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Which Can Carry out Postal Unviersal Service?

公社と民営化、どちらがユニバーサルサービスをより良く維持できるのか?

という命題について、豪州とニュージーランドの比較研究が行われた。岡山大学大学院社会文化科学研究科の西垣鳴人教授による研究論文が発表されている。(生活経済学研究2013年3月(第37巻))

同論文は、結論的考察、と言う題で最終章としてまとめているが、当方ブログは内容を紹介するために次のように要点をまとめる。

「郵政事業の社会目的を、郵便と金融サービスのユニバーサルサービスと提供することであるとして、オーストラリアとニュージーランドとを比較して、どちらが社会目的を実現する為に有効であったかを比較分析した。オーストラリアは公社形態を、ニュージーランドは民営化形態をとった。

制度改革が行われて6年目までを初期段階とすると、ニュージーランドの民営化は明らかに劣化が著しかった。オーストラリアの公社であっても劣化が生じたが、住民のサービス水準に関する限り、オーストラリアの公社化の方が社会目的にとっては有効である。

7年目以降は、単純な比較が難しくなる。ニュージーランドは、郵便局数を回復させ、質的な改善を図り、豪州の場合はネットワーク劣化に一定の歯止めはかかったが、回復には至らずサービス内容の改善は進まなかった。ニュージーランドは、国有維持のままの民営化であり、収益改善を図り、しかも、政権後退をはたして経営方針の転換をはかったという、特殊事情があり、民営化一般に広げて考えることはできない。(小泉首相が、ニュージーランドを訪問して、クラーク首相に民営化されたポストを指さして使われているかと質問して、もうそれはないと指摘されて、恥を話が、巷間に伝わっているが、ニュージーランドが郵政民営化の軌道修正を必死に行っていた頃のエピソードであるが、むしろマスコミ共々、郵政民営化が強行されたことは、国益を失することとなった。)

(公社から)民営化すれば(しても)社会目的は達成される、と言う民営化推進はによって提示された仮説を明確に否定される。滝川好夫教授などが、あえて郵政民営化に反対する(日本評論社)などと主張したことを、今となっては実証している。ただし、長期の政治過程を踏まえての観点からは、いずれの仮説が正しいかは明言はできず、さらなる検証が必要である。」

2012年10月に施行された改正郵政民営化法は民営化の行き過ぎ是正、あるいは民営化の失敗を是正する為に、金融ユニバーサルサービスの義務づけや分社体制の一部見直しなど、郵政民営化による社会目的の劣化をくい止めるための一部の手直しであった。郵政民営化法が、議論されたときには、公社を維持するのか、民営会社に移行するのかが争点であったが、今回の見直しでは、民営会社の形態の変更はないままである。

株式の売却なども、凍結されていたものが見直しされており、むしろ国有の立場を離れることが奨励されるような見直しとなっている。ニュージーランドの場合では、郵政民営化で激しく社会目的が毀損して、ようやく回復させたが、それも国有の民営化であったことからようやく改善できたことを指摘していることは興味深い。郵便貯金と簡易保険を廃止して、似て非なる金融サービスを作り上げ、分社化して株式を売却して、国民資産を外国勢力に移転しようとする陰謀はくいとめられなければならない。

オーストラリアとニュージーランドに於いて先行した、郵政の社会目的の壮大な社会実験の功罪が真剣に学ばれて然るべきである。しかも、日本に於いて実行されている郵政民営化が大失策に至るような縮小が継続しており、ようやく行き過ぎ是正の機運が醸成されつつあるなかで公表された。かなり抑制的な意見となっているが、それだけに良心的な好論文である。

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