構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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A Resistance

小村寿太郎のこと。郵政民営化の虚妄。坂を転がり落ちる日本。デジャビュの世界。数年前に書いた拙文だ。

小村寿太郎と郵政民営化

宮崎を訪れるたびに、小村寿太郎先生の故事を思う。戦費調達で世界を回り、外交の粋を尽くして、 ポーツマスの講和を達成したが、取り分が少ないと日比谷の焼打ち事件に遭遇した悲哀のことだ。 政治の狂気で、維新後の繁栄が坂を転げ落ち始める。大正デモクラシーもあり自由な議会政治は20年代で終わりを告げて、 後は戦争と微用の時代に入る。
郵政民営化問題はそんな時代の始まりのような気がしてならない。民営化という言葉のマジックで、 340兆円という巨額の国民資産たる郵便貯金の資金が、新しく設立される独立行政法人の支配下に入る。 無駄遣いをした特殊法人の整理には手がついておらず、国の赤字財政は刻々と肥大化する中で、 赤字の埋め合わせに増税論がしきりにアドバルーンとな...っている。 せっかく郵政公社を創設して、資金運用の自由を認めて財政投融資制度と切り離したのに、 国債の購入を義務付けだけでは、完全に後ろ向きだ。むしろ、将来のための投資に回すことが大切で、地域開発や、教育や、福祉や、 はてまた美しい日本を作る公共事業も必要だ。インフラも欧米に比べればまだまだだ。無駄を排することは当然だが、 それは郵便局の責任ではない。野放図な財政運営をやめさせることが肝心で、民営化の問題ではないし、ばら色の未来が開けるわけでもない。

郵便局は税金で負担されているわけではない。独立独歩で、利益が上がれば法人税率以上の納付金を課すことで郵政公社が発足したはずだ。 平成17年度決算も2兆円の黒字、結果、6000億円を国庫納付する優良企業になっている。 株価の値上がりということが強調されるが公社マン一丸の努力の積み重ねだ。
親方日の丸を排除するために公務員制度の改革が進歩しない中で、郵政公社は人事給与制度の改革にも着手しているし、 国富が時間を追って縮小する経済の中では、むしろ安全策として有効な役割を担ってきたのではないだろうか。 民営化では、今の郵便局はとても成り立たない。法案は正面から郵便貯金と簡易保険を廃止しようとする過激さだ。 町や村の郵便局は、貯金と保険の上がりで経営されているから、とても維持できない。 郵便局の定義が変えていて、郵便の引き受けや、切手印紙の販売をする営業所という法案の位置付けではとても持たない。 小学校や、駐在所などと同じようになくなれば、 地域の共同体は体を成さなくなる。年金はどこに受け取りにいけばいいのだろうか。「民」営化という表現とは裏腹に、 官僚支配が、経済統制・微用が透けて見える。
始まった民営化の動きをばら色と見ないで、地方や高齢者の目線を常に置きながら関係者は判断していただきたい。

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