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Coming Apart 2

Coming Apart は、段々とお互いの距離が離れていくような状況の表現である。バラバラになっていると表現できるのかも知れない。副題を、「白人アメリカの状況 1960-2010年」と付けている。著者のチャールズ マレー氏は、アメリカンエンタープライズ研究所の研究員である。これまでもベストセラーの本をいくつか書いている。大統領選挙を控えている年の初めに出版しているのは、政治的な議論をおこなわれるから、その際の討議資料とせんばかりの内容である。アメリカでは、貧富の差が拡大して、一部の高い教育を受けたエリート層が,新上流階級をつくりだし、一方では新しい下層階級が出来たとしている。

しかも、そのエリートは、政治的な影響力もあり、アメリカの政治を動かしているが、国内の現状については知らずに、アメリカがアメリカであることを支える伝統的な徳目が急速に失われている現実を知らないと指摘している。階級によって、居住する地域が異なる。首都ワシントンの居住地が所得によって濃淡が付けられている地図が本の中に掲載されているが、圧巻である。当方ブログは、実際にこの三月にワシントンの市内を歩いて,又、車で回って確かめていたから、この本の記述は、なるほどと思わせた。首都ワシントンの北東地域は,高級住宅街となり、今では夕方になるとジョギングをしたらい、若い男女が談笑しながら,屋外のテラスに張り出したレストランで夕食をとっていた。つまり、治安は、10年前か20年前と比べて良くなっている印象であった。しかし、ポトマック川の向かいの地域は、正確に言うと、リンカーン記念堂の向かいで、沿岸警備隊の本部の近くの地域などは、まだ地下鉄も通らずに、昼間から黒人の若者が失業してたむろして、缶蹴りをしている実際を見てきたところであった。

この本は、アメリカの問題は、人種差別ではなく、新しい階級差別であるとる。労働階級の衰退と衰退と下級社会化について警鐘を鳴らしている。例えば、結婚している比率は1960年の84%から、半分を切り、両親と生活出来る子供の数は、1960年の96%から、急速に減って37%になっている。10万人あたりの逮捕者数は、125から592に増加した。もう殆ど行かなくなり、年一回にとどまる者が59%を占める。(つづく)

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