構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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Fake Reform

郵政民営化の虚妄のなかで、分社化が強行されたが、郵政民営化の見直し法によって、郵便局会社と郵便事業会社が統合されたことになったが、その内実は,事業本部制と称して、縦割りで残され、実際には二つの会社組織が縦割りで温存されたままである。現場では、局長がひとり、副局長が、従来の支店長が就任するという、たすき掛けの人事という過渡的な状態となっている。

以下の記事は、早期に改善が実施されるべきであるとの意見を、東海地方の郵便局長会の専務理事が開陳している。実質的な統合をしなければ、民営化の見直しをわざわざ行った立法の趣旨にも反することになるだろう。組織が縦割りになって機能不全を起こしているばかりではなく、肥大化しているのではないのか。新自由主義の特徴である一部経営者による独裁を容易にする組織が温存され、基本的な改革が行われずに、今では足かせになって残ってしまっている。縦割り組織のなかで、横の連携が失われてい、情報共有も行われずに、組織が動かせないのであれば,いかなる具体的な改善も実現はされないことになる。そうした無策が継続する可能性があるのは、無為無策を良しとする,つまり、企業価値を上昇させることなく、支配の為の株式売却を早期に進めようとする、市場原理主義の烏天狗の残党が大人数で残っているからとの見方も有力である。

羽根渕氏の観察は、現場だけではなく、民営化の集中によって破壊された中間組織としての支社機能などの現状をも見据えた、正鵠を得た提言であると考えられる。

http://www.tsushin-bunka.co.jp/?p=2841

以下は,上記リンクからの記事の引用である。

「支社へ権限委譲を
東海地方会
羽根渕光秋専務理事

 東海地方郵便局長会(山本一明会長)は営業などで高い実績を上げている。そうした地方会活動、会長などを影で支える羽根渕光秋専務理事は、郵便局現場だけでなく、支社の状況なども詳細に把握している。「日本郵便」が誕生し、新たな発展を目指す郵政グループの中で「本部制だけでは実質的な統合は難しい。支社にも統合準備室などを設けて、すそ野を広げたスキームを早期に構築すべき」と強調する。
(園田万里子)

統合は縦割り排せ
■改正郵政民営化法の全面施行によって、郵便局会社と郵便事業会社が統合され、「日本郵便」としての業務がスタートしたが、統合第二期が終了する来年三月末までに統合はほぼ完了するのだろうか。全特側から現場を見て感じることなどは。
 二社は統合を機に本部制を導入し、郵便局事業本部と郵便事業本部の二つに分けたが、実態的に縦割りになっている。早い段階で一体化しなければならない。本社の指示を待つのではなく、支社に準備室を設けて調整するなどを実施すれば比較的スムーズに進むだろう。
 そうしたスキームがないために結局、これまでと同様に縦割りになっている。早い段階で統合させなければならないため、まずスキームを構築した上で調整することが重要だ。

■民営化後五年を経て、社員の意識や職場の風土も変わってしまったようだ。言葉上一体化というのは簡単だが、実質的な一体化にはなりにくい。
 だからこそ、局会社と事業会社が一体になる新しい風土を作らなければならない。全体のスキームを構築して、権限を支社へ下さなければならない。本社から支社への指示系統には複雑な部分があるため、手順を早く示した方がよい。
 支社には「本社がスキームを作るよう指導しないのであれば、定期的に両社の関係部署が集まってスキームを議論し、意見交換する。実態的に動かしていくのはどうだろうか」と提案している。一体化が遅れるほどサービス面にも影響が出てしまう。来年四月一日は統合第二期が完了する節目になるが、そこでスキームをスタートするのではなく、スタートの時には仕組みがスムーズに動いていなければならない。

■旧郵便局会社と旧郵便事業会社の各担当部門は、あまり協議がなされていなかったのだろうか。
 両社の総務部長と企画部長が協議の場を設けているが、胸襟を開いて本音を言い合い、本質的な部分に触れるところまではいっていないようだ。統合しても、意識や目的の相違があり、合理的には収まらないケースがある。こうした問題は今後もついて回るだろう。
 任意のプロジェクトを組んでもよいが、クオリティの高いサービスを提供できるようなスキームを構築すべきだ。組織は統合しても、本部制のままでは、本部の縦のラインの名称が変わっただけで実態は変わらない。

スピード、果敢、徹底
■郵政グループ執行部と、全国郵便局長会の地方会との関係性はどのような関係にあるのだろうか。協議は頻繁に行われているのだろうか。
 各地方会などは会社側の支社の応援団、サポート役のような部分がある。支社が活性化し、郵便局が合理的で高い水準のサービスができるようになれば全特としての機能も発揮できる。
 郵便局長は経営者の一人だ。経営側の立場で考えるとやるべきことは山積し、非常に大変なことはよく分かる。ベースになる部分をしっかりと作らなければならないだろう。
 将来像をどう描くのかを考えて、会社側も「郵政グループビジョン2021」を作成している。目標達成に向けた検証の節目は三日、三週間、三か月、三年とよく言われるが、全特としても、近未来、中未来の十年先も視野に入れた将来像を描くべきだ。

■将来を見据えた上で今後、重要なこととは。
 スピードと果敢と徹底、この三点が非常に重要だ。組織が新たにスタートしたことを契機に、スピード感を持って何事にも対応しなければならない。果敢というのは遠慮を排し、新たなものに挑戦する姿勢が大切になる。社員の意見を吸い上げる仕組みも必要で、その中で新しい一手を打っていかなければならない。
 もう一つは徹底だ。いくら良いビジョンを持っていても的確に検証する必要がある。営業の基本中の基本だろう。他の仕事も同じことだが、例えば局長が指示して局員が結果を出せなかった時に、できることをやらなかったのか、やったが成果が上がらなかったのか、様々な要因がある。的確に分析して何が足りなかったからできなかったのか検証する仕組みも必要だ。

利用者に付加価値
■収益を上げなければならない一方で、特殊会社としての公益的・地域的な役割も果たしていかなければならず、バランスが非常に難しい。
 どういう手法でバランスをとるのかを真剣に考えなければならない。結局、郵便局長の能力と手腕が問われる。東海地方会の事業計画には“自律と自立”を盛り込んでいる。自ら律し、自ら立つことだ。
 郵便局長は自分の頭で考えて自らが率先して幅広い視野の取り組みを行うことが重要だ。各センター部門で、あらゆる切り口、また全体像を検証していかなればなかなか理想とするものができない。

■会社側の「郵政グループビジョン2021」は郵便局を中心に見据えた今後約十年間にわたるビジョンになっているが、本気度はどうだろうか。
 大きなテーマが与えられて勝手にやりなさいといっても、組織が機能していなければ意味がない。
 そこに社員の意識が追い付いていかなければならない。能動的な社員を育成する文化や教育も重要だ。
 ボタンの掛け違いをしないために、事前の根回しは非常に大切で、スピードが求められる時代だからこそ、調整作業が重要になる。

■利用者にとっての郵便局は今後どうあるべきか、どう発展していくべきだろうか。
 営業の本質は、お客さまの気持ちをどこまで汲みとれるかにある。郵便局は現在の郵便局の機能だけに固執して業務を遂行するのではなく、利用者の気持ちを汲み、付加価値を感じていただける仕事を増やしていかなければならない。」

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