめなおさなければならない」と話す。別れ際、渡辺さんはこんな言葉を書いてくれた。「この谷の この土を喰(く)い この風に吹かれて 生きたい」

(杉野耕一)

以上。

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