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The Revolt of the Bureaucaracies 5

中野剛志著「官僚の反逆」の第四章は、反逆の真相と題して、日本の官僚制についての誤解を提示する。そもそも、日本の政治は官主導ではなかったことを指摘して、通俗の観念を覆している。日本が他の先進国に比べて、大きな政府であるとか、権限が強力であるとする批判もまた誤解に基づくものであることを明らかにしている。日本が中央集権的で地方分権が進んでいないという観念も単に通俗的なもので、否定されるべきであることを指摘している。

日本の官僚は、行政を政治の一部と考えて,政治のただ中に積極的に入り、様々な利害調整の過程を経て、公益を実現しようと活発に活動していた。こうした官僚のタイプを,政治的官僚と呼んでいる。官尊民卑の傾向にあり、傲然とした国士型官僚も曽てはいたが、それもせいぜい五〇年代から六〇年代のことであった、七十年代には、ほとんどなくなっていた。政治的官僚は、政官スクラム型りーだーしっぷのなかにあって、政治家や利権集団との間の調整や人脈作りに膨大な時間と労力を費やしていたのである。政官スクラム型のリーダーシップは厳然たる政治主導であった。しかし、政官スクラム型の政官の関係は、2000年以前に崩壊したとの見方を紹介している。グローバル化とは、全般的な非政治化・官僚制化である。吏員型の官僚が台頭してきたという。

小泉内閣の官僚操縦についても述べられている。「実際,小泉政権は官僚機構と対立するのではなく、むしろ官僚を巧みに操縦したことが知られている。例えば、2004年に設けられた内閣官房郵政民営化準備室では、室長には前農林水産事務次官、副室長には、前総務審議官及び前金融庁長官が任命され,準備室審議官には財務省関東財務局長が起用された。小泉政権における内閣官房への各省官僚の登用は顕著であり、政権発足当時は100人程度であったのが、政権末期には700人規模までふくれあがっていた。小泉首相の主席秘書官であった飯島勲は,官邸に集めた官僚には人事で報いることで操縦したと述べている。「官邸に行けば昇進が早まる」と言うことで、官僚達はこぞって官邸を目指し、率先して小泉政権の方針に従うようになったというのである。」と書いた上で、「それが本当のあるべき行政の姿と言えるのだろうか」との深刻な問いを投げつけている。ウェーバー的な吏員型の官僚の目の前に出世の機会という餌をぶら下げ、しゃにむに働かせたと言うに過ぎないのではないのか、と。

小泉改革とは、官僚制による政治の破壊であった。

官僚の無責任化は、制度の問題と言うよりは、吏員型化した官僚の精神の問題であるとする。吏員型官僚は、丸山真男や辻清明の教えにしたがって、日本に残る前近代的な社会的な拘束を撤廃して、近代化を干瀬一世手、自由な主体にと解放することを指名とした。近代主義にアメリカから輸入した新自由主義のイデオロギーがなじんだ。

吏員型の官僚は、官僚制化の徹底する改革に邁進した。農村共同体というゲマインシャフトを破壊して、農業生産の効率化と言う官僚制化を実現するためには、外圧を使ってもよいと悪びれもせず、公言するに至ったが、それが、官僚の反逆の真相である。

最終章は、政治主導を目指してと題しているが、どうしたら政治主導を実現できるのかと絶望的な状況であることを認識しながら、

「この世の中というものは、自分が世のためにささげようとおもっていることにくらべ、余りに愚かしく低俗だと自分なりの立場からかんがえるようなときでも、それにくじけないで、鈍なことに直面しようとも、「それにもかかわらず!」といえる確信のある人間、そういう人間だけが,政治を「天職」とすることができるのである」、と、マックス・ウェーバーの言葉を最後に引用にしている。(おわり)

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