Tyranny
東京新聞の記事が目を引いた。特報記事である。書き起こしてみた。
解雇特区見送りは歪んだ報道のせい 竹中平蔵氏恨み節
2013年10月21日(東京新聞)
◇狙い外れマスコミ攻撃
今月一日に首相官邸で開かれた政府の産業競争力会議の席上、「『成長戦略の当面の実行方針』について」と題するA4判一枚の資料が配布された。提出したのは、この日は欠席した民間議員の竹中氏だ。「雇用特区」の導入に向けた改革の遅れをこう憤ってみせた。
※『成長戦略の当面の実行方針』についてhttp://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai14/siryou4.pdf
※産業競争力会議 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/kaisai.html
「特に『雇用』分野は、残念ながら、全く前進がみられないと評価せざるを得ない」「一部歪んだ報道により、しっかりとした改革が止められる可能性についても危惧している」
しかし、竹中氏のマスコミ攻撃もむなしく、政府は十八日の日本経済再生本部で国家戦略特区の具体策を決める中、「雇用特区」の本格導入は見送った。
雇用特区は、戦略特区に定められた地域に限って労働規制を取り払う構想だ。正規社員よりも解雇しやすい限定正社員や、一部の業種で労働時間の規制をなくす「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入などが議論されてきた。
竹中氏は競争力会議の会合で「金銭解決を含む手続きの明確化をすることが必須」などと、労働者を解雇しやすくする制度の導入を強く主張してきた。
「こちら特報部」は、雇用特区について「正社員を減らして非正規社員を増やしたい大企業の思惑がある」「不当解雇を助長する『解雇特区』だ」と厳しく批判してきた。厚生労働省さえ「雇用ルールを特区だけで変えるべきではない」と反対した。
「解雇特区」という表現は「歪んだ報道」なのか。
若者の労働相談に取り組むNPO法人「POSE」(東京)の今野晴貴代表は「特区に限り、解雇権の乱用を認めるのはおかしい。竹中氏らはむちゃくちゃな政策を議論していた」と批判する。
竹中氏はなぜ、とりわけマスコミに敵意をむき出しにしているのか。
経済評論家の森永卓郎氏は、竹中氏が大手の人材派遣会社パソナの会長であることに着目する。
「雇用改革は、竹中氏が最も力を入れる分野なのに思い通りにならず、マスコミ攻撃につながっている。自身が経済閣僚を務めた小泉内閣時代から労働規制の緩和を唱えてきた。日本を弱肉強食の世の中に変えていくべきだとの主張は首尾一貫している」
ただし今回、竹中氏は「完敗」したわけではない。政府は労働規制の大幅緩和を見送る一方で、競争力会議の議論の一部を滑り込ませた。弁護士などの専門職を念頭に、契約社員などの有期雇用期間を最長五年から十年に延長する方針を示したのだ。実現すれば、無期雇用に転換する時期が遠のき、正社員への道が狭まる。
今野氏は「政府は、労働規制の大幅緩和をあきらめていない。労働規制の緩和案が、特区や一部職種に限定される理由はなく、全国規模に拡大する制度の改悪を狙っているはずだ。そうなれば、竹中氏らの思う壺だ」と警戒する。」
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