To Rectify the Deflation
田中角栄総理の時代が見直されている。日本列島改造論の要約をまとめた方がいるので、それを転載したい。デフレにあえいでいる日本から脱却する為の処方箋が書かれている。
デフレ脱却のために!(その1)
田中角栄著「日本列島改造論」は絶版になっていて、皆さんの目に
経済、地方経済、財政、社会福祉、国際関係など、現在の「デフレ
夢を語り現実にする政治家「田中角栄」(A氏コメント)
我々がこの豊かな日本の社会で生活できるのは、天才的な政治家
その後、多くの政治家や官僚が、彼のつくったシステム(利権、
田中角栄は、多くの夢を語り、それを実現した日本近代史のなか
まず、その「目次」と、基本的な考えをまとめた「むすび」を掲
(むすびは、前出の投稿に添付)
田中角栄著「日本列島改造論」
目次(*部を紹介)
Ⅰ 私はこう考える *
「都市政策大綱」成る *
ガソリン税の採用 *
「平和」と「福祉」に徹しよう *
Ⅱ 明治百年は国土維新
近代日本を築いた力
戦後経済の三段飛び *
人口の32%が国土の1%に住む
許容量を越える東京の大気汚染
一寸先はやみ、停電のピンチ
時速9キロの“くるま社会”
一人、1平方メートルの公園面積
5時間で焼けつくす東京の下町
生活を脅かす大都市の地価、物価
一人あたり四畳半の住宅
不足する労働力
過疎と出かせぎでくずれる地域社会
Ⅲ 平和と福祉を実現する成長経済 *
経済の成長は可能かつ必要 *
日本経済の未来像 *
世界のなかの日本 *
Ⅳ 人と経済の流れを変える
工業再配置で描く新産業地図
過密と過疎の同時解決
産業地図を塗り変える
無公害工業基地
インダストリアル・パーク
動き出す工業再配置計画
工業再配置を支える交通ネットワーク
1兆3200億トンキロをどうさばく
開幕した新幹線時代
縦貫と輪切りの高速道路
四国は日本の表玄関
工業港と流通港の整備
ダム1千ヵ所の建設を
ジャンボとSTOL機で結ぶ日本の空
Ⅴ 都市改造と地域開発
花ひらく情報化時代
新地方都市ビジョン
農工一体でよみがえる近代農村
平面都市から立体都市へ
住宅問題をとくカギ
Ⅵ 禁止と誘導と
自動車重量税でトクをするのはだれか
産業政策の大転換
新しい官民協調路線を求めて
Ⅶ むすび
単年度予算では、国土改造のような長期にわたる事業を継続する
(単年度予算は、日本国憲法 第八十六条と財政法に規定されてい
Ⅰ 私はこう考える
(途中省略)
財政との関係
まず、財政問題である。わが国は明治から百年間、一貫してとり
わが国の財政は、たとえば重要港の指定が貨物取扱い量の実績を
これと並行して、これまでの財政の補完的役割にとどまっている
ともかく、国土改造には巨額の資金を必要とする。国の財政面か
公債政策もその体制の一環である。単年度ごとの財政均衡という
(田中角栄の国家観と平和主義は、戦中派としての悲惨な戦争と敗
Ⅰ 私はこう考える
(途中省略)
世界のすう勢を考える
ところで、私の提唱している国土総合改造政策は急速に変化する
「平和」と「福祉」に徹しよう
戦後の東西冷戦構造は基本的にくずれ、世界は平和共存に向かっ
国家観の原点、焼け野原からの復興と経済成長
Ⅱ 明治百年は国土維新
(省略)
2 戦後経済の三段跳び
産業と人口の都市集中は、戦後の高度成長にともなって加速化さ
戦後の日本経済は三つの段階を経て発展してきたといえる。それ
昭和二十年八月十五日、日本はポツダム宣言を無条件で受諾し、
戦後、しばらくのあいだ、国民の多くはボロをまとい、すき腹を
日本経済に立ち直りのきっかけを与えたのは石炭、鉄鋼などの生
このようにして、ほぼインフレの終息に成功したものの、海外市
ところが二十五年六月、朝鮮動乱がぼっ発して内外の経済情勢は
(省略)
(この章は基本的な考えが表されているので、全てを紹介する。内
Ⅲ 平和と福祉を実現する成長経済
成長追求型から成長活用型へ
1 経済の成長は可能かつ必要
「奇跡」ではない日本の成功
戦後の日本経済は。平均して実質10%以上の高度成長をつづけ
第二は、教育水準が高く、勤勉な労働力が豊富に存在した。
第三は、新技術や新設備を積極的に導入して技術革新につとめた
第四は、企業経営者の積極経営を支える金融機関が存在し、政府
第五は、自由、多角、無差別の戦後世界貿易体制が、わが国に有
第六は、自由民主党が国民多数の支持をえて、政治を安定させて
この結果、日本経済には好循環ともいうべき”成長のサイクル”
今後も成長は可能
ところがここ数年、日本経済をめぐる内外の情勢が急速に変化し
第一は、これまでの好循環を支えてきた民間設備投資が、停滞の
第二は、輸出の拡大がこれまでのテンポでなおつづくのを、あま
第三は、高度成長時代をつうじて、大都市の過密、環境の汚染が
第四は、労働力、特に若年労働力が不足してきている。
このような理由を指摘して「日本経済の高度成長は終わった」と
その一は、社会資本投資の拡大である。四十五年の国民一人当た
その二は、個人消費の拡大である。現在、わが国の個人消費額は
その三は、わが国が一億人を超えるすぐれた国民をもち、自由で
したがって、私たちが時代の変化に対応し、これまでの民間設備
(福祉の原資はなにか。)
(生産性向上と地価負担軽減のための地方分散、流通コスト低減で
福祉は天から降ってこない
一部の人びとは「高度成長は不要だ」「産業の発展はもうごめん
仮りに日本経済の成長率をかなり下げた場合、わが国の経済社会
物価上昇を押さえる
「成長が低下すれば物価の上昇もとまる」という説がある。しか
たしかに物価上昇のひとつの原因として、成長率が高く需要が強
したがって、物価上昇を抑制するためには、第一に農業や中小企
(日本経済発展;産業構造を資源を消費する重化学工業から知的集
2 日本経済の未来像
昭和六十年は三百兆円経済
日本経済が四十五年度の国民総生産73兆円を基礎として、この
こんごの経済成長率については、いろいろな見方がある。仮りに
国民総生産が304兆円の場合、製造業の生産額は実質273兆
一方、国民所得は大幅に伸び、就業者一人あたりの年間所得は3
問題はアメリカの三十分の一に過ぎない日本列島の成長の四つの
産業構造は知的集約型へ
三十年代の産業構造政策は、もっぱら経済成長を目標としたため
そこでこんごの産業構造は、経済成長の視点に加えて、わが国を
このようにみると、将来の産業構造の重心は、資源・エネルギー
それでは、知識集約型産業構造を形成するためにはどうするか。
(社会資本の整備に充当する長期財政運営のための公債(国債)な
成長追求型から成長活用型へ
これまでの日本経済は、高度成長でえた経済力をます設備投資に
しかし、日本の内外の条件は根本的に変わった。こんごは成長を
高度成長時代を通じ、公害、インフレーション、都市の過密と農
このように成長した経済力を積極的に活用していくことによって
福祉が成長を生む長期積極財政
日本経済の軌道を修正し、成長活用型の経済運営をすすめていく
たとえばいま、一つの事業が計画から完成まで七年かかるとしよ
これまでの日本経済では、財政があまり拡大すると景気過熱や国
このような積極財政は、社会資本の充実や教育、医療の改善、技
このようにして、成長活用型の経済運営は「福祉が成長を生み、
(当時、日本経済は世界の脅威であった。それを緩和するための貿
平和主義と国際協調、国際分業の推進
3 世界のなかの日本
貿易立国は不変の国是
みるべき資源にとぼしく、せまい国土に一億を超す人口をかかえ
ところが、最近では世界各国のあいだに「日本経済の急成長は国
戦後のわが国はブレトンウッズ体制やガットなど既存の国際経済
日本と各国のあいだで、かりに部分的な利害の対立があるとして
南北問題とわが国の役割
1960年代において「南」の発展途上国は平均5.5%の経済
いまや南北問題は共存に向かう東西関係に代わって、二十世紀の
わが国は「南」の発展途上国にたいし、四十五年において18億
(最終回)
読み直してみると、庶民の目線で生活や環境をいかに改善してきた
GHQの占領下で不自由な政治活動を強いられながら日本の復興に
田中角栄元首相が関与した法律、会議、組織の一覧表
「戦後国土開発計画の歩み」
昭和20年 国土計画基本方針
21 復興国土計画要綱
24 総合国土開発審議会
25 国土総合開発法
国土総合開発審議会
港湾法
北海道開発法
首都建設法
26 経済自立三カ年計画案発表、自立経済審議会発足
旧河川法改正
公営住宅法
27 企業合理化促進法
国土総合開発法一部改正
道路法
道路整備費の財源等に関する臨時措置法
農地法
電源開発促進法(電源開発(株)発足)
28 港湾整備促進法
離島振興法
29 土地区画整理法
30 経済自立五カ年計画
愛知用水公団
日本住宅公団
31 道路整備特別措置法
日本道路公団
首都圏整備法
工業用水法
空港整備法
32 新長期経済計画
国土開発縦貫自動事道建設法
高速自動車国道法
東北開発促進法
東北開発株式会社
特定多目的ダム法
33 工業用水道事業法
道路整備緊急措置法
首都圏市街地開発区域整備法
公共用水域の水質の保全に関する法律
工場排水等の規制に関する法律
34 首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律
特定港湾施設整備特別措置法
九州地方開発促進法
首都高速道路公団
35 国民所得倍増計画
治山治水緊急措置法
四国地方開発促進法
北陸地方開発促進法
中国地方開発促進法
東海道幹線自動車道建設法
36 港湾整備緊急措置法
後進地域の開発に関する公共事業等に係る国の負担割合の特別
低開発地域工業開発促進法
産炭地域振興臨時措置法
水資源開発促進法
37 新産業都市建設促進法
水資源開発公団
全国総合開発計画
豪雪地帯対策特別措置法
38 近畿圏整備法
39 工業整備特別地域整備促進法
河川法
日本鉄道建設公団
40 中期経済計画
山村振興法
41 中部圏開発整備法
国土開発幹線自動車道建設法
新東京国際空港公団
42 経済社会発展計画
公害対策基本法
外貿埠頭公団
43 都市計画法
自民党都市政策大綱
44 新全国総合開発計画
都市再開発法
45 過疎地域対策緊急措置法
新経済社会発展計画
本州四国連絡橋公団
全国新幹線鉄道整備法
46 農村地域工業導入促進法
47 工業再配置促進法
「財政出動と金融緩和をルーズベルト的な決意で効果が出るまでや
バーナンキFRB議長はフリードマン先生の教えを守り、その通り
クルーグマン「さっさと不況を終わらせろ」より
「クズ経済学」142頁~144頁
第二章で説明した通り、ごく普通の不景気に対処するのはかなり
でも、経済が本当に深刻な不景気に直面し、金融政策ではおさま
フリードマンの取った政治的な立場の多くを嫌う人々でさえ、彼
危機前に一般的だった考えの一端をうかがわせる例として、20
もちろん実際には何が起きたかというと、2008年から200
(注釈)
フリードマン先生の予測が外れたのは「ルーズベルト的な決意で、
ポール・クルーグマン「さっさと不況を終わらせろ」P277
FRB
日本は1990年に、しつこい停滞に突入した。そしてその停滞か
その教授の名前は、一部の読者はおわかりだろうが、ベン・バー
2000年の日本銀行と同様に、今日のFRBはもはや伝統的な
・新しく刷ったお金を使い「非伝統的」な資産、例えば長期債や民
・新しく刷ったお金を使って一時的な減税を埋め合わせる
・長期金利の目標を設定・・・例えば、10年物国際の利率を4~
・外国為替市場に介入して通貨の価値を低く抑え、輸出部門を強化
・今後5年から10年にわたり、高めのインフレ目標、例えば3~
バーナンキは、こうした政策のどれも成長と雇用に本当のプラス
残念ながら、バーナンキ議長はバーナンキ教授の助言に従わなか
議長の著作を見れば、FRBはずっとずっと多くのことをやって
(以下要約)
ジョンズ・ホプキンズ大学のローレンス・ポールのバーナンキ研
「バーナンキはFRBボーグ(スタートレックに出てくる集合生命
訳者解説(山形浩生氏)
本書の主張は極めて単純明快。いま(2012年)はまだ、リーマ
そして、その手法も明快。昔ながらのケインズ的な財政出動をやろ
さて、ご存じの通りいまはこうした施策は行われていない・・・わ
でも、これまで実施されているものは、その規模があまりにも小さ
(中略)
2011年の東日本大震災は、大きな不幸だったが、日本経済に
ところが、復興のための各種対応は遅々たるものだった。細かい
(注1、19兆の復興予算の内執行できない予算が7兆円と遅れて
(注2、日本のデフレギャップは20兆円と言われている。自民党
(注釈)
クルーグマンの「さっさと不況を終わらせろ」の主題は、「完全雇
導入部分では、米国の深刻な失業問題が継続していることを訴え、
最後に次のように結んでいる。「疑問の余地なく、ぼくがここで書
クルーグマンは、10年前、財政出動については懐疑的だった。最
三橋貴明氏ブログ
「財出と金融緩和でデフレが脱却出来るのは自明;藤井聡京大教授
http://ameblo.jp/
三橋貴明「新」日本経済新聞「バーナンキ議長の本当の狙いとは」
「フリードマンは、世界恐慌は基本的には金融政策の失敗が原因で
http://
むすび
明治、大正生まれの人びとには自分の郷里にたいする深い愛着と誇りがあった。故郷はたとえ貧しくとも、そこには、きびしい父とやさしい母がおり、幼な友達と山、川、海、緑の大地があった。志を立てて郷関をでた人びとは、離れた土地で学び、働き、家庭をもち、変転の人生を送ったであろう。室生犀星は「故郷は遠くに在りて思うもの」と歌った。成功した人も、失敗した人も、折にふれて思い出し、心の支えとしたのは、つねに変わらない郷土の人びとと、その風物であった。
明治百年の日本を築いた私たちのエネルギーは、地方に生まれ、都市に生まれた違いはあったにせよ、ともに愛すべき、誇るべき郷里のなかに不滅の源泉があったと思う。
私が日本列島改造に取組み、実現しようと願っているのは、失われ、破壊され、衰退しつつある日本人の”郷里”を全国的に再建し、私たちの社会に落着きとうるおいを取戻すためである。
人口と産業の大都市集中は、繁栄する今日の日本をつくりあげる原動力であった。しかし、この巨大な流れは、同時に、大都会の二間のアパートだけを郷里とする人びとを輩出させ、地方から若者の姿を消し、いなかに年寄りと重労働に苦しむ主婦を取り残す結果となった。このような社会から民族の百年を切りひらくエネルギーは生まれない。
かくて私は、工業再配置と交通・情報通信の全国的ネットワークの形成をテコにして、人とカネとものの流れを巨大都市から地方に逆流させる“地方分散”を推進することにした。
この「日本列島改造論」は、人口と産業の地方分散によって過密と過疎の同時解消をはかろうとするものであり、その処方箋を実行に移すための行動計画である。
私は衰退しつつある地方や農村に再生のためのダイナモをまわしたい。公害のない工場を大都市から地方に移し、地方都市を新しい発展の中核とし、高い所得の機会をつくる。教育、医療、文化、娯楽の施設をととのえ、豊かな生活環境を用意する。農業から離れる人びとは、地元で工場や商店に通い、自分でたべる米、野菜をつくり、余分の土地を賃耕にだし、出かせぎのない日々を送るだろう。
少数・精鋭の日本農業のにない手たちは、20ヘクタールから30ヘクタールの土地で大型機械を駆使し、牧草の緑で大規模な畜産経営を行い、くだものをつくり、米をつくるだろう。
大都市では、不必要な工場や大学を地方に移し、公害がなく、物価も安定して、住みよく、暮らしよい環境をつくりあげたい。人びとは週休二日制のもとで、生きがいのある仕事につくであろう。二十代、三十代の働きざかりは職住近接の高層アパートに、四十代近くになれば、田園に家を持ち、年老いた親を引き取り、週末には家族連れで近くの山、川、海にドライブを楽しみ、あるいは、日曜大工、日曜農業にいそしむであろう。
こうして、地方も大都市も、ともに人間らしい生活が送れる状態につくりかえられてこそ、人びとは自分の住む町や村に誇りをもち、連帯と協調の地域社会を実現できる。日本中どこに住んでいても、同じ便益と発展の可能性を見いだす限り、人びとの郷土愛は確乎たるものとして自らを支え、祖国日本への限りない結びつきが育っていくに違いない。
日本列島改造の仕事は、けわしく、困難である。しかし、私たちがこんごとも平和国家として生き抜き、日本経済のたくましい成長力を活用して、福祉と成長が両立する経済運営を行う限り、この世紀の大業に必要な資金と方策は必ずみつけだすことができる。
敗戦の焼け跡から今日の日本を建設してきたお互いの汗と力、智慧を技術を結集すれば、大都市や産業が主人公の社会ではなく、人間と太陽と緑が主人公となる”人間復権”の新しい時代を迎えることは決して不可能ではない。一億を越える有能で、明るく、勤勉な日本人が軍事大国の道をすすむことなく、先進国に共通するインフレーション、公害、都市の過密と農村の過疎、農業のゆきづまり、世代間の断絶をなくすために、総力をあげて国内の改革にすすむとき、世界の人びとは文明の尖端をすすむ日本をそのなかに見出すであろう。そして、自由で、社会的な偏見がなく、創意と努力さえあれば、だれでもがひとかどの人物になれる日本は、国際社会でも誠実で、尊敬できる友人として、どこの国ともイデオロギーの違いを乗り越え、兄弟づきあいが末長くできるであろう。
私は政治家として25年、均衡がとれた住みよい日本の実現をめざして微力をつくしてきた。私は残る自分の人生を、この仕事の総仕上げに捧げたい。そして、日本じゅうの家庭に団らんの笑い声があふれ、年寄りがやすらぎの余生を送り、青年の目に希望の光が輝く社会をつくりあげたいと思う。
« Fake Reform | トップページ | To Rectify the Situation »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント