構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Japan's Policy Trap

「当時のインドがイギリスの通貨植民地だったら,現在の日本はアメリカの通貨植民地と言うことになるだろう。植民地インドがポンドに支配され黒字に見合った富を宗主国イギリスに吸い上げられたと同時に,植民地日本はドルに支配されてやはり黒字に見合ったとも伊を宗主国アメリカに吸い上げられていると行っても過言ではない」

「輸出で稼いだ黒字を日本がドルでアメリカに預け、日本の利益ではなく,アメリカの利益に貢献している限り、円高圧力もデフレ圧力も弱まることなく,政府・日銀がいくら財政支出や金融緩和というデフレ解消策を講じても,一向に持続性ある効果は現れないのである」

(以上は、文春新書481 三國陽夫「黒字亡国ーー対米黒字が日本経済を殺す」 の第二章 「なぜ通貨植民地から逃れられないか」より)

輸出立国の実態は輸出亡国、日本(円)はアメリカ(ドル)に富を収奪される通貨植民地である、と帯に書いている。2005年に発刊された新書。

第一章 「輸出亡国」につながる富の収奪システム

第三章 「日本につけを回す」ニクソンショック アメリカは経常収支の赤字が経済成長を加速するアクセルになることを知ってしまった。日本が払いつづけられる限度までアメリカの赤字は拡大する。

第四章 「サプライサイドからデマンド・サイドへ」生産を増やして消費者に売り込む政策から消費者の需要を高め,それに対応した生産を活性化させていく。政治・経済の発想を転換させることである。

第五章 敗戦国ドイツと日本、運命を分けた道 日本はどこで道を誤ったしまったのか,同じ敗戦国ドイツの歩みと比較すると,日本が取るべき進路が見える。

第六章 静かな「最大の金融危機」を回避せよ 異変が起きているのをご存じか。日銀が笛を吹いても、銀行は与信を拡大しない。銀行が貸し出しを延ばそうとしても,企業も借りてくれない。

あとがきは秀逸である。プラザ合意に驚いたこと。井上ひさしの餓鬼大将の論理に似ていること。旧大蔵省が、対ドル円レートを市場に委ねないで、決定する権限を大事にしすぎたばかりに、代償として富を失った。「柏木雄介の証言 戦後日本の国際金融史」によると、それまで金を買っていたのに、アメリカ財務相の担当官に好ましきことではないと言われて,やめた。1965年にドゴールは、ドルを金に交換した。「時代の要請に合わせて経済構造を変えることは経済政策としては理解できても,政治としてそれを具体化することは至難の業で有り、どの国も成功するとは限らない」「アルゼンチンが没落したのは、改革へのリーダーシップをとれる立場の人達が世界に通用する自国文化を自らの目で見いだせなかったことである。」

郵政民営化を争点にした2005年九月の衆議院選挙は、構造改革の突破口になると思われて強行された、小選挙区の特徴が顕著に出て、なるほど小泉自民党が圧勝したが、何のことはない、経済成長を求める政策が実行されるどころか、「黒字亡国」が継続されて、いよいよ主権を放棄する政策が継続した、と考えることができる。

しかし、その失策は頂点に今達した。国民は民主党に政権を交代させたが、国民の期待を裏切り,鳩山内閣がつぶれ、菅内閣で地震と原発暴走があり、いよいよ小泉・竹中路線以来の緊縮・増税路線を継続することに「命をかける」との迷妄に至ったからである。郵政民営化の大失敗が、郵政民営化改正法案で確認され、いよいよ政界再編の引き金をひくことになった。

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