Lost Governance
ゆうパック事業とペリカン便事業の統合については、西川日本郵政社長(当時)において、統合に慎重であった郵便事業会社の首脳陣に知らせないまま,平成19年10月、日本郵政・日通間の基本合意書を締結するなど、経営判断としての合理性を大きく逸脱していると認められる旨、日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会(郷原信郎(ごうはらのぶお)委員長)の報告書(平成22年5月)において指摘されている。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000066080.pdf
要すれば、日通のペリカン便の損失を、ゆうパック事業から補填した可能性がある。JPエクスプレスは、統合後5年後には、単独806億円、連結943億円の赤字にのぼった。900億円前後を郵便事業会社が負担することになることが指摘されていた。
関与した政治家は誰か、具体的なことは闇の中にある。烏天狗どもは、野に放たれたままだ。何の責任追及も行われていない。しかし、天網恢々疎にして漏らさず、そうした不正がいつかは明らかになる。朝の来ない夜などないのだ。
報告書の関連部分は次の通りである。
「2 JPEX事案
郵便事業会社と日本通運株式会社(以下、「日通」)の共同出資により、ゆうパック事業とペリカン便事業との統合をめざしてJPエクスプレス株式会社(以下、「JPEX」)が設立されたが、最終的にはゆうパック事業を郵便事業から切り離すことに関して総務省の認可が得られず、事業統合を断念、同社は清算することとなり多額の損失が発生した。その過程において以下のような事実があり、経営判断としての合理性を大きく逸脱していると認められる。
・ 両事業の統合については、西川社長において、日本郵政の三井住友銀行出身者に担当させる一方、所要の検討も行わせず、かつ、統合に慎重であった郵便事業会社首脳陣に知らせないまま、平成19年10月5日、日本郵政・日通間の基本合意書を締結した。
・ その後、郵便事業会社首脳陣は、統合後のJPEXの事業収支が確定できず、ま
た、いずれにしろ多額の赤字が予想されたことから、直ちに統合を行うことに反対したにもかかわらず、西川社長において、同反対を押し切り、平成20年4月25日、日本郵政・郵便事業会社・日通間の統合基本合意書を締結させた。
・ 上記締結により、同年6月2日にJPEXが設立されたが、その後も、郵便事業会社において算出したところでは、JPEXの事業収支は統合後5年度の全てが赤字で、累積にかかる赤字は単独806億円・連結943億円に上ったにも関わらず、西川社長において、郵便事業会社がそのような数字を算出したこと自体を叱責したことから、これを受けて郵便事業会社において統合後4年度目に黒字化するなどの事業収支を提出することを余儀なくされ、その結果として、同年8月28日、郵便事業会社・日通間で統合のための最終契約である株主間契約書が締結された。
・ その後、ペリカン便事業については、平成21年4月1日、JPEXに分割承継
されたものの、ゆうパック事業については、総務省において、統合による郵便事業への影響等が判断しがたいことなどにより、同事業のJPEXへの分割承継を認可しなかったことから、郵便事業会社は、同年11月26日以降、JPEX事業の見直しを決定し、現状、平成22年7月のJPEX解散、同会社資産の郵便事業会社への承継を予定しているが、同解散時点での累積損失額の合計は983億円(平成22年2月 平成22事業年度事業計画認可申請時点の見込み額)と見込まれ、今のところでは、そのうち900億円前後は郵便事業会社が負担することになると思われる。
・ 上記株主間契約書締結についての日本郵政取締役会への報告の際の社外取締役の種々の有益な意見が執行側から無視された。
« Post Office in a Department Store at Shibuya, Tokyo | トップページ | A Venture into the Interior »
この記事へのコメントは終了しました。
« Post Office in a Department Store at Shibuya, Tokyo | トップページ | A Venture into the Interior »
コメント