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Fake Refoms and Politics

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藤井聡著、維新・改革の招待がアマゾンからも替える。書評が載っていた。そのうちの二つを、ご参考までに紹介したい。

1.日本経済の成長が止まった原因をバブル崩壊と少子高齢化によるものとする人たちが多いが、1985年以降の主要国GDP推移をみると日本のみが成長が止まっているがバブル崩壊後は成長している。そして、少子高齢化が進んでいるヨーロッパは成長している。ということは、たちの悪い責任逃れの口実であると言う事である。知っていながら嘘をついている。
本当の理由は、「改革」と称する政策の結果なのである。
この本は、敗戦後の日本の高度成長を官・学・政という立場で支え続け、繁栄をもたらす仕事に従事した宍戸駿太郎他二名の人に対するインタビューすることによってその事を実証しようとしたものである。
三人の長老から聴くという事は、データに反映することが出来ないがそれよりも遙かに重要なのは「経験知」であるという至極尤もなことの実行である。
それは、「改革や維新」の正体を明らかにするものであり、「誰が日本をダメにしたか」を探り未来に向けての手掛かりを考えることでもある。宍戸氏の話が一番切れがいい。
それによると、宮沢内閣までは官僚を含めて辛うじてアメリカに対し抵抗していたようである。しかし、小泉政権は「日本国家の最強かつ最後の財布」までも明け渡してしまった。日本人がコツコツ貯めたお金をアメリカの政府や投資家や企業がありとあらゆる方法で「巻き上げる」仕掛けが出来上がってしまった。
日本は、機関車から財布になってしまったということである。金融「資源国」である。それは、デフレで停滞しているのが望ましいのである。そして、この二つの流れは戦前からあった。
現況は、大英帝国と植民地インドの関係と同じである。それを許している日本人は愚かということである。
著者が橋本・江田コンビと名付けているが、橋本内閣が「失われた20年」を創った構造も詳らかに分析されている。
そして、財界も多国籍化しておりウォール街を中心としたグローバル財界に成果てている。

愉快ではないが今まで語られていない射程の長い内容が語られているので一気に読める。
マスコミは、我々の社会のあらゆる側面を映し出す鏡であるというのはその通りであろう。すべての責任は国民にある。
11年前、「ぶっ壊す」と熱弁を振るった人物が登場した。
その結果は、「一億総中流」から「多数の貧困層」と「一握りの富裕層」と成りつつある。
小泉純一郎という人は、罪作りな人である。
そして今、又、「ぶっ壊す」の焼き直しである「日本維新の会」という団体が現れた。
ブレーンの顔ぶれで分かっていたが最近、傀儡子が公認候補選定委員長として公然と姿を現わした。しかし、これは不用意だったかもしれない。一目瞭然となったのだから。
それにしても、「改革」を叫ぶ人たちのリーダークラスにその動機が「日本」に対する「恨み」としか思えないような人がいるのが気にかかる。
単に、「人間が信用できない」そして、「お目出度い人」たちなら未だ救いがあろうが。

2,野田総理の突然の「ちゃぶ台返し」により、総選挙が間近となった。
私たち日本国民は、政権の選択を間違える恐ろしさを、痛いほど感じている。
3年前、「政権交代」と耳触りの良い「マニフェスト」に騙され、「今度こそは正しい選択を」と願いつつ、確信ある判断に迷っている。
そして今、「維新」や「改革」の名を冠した「第三極」が、またぞろ台頭し始めている。

本書は、タイトルから分かる通り、「維新・改革」といった、漠然とした期待を抱かせる勢力が、「なぜ、ダメなのか」を明瞭に論じている。

かつても「改革」を名乗った勢力はあった。
「小泉郵政改革」。
古い日本を「ぶっ壊す」との言葉に、多くの国民が酔いしれ、残ったものは、「格差社会」であり、デフレ基調の長いトンネルは、今も続いている。

この背後に、一体、何があるのか。
藤井氏は、アメリカの「対日政策」の背景が、「日本機関車論」から「日本財布論」に移行していったことを指摘する。
すなわち、共に世界経済を引っ張る「機関車」から、アメリカに金を貸す、都合の良い「財布」になった。
ドラえもんのジャイアンが、スネ夫から「金を貸せ」と巻き上げ、「返して」と言っても、さらに次の金を貸せ、との譬えには、苦笑しつつも納得せざるを得なかった。
そのために最も適したのが、金を投資でなく貯蓄に回す「デフレ政策」であり、さらにアメリカが借りまくれるための「自由化」「構造改革」「郵政改革」であったのだ、と。

こうしたシステムを支えるのが、シカゴ大学を総本山とする「新自由主義経済学」である。内閣府が用いてきたのは、この主義に基づく「狂った羅針盤」であった、という。
大本が狂った上に、政治家、官僚、マスコミが「良心に基づいて」、日本を「成長」から「反成長」にミスリードしていったからくりが、見事に描かれている。

今回、藤井氏によって書き下ろされた本書の素晴らしさは、「高度成長」を支えてきた官僚、学者、政治家の長老3人(下河辺淳氏89歳、宍戸駿太郎氏88歳、小里貞利氏82歳)に直接話を聞き、藤井氏自らの主張を「証言」により裏付けていることである。

その上で、日本を「反成長」に導き、ダメにした6つの勢力を明示する。
すなわち、
1、「大蔵省/財務省」による「緊縮財政主義」
2、「経済学者」による「新自由主義経済学イデオロギー」
3、ウォール街・アメリカ政府等による「日本財布論」
4、アメリカ政府による「ジャパン・バッシング」
5、社会主義陣営(ソ連・中国)による「対日工作」
6、以上(1~5)の勢力の諸活動を吸収した「マス・メディア」

こうして根拠を明確にしたうえで、最終の第6章「維新で踊るダメ人間」では、「『維新』は『反成長派』を利する」として「TPP」と「道州制」の問題において、真っ向から勝負を挑む。
しかし、本当にダメなのは、マスコミが提供する目先の情報に踊らされる「ダメ人間達」である、と怒りを込めて訴えている。

また、「あとがき」にあたる「日本の未来のために」では、「強靭な国土」建設の壮大な構想を提示し、日本が「成長」に転ずる道筋が示されている。
藤井氏の主張への賛否に関わらず、非常に高い説得力を持つビジョンとして、一読に値する好著であると確信する。

政権選択の権利を行使できる、またとないチャンスの今。
だからこそ、一人でも多くの主権者が読み、主体的で確信ある選択を、と願う。自らが「ダメ人間」にならないために……。

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