構造改革、民営化、市場原理主義の虚妄から、マインドコントロールを解くための参考図書館

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2014年2月

Destruction and Devils of Neoliberalism

菊池英博先生が、「そして、日本の富は略奪される」と題する警世の単行本を出版された。経済本では定評のあるダイヤモンド社から刊行された。先生が、ダイヤモンド社の本を紹介するパンフレットのような、本屋さんでは無料でくばっている、Kei という小冊子に、新自由主義という「悪魔」を払い除けよ!、と言う題で、菊池先生がご自分の本を紹介しておられる。小冊子であるから、ネットでも紹介されていないので、コピペするわけにも行かないが、見開きの2ページの記事であるので、全文を写し書きして、当方ブログの皆様に紹介することにしたい。

新自由主義という「悪魔」を払い除けよ!

菊池英博 Kikuchi Hidehiro 1936年生まれ。東京大学卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)へ入行し、本部と内外営業拠点で国際投融資の企画を推進、銀行経営に従事。ニューヨーク支店為替課、ミラノ支店長、豪州東京銀行取締役頭取などを歴任。1995年、文京女子大学(現文京学院大学)経営学部・同大学院教授(国際金融・日本経済)に就任。現在は、日本金融財政研究所所長・経済アナリストとして活躍している。

仕掛けられた「トロイの木馬」

「「構造改革、構造改革」とはしゃいでみたが、出たものは悪魔ばかりなり」

これは99%の日本国民の偽らざる心境であろう。経済政策の正否は,全て結果である。結果が経済学の回答であり、政治の回答である。

日本でもこくみんがきづかないうちに、1980年代前半から新自由主義・市場原理主義が導入され、国民の生活に新自由主義という「悪魔」が忍び寄っていた。2001年から始まった「構造改革」は、アメリカの対日戦略として日本の経済社会構造をアメリカ型につくり替え、日本の国富をアメリカに吸い上げようとする壮大な計画であった。だから、国民が熱狂して迎えた「構造改革」はまさに「トロイの木馬」であったのだ。

具体的に見てみると、サラリーマンの平均年収hがデフレが始まる直前の1997年に467万円であったのに対し、2012年には408万円と也、15年間で59万円も減っている。平均年収の下落の主因は,非正規社員の増加である。1997年の非正規社員は、社員全体の24%であったのに、2012年俟つには38.2%と14%ポイントも増えてしまった。

非正規社員の平均年収は年齢に関係なく200万円未満であり、特に新卒者を中心とする若者の非正規社員が増えている。日本の国家的見地から見ても、有為な人材を企業で育成していく余地が縮小しており、由々しき現状である。

長期デフレが始まった1998年から自殺者が増え、とくに2002年から2011年まで自殺者は毎年三万人を突破している。しかもこのうち、一万人近くが経済関係の悩みによるものであり、2002年から10年間で実に10万人が経済関係の理由で自殺している。

更に驚くべきことには、殺人の半数近くが親族関係者であると報じられており、日本の社会がいかに分断され,破壊されているかがよくわかる。

貧困化する日本を救え!

太平洋戦争の敗戦から23年後の1968年に,日本は対外的に純債権国になり、1981年には「一億総中流」と言われる最も格差の小さい国、資本主義社会としては理想的な国になった。ところが、それから30年余年の今日、OECDの統計(2010年)に寄れば、日本の貧困率は高い方から第4位、主要国の中ではアメリカに次いで第二位という恥ずかしい状況にある。これは所得格差が拡大しているからであり、とくに若年層の所得が低下しているからだ。

貧困率とは,所得別に見た平均所得のうち、平均に比べて半分以下の世帯が全世帯の何パーセントになるかを示した数字である。アメリカの貧困率は17.5%であり、日本は14.9%である。このままでは「悪魔の侵略」で日本の貧困率はさらに上昇するであろう。

ところが,日本は対外的に世界最大の純債権国で阿理、官民合計で296兆円の対外純債権がある。国民一人あたりで見れば233万円に達する(2012年末現在)。このように世界一の金持ち国家であるのに、国民の世帯所得で見るとアメリカに次ぐ貧困国なのだ。

国民の所得の総合計である名目GDPで見ると、過去15年間で日本の凋落ぶりは目を覆うばかりである。日本のデフレが始まる直前の1997年を基準(100)として、その後の成長を見ると,2012年にはアメリカは190,イギリスは184,ユーロ圏は162と、どの国も成長(増加)しているのに、日本だけはマイナス成長である。機銃の1997年の日本の名目GDPは513兆円であるから、もし日本がこの間、アメリカ・イギリス並みに成長していれば、GDPは950兆円前後、ユーロ型の成長であれば830兆円前後になっていたはずだ。そうすれば国税ベースで90兆円~100兆円上がっており、消費税増税なしで,社会保障費は十分に賄えたのだ。

なぜ日本がこんなに低成長に陥ってしまったかと言えば、小泉竹中構造改革による緊縮財政と新自由主義・市場原理主義で意図的にデフレ政策を導入したからだ。それによって、国民の預貯金を国内で使わせないようにし、海外に流出させる政策をとった。2000年から10年間で個人の預貯金は108兆円増えたのに、国内で使われたのはわずか14兆円で,残りの94兆円は海外に流出し、このうち80兆円で政府が米国債を購入している。

私は過去15年間、時に派孤軍奮闘して「デフレ解消を優先すべきである」「新自由主義・市場原理種食いは悪魔の経済学であるから決別すべきである」と主張してきた。2012年3月2日の衆議院予算委員会では,「デフレ脱却のために「5年100兆円の「緊急補正予算」」を提案した。だから、安倍晋三首相と麻生太郎副総理が「15年も継続するデフレ解消を優先させたい」と宣言したとき、「あきらめずに辛抱強く主張して来た甲斐があった」と歓喜に絶えなかった。

しかし、万歳するには早すぎる。安倍首相と自民党政権が,新自由主義という悪魔と決別し,日本型資本主義を確立させないと,日本経済は成長路線に戻れない。私はこの方向をしっかりと注視し、愛国的で善良な同志と協力して、真摯な活動を継続していきたい。

Henry Stokes

「史実を世界に発信する会」事務局長の茂木弘道氏から、『英国人記者が見た 連合国戦勝史観の虚妄』(祥伝社)元ニューヨークタイムズ東京支社長 ヘンリー・S・ストークス著の書評を頂戴した。下記の通り、転載して諸賢の参考に供したい。

 昨年12月に刊行された本書は、大きな反響を呼んでおり、すでに5万部を突破しているという。今日のAmazonの書籍ランキングでは、11位である。この種のもので、全書籍の中でこういうランクにでてくるのはかなり珍しいことである。以下本書について紹介させていただくことにしたい。

 「来日当初は東京裁判が裁いた「日本=戦争犯罪国家論」「南京大虐殺」についても事実であると単純に信じていて、何ら疑っていなかった。だが、日本に滞在する間に、連合国からの視点でもなく、日本からの視点でもない第三者的視点で、二十世紀の日本とアジアの歴史を俯瞰したとき、そうした見方が大きな誤りであることに気付いた。」

 1964年フィナンシャル・タイムス東京支社長として赴任して以来滞日五十年を超えるストークス氏はもともと経済記者であるがニュー・ヨークタイムズ東京支社長を務めるなどスケールの大きい活動をしてきた。スカルノ、金大中、金日成、シアヌークにも直接インタビューをしており、そのエビソードが語られている。

 おそらく、欧米の一流記者で日本悪者史観を根底から批判する論に到達し、それを本にしたのはストークス氏が初めてであろう。では彼はなぜこのような考えに至ったのだろうか?

 冒頭の引用文に続いて、「三島由紀夫氏と親交を得たことが大きかった」と述べているように三島の影響が決定的な役割をはたしていることは間違いなかろう。

 しかし、来日以来ずっと親密な関係を結んでいた加瀬英明氏(本書のあとがきを書いている)の影響が見逃せない。日本の文化、歴史に関する膨大な知識なくして、ストークス氏の現在の歴史観はとても形成することができないだろう。その知識・見解の多くを加瀬英明氏に負っているとふたりの近くにいる筆者はみている。

 さらに、南京虐殺、慰安婦などの問題に関しては「史実を世界に発信する会」の私の英訳された論文の影響もかなりあることを文中で触れている。

 そして、ストークス氏がユダヤ人や日本人と波長が合うのはクエーカーだからだろうと述べているのも興味深い。形式や教義がなく、神道と通ずるところがあるという。

それもあるだろうが、根本的には氏の人間的な資質として公平性を重んずる考え方こそが最大要因ではないかと考える。日本人全員の必読書である。

Business Eye

フジサンケイ ビジネスアイ、と言う専門紙がある。2月20日号は一面で、「日本郵政 上場延期の可能性」との大見出しをつけた記事を掲載した。小さな見出しには、情報システム統合難航 成長戦略も描けずとなっている。当方ブログは、新自由主義の政策、なかんずく構造改革論と民営化論を批判してきたが、そもそも郵政民営化の制度設計自体とその後の経営に深刻な問題があったのではないのか。郵政民営化の見直しが行われたが表面的に糊塗としただけで、新自由主義政策に基づく「改革」であったという根幹の問題は何ら解決されていないのではないのか。

ネットでも記事が転載されている。

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140219-00000001-biz_fsi-nb

日本郵政、上場延期の可能性 情報システム統合難航、新規業務認可も遅れ

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郵便物数と、かんぽ生命保険の契約数

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 日本郵政が2015年春に予定していた株式上場が秋に延期される可能性が出てきた。グループの成長戦略が描き切れないのに加え、グループの情報システム統合が間に合わない可能性が浮上。“隠し球”とされる郵便貯金の限度額引き上げも現時点で実現は見通せない。西室泰三社長が就任直後に半年前倒しを表明した上場計画は再び後戻りしかねない情勢だ。

                   ◇

 ◆放置できない状況

 上場計画まであと1年と迫った日本郵政だが、ここへきて難問が表面化し始めた。世界最大のオンラインシステムを抱えるゆうちょ銀行をはじめグループ4社の情報システム統合作業が「予想以上に難航している」(日本郵政グループ幹部)ことが大きな要因だ。 ある自民党議員も「来春の上場は難しくなってきた。システム作りがかなり遅れているようだ。ぶっつけ本番で上場後に大きなシステム障害でも起こしたら大変」と懸念を示す。 グループの情報システム統合を、2月末に発表予定の中期経営3カ年計画の柱に据えることは、西室社長の鶴の一声で決まった。東芝出身で、東京証券取引所でも株式売買システムの全面刷新を指揮した西室社長は、昨年9月の日本記者クラブでの講演で、グループ各社の情報システムについて「小さなトラブルが発生している。放置できない状況」だと苦言を呈し、上場の大前提として「戦える情報システム」への転換を掲げた。 日立ソリューションズ副社長だった小松敏秀氏を日本郵政の最高情報責任者(CIO)に招いたのも、巨大システムの刷新には専門家が不可欠と判断したからだ。裏を返せば、システム統合作業が遅れれば上場計画自体に影響が及ぶことを意味する。 投資家を呼び込むための成長戦略も中計にどこまで盛り込めるかは不透明だ。

 かんぽ生命保険が4月に販売を始める新学資保険の収益への貢献度は未知数。「少子化を踏まえると(需要が細るため、てこ入れには)物足りない」(自民党議員)という指摘もある。すでに、民間生保が同様の保険を販売しており、02年3月期の73.1%から13年3月期に33.7%まで落ちたシェアを挽回するのは難しい。

 ゆうちょ銀行の住宅ローンなど本命とされる新規業務は認可のめどが立たないままだ。金融庁は「回収業務の経験はあるのか。審査はしているが、まだ(認可を)判断する状況にはない」(麻生太郎金融相)と慎重な姿勢を崩さない。

 郵便物の減少が続く郵便事業は赤字体質から脱し切れていない。株式の売り出し計画など財務省との話し合いも遅れているもようで、グループ内では「あと1年では厳しい」との見方が強まっている。 西室社長は「(関係省庁と)コンセンサスができていない」とし、中計と同時に発表する予定だった上場計画を4月以降に先送りすることを決めた。 成長戦略の強力な隠し球は、郵便貯金の限度額引き上げだ。現在、通常貯金と定期貯金の合計で1000万円を限度としているが、「限度額を2000万円あるいは撤廃してくれれば、郵貯の貯金残高は一挙に増える」(日本郵便幹部)と期待を寄せるが、上場前の実現は難しそうだ。 政府は郵政株の売却益を東日本大震災の復興財源に充てる方針だが「もともと半年のずれは想定内」(内閣府)ともいわれる。新学資保険で風穴を開けたかに見えた巨艦・日本郵政の上場への道筋は、なお曲折が避けられそうもない。

Kuroshio 109

ヘイトスピーチに堕すなかれ

近ごろヘイトスピーチという言葉が巷間に喧しい。まだ横文字のままだから、日本語になりきっているわけではない。外国語が日本文化に組み込まれてしまう前の段階では、外国語をそのまま片仮名書きにして使って、なじむかどうか時間をかけて吟味調琢する。試練に耐えた語だけを国語化するのが、日本語のの特徴である。漢語もそのまま支那音で読んでいる間は、日本語の血肉とはならない。あからさまに片仮名日本語として区別しながら、相当時間が経って平仮名で訓をつけて初めて国語となったことを宣明する。こうした中間の表現手法を持つことは、外国文化を換骨奪胎して土着化させるための塗炭の苦しみの一つで、導入する外国文化受け入れの為の濾過過程であり、民族の智恵でもある。慈覚大師円仁が、遣唐使として唐の文明の上澄みを取捨選択して日本に持ち帰ろうとした際の苦心惨憺ぶりについて、既に一章を割いて詳述した。流行のヘイトスピーチは、日本と、支那、韓国との間で政治的な対立が激しくなって、お互いに悪口を応酬することになったので、日本側が相手の悪口を言う場合の、いわば罵詈雑言を中韓に浴びせる場合の表現を、ヘイトスピーチと言うらしい。相手の悪罵はヘイトスピーチとは定義していない。日本に対して悪罵の限りを尽くした表現ぶりに対抗して使うのだから、いわば売言葉に買言葉の関係である。買言葉の部分である日本側の主張の中にヘイトスピーチが含まれることになる。情報戦の中で言葉の応酬があったときに、日本側は当初、黙殺とか何とか言って黙っていて、相手が段々悪態の度を上げてくるとそれに反撃するために、民族的には慣れない悪態を言葉で表現する無様(ぶざま)を見せることがあるので、外国語でヘイトスピーチと表現して、定義づけを曖昧にしているのかも知れない。もともと日本文化には、罵詈雑言を吐露することはほとんどないから、ヘイトスピーチのように敵方を痛罵して蔑ろ(ないがし)にするような強烈な表現はない。「糞味噌に言う」などの下卑た表現があるが、それでもせいぜい悪態をつくことである。隣国の権力者から悪し様に言われて反論するために、日本人の言霊(ことだま)の力を忘れて、別の表現で言えば相手の土俵で反論しているのがヘイトスピーチである。日本語の世界には、悪態をつく表現が恐ろしいほどに少ない。呪詛することはあっても、おどろおどろしいのは、せいぜい闇に紛れ藁人形を釘で打ちつけるぐらいのことである。日本では、墓を暴いて遺骨を打ち砕いてまき散らして恨みを晴らすなどと言う報復手段はあり得ないが、支那では汪兆銘の墓が共産党に暴かれてしまっている。日本に協力したとして先々代くらいまでの族譜を遡って財産を没収して罰することを現代の韓国政府が実行したように、恨みは末代までと固執する文化もある。大陸の文明は情け容赦がない。しかし、その手法と同列で相手に取り込まれてヘイトスピーチをするようでは、慎み深い日本文明の作法に反する。

 日本語では、汚い表現というが、ヘイトスピーチは汚らわしいばかりだ。清明さは一切なく、手練手管の要素が強調される。ヘイトスピーチには情け容赦は全くない。最近、雨傘をたたまずに東京の混雑した電車に乗車していた支那人が、通学途上の小学生からやんわりと傘をたたんだらどうかと注意され、滴が垂れて迷惑をかけた筈の乗客からすみませんと謝られてしまって、直接文句でも言われようものならメンツをなくしたとして大騒ぎをするのが特徴である支那人であっても、自分の間違いを棚に上げて騒ぐことをしなかったとの話を読んだ。メンツ民族と同じ土俵で品のない言葉を使って応酬することは、いよいよいきり立って得策ではない。フランスのマンガ展覧会で韓国が日本を中傷する謀略を仕掛けたが、単純で自家中毒におちいるような無骨な反論ではなく、ドゴール将軍以来のフランスの、自立・自尊の戦後史を称揚するようなエレガントな反論をして、韓国をフランスと離反させることが肝心である。先代の大統領の時代にマルローの『希望』やオーウェルの著書を税関が没収したことも指摘するべきだろう。チャプリンのように、独裁者を笑い飛ばすことも必要だ。

 冬季オリンピックがロシア黒海沿岸のリゾート都市ソチで開催されている。絶滅危惧種となったユキヒョウがソチの動物園にいるらしく、プーチン大統領は幼獣と戯れるようなマッチョの写真を公開していた。日本が贈呈した秋田犬を連れて安倍総理を出迎えて話題になったが、首相が犬の頭を撫でると、プーチン氏は噛みつく可能性もあると注意喚起したと言う。日本犬はキャンキャン鳴かずにここぞの時に噛みつくから、新華社がこの歓迎行事の顛末に敏感に応したのである。韓国の反日勢力が日本の国鳥の雉を殺(つぶ)して血だらけにしているが、そうした憎悪は日本にはない。黒潮文明は喜怒哀楽を押し殺して哀号の叫びも長くは続けない。しかし黒潮の民は、アモックのように見境なくその怒りを噴出させることがある。ヘイトスピーチが言霊になれば、わが身に反ね返る恐れがある。避けなければならない。(つづく)

Tree bud and Horse

平成二十六年は、干支でいうと、甲午の年である。甲は十干のはじめで,草木の芽が殻を戴いて地上に出る形だとのこと。午は,旧暦の期勝つの異称で夏至がある。午は太陽の光で夏至以降は太陽の力が弱くなっていくから、陽が陰に転じていくことも意味している。中国ではなお酷暑に向かって進行すると言う意味もあるらしいが、日中の時間でいても虹頃が最も暑くなるから、理にもかなっている。馬が駆けているように暑さに向かって走っているから、午は馬となった。ギリシャ神話のペガサスも馬であるが、支那では西欧の時代に龍馬が出現するとされ、塞翁が馬、馬耳東風、良馬不莽(いい馬は暴走はしない)などの熟語もある。

明治27年(1894)の甲午の年には、8月に日清戦争が始まった。これは、春に朝鮮で東学党の乱、即ち甲午農民戦争が起きて,その混乱の鎮圧に清国と日本が朝鮮に出兵して、それが戦争になった。

その後の甲午の年は、1月に戦後初の地下鉄が池袋とお茶の水缶で開通。2月にマリリンモンローが新婚旅行で来日。3月にビキニでの水爆実験、7月に自衛隊発足、9月に中央競馬会が発足。蔵前国技館が10月に開館。プロ野球は、中日ドラゴンズが優勝。9月に、毛沢東主席、周恩来首相などが選出された第一回の全人代があり、東京通信工業、ソニーの前身が,初の国産トランジスタを発表した。造船疑獄で,指揮権発動があり、年末には鳩山一郎内閣が吉田茂に河って成立した。12月の日本プロレス選手権で,力道山と木村正彦が対決して街頭テレビは黒山の人だかりとなった。冷蔵庫、洗濯機、掃除機が三種の神器と呼ばれ、山椒太夫と七人のサムライが、ベネチア映画祭で受賞。

春日八郎のお富さん、菊池章子の岸壁の母がヒットした。手塚治虫の火の鳥、シャネルの5番が話題になった。

Railway networking

郷土の交流会で、三州倶楽部という団体があるが、その会報の元旦号に「JRのすごさ」というちょっといい話がのっていた。長良川の治水神社の例大祭に赴くために、町田駅から乗車券と特急券を往復で買った。無事参列して、帰りの汽車の中で、小田原駅を杉田頃に切符がないのに気がついて、新横浜駅の改札で相談して事務所に行ったら、羽島駅から切符が改札に残って居たとの連絡があったとのこと。「びっくりしました」「本人より先に連絡が届いていたわけです」「JRの連絡網のすばらしさを痛感した次第である。ほっとした。感謝感激」と書いてあった。

No TPP

菊池英博先生が、新刊書を出版された。インタビュー記事である。

http://diamond.jp/articles/-/47943

ご一読をおすすめしたい。

Corporate Dominaition

http://gekkan-nippon.com/?p=5970

Election Result

東京都知事選の数字。
平成25年12月現在で、選挙人登録者数は、10806141人、内訳は男、5311546人、女、5494595人である。前回の投票率は、54%であった。今回の投票率は、46.14%。つまり、実効投票数は4985953人であった。

圧勝して当選したのは舛添候補で、2112千票であった。先回の選挙では猪瀬氏が430万票を獲得しているので、その数字からすれば半減している。次が宇都宮候補で、982千(全体の20.2%)、その次が細川候補で、956千(19.6%)で、さらにその次が、田母神候補618千(12.5%)であった。当選した舛添候補の得票率は、全体の43.4%であった。宇都宮候補と細川候補との得票を合わせた数よりも多かった。40万程度の浮動票を獲得したのではないかとの見方もある。これまで民主党を応援した労働組合までが、与党が推薦する舛添候補を応援したから、バンドワゴン効...果、つまり、勝ち馬に乗る票が大量に流れた可能性がある。細川候補は、小泉元総理の支援もあり、初戦では浮動票を獲得することが予想されたが、選対の分裂などもあり逆に振るわなかった。原発の問題は争点とならなかったが、数字からみれば、宇都宮候補にもかなりの浮動票が入った可能性が高い。雇用と福祉という、外交・安全保障と経済を中心とする争点は国政が担当すべきで、日常の生活に関連することを重要視するとの主張があって、国政に直結するような争点を訴えた候補には不利に働いた可能性が高い。田母神候補には、自民支持層から10万から15万の票が流れたとの見方もあるが、国政を動かすだけの影響が出るような変化ではない。ネットの影響力については別に拙論を述べたので、ここでは触れないが、田母神候補に若年層の支持が寄せられたことは特徴的であった。投票率の46%をどう見るかだが、40%程度に落ちるのではないかとの見方もあっただけに、前回の54%にとどかなかったにしても、投票日が大雪の翌日にしては(午後4時ころまでは前回よりも1割以上低い数字になっていたが、道路の雪が溶けた夕方に投票会場に足を運ぶ人の数が急速に増えて)予想以上の高い投票率になったと考えることができる。それにしても、マスコミの情報操作は露骨であった。田母神候補などは、2月6日付けのジャパンタイムスのように、三面ながらTamogami finds right-wing niche という題をつけた記事を載せた所もあったが、最初から泡沫候補扱いで記事にしなかった。討論会もネットで行われたくらいで、見るべきテレビ番組や新聞の特集記事などはなかった。

Metropolitan Conspiracy

東京都知事選で、細川元首相が小泉元首相がタッグを組んで,東京から脱原発をすすめるという単一の争点を掲げて、立候補したことには驚かされた。脱原発政策は都知事選挙にはなじまないなどと野暮なことは言わないし、尖閣の国有化のように、石原都知事が、国の政策に関与して、例えば、横田の空域返還のことなど主張していたから、首都の知事としての役割があるし、ましてや、都が東京であるのは、維新後の仮住まいだとの説があったにしても、皇城の守り役としては、国全体のことにも関心を持つことが重要であると思う。しかし、何よりも、小泉元首相は、原発政策を語る前に、大論争を巻き起こしながら強行した郵政民営化をはじめとする構造改革路線の総括をきちんとしてから、元総理経験者として、首都の行政に口を挟むべきではなかっただろうか。小泉元首相が強行した郵政民営化法が成立したのは、2005年の10月だった。その前の月には、議会政治を無視...するかのように、国会を解散してあの郵政選挙を強行した。2年後には、日本郵政公社が分社化され民営化されて、かんぽの宿の問題などが、私物化の問題が頻発した。民主党政権が登場して、株式売却の凍結があったが、まともな見直しを行わないままに時間が無駄に経過して、分割ロスが顕著に生じたばかりではなく、郵便事業などは一千億の赤字を合弁宅配事業で出すという失敗も見られた。また、全国サービス義務を修正するために、自民、公明両党も賛成して見直しが行われ、改正郵政民営化法が成立して現在に至っている。小泉元首相は、郵政民営化を改革の本丸だ、税金の無駄遣いなどと絶叫して、世間の注目を集めて、改革と称する、今では破壊としか見えない政策を次々と強行したのだが、その後の郵政の動きをどう見たのだろうか。政治家の傲岸からすれば、反省することなどみじんもないのが常であろうが、敵と味方とを峻別して、相手をねじ伏せるように拡声器で怒鳴り挙げる手法が、今回の都知事選でも通用すると思ったのだろうか。小生は、郵政民営化に真っ向から反対した立場だから、指摘しているのかもしれないが、今時になって、たった4兆円の額を、郵政民営化で株をを売却して調達するなどとは情けない話だ。国民から巨額のカネを集め、公的な投融資を行い、国の事業、特に公共事業の原資として潤沢であったのは、郵政が公的な意機関として機能していた証左ではないのか。民営化して、市中の民間銀行がそうした,例えば、震災後の復興対策にリスクをかけて融資をしているのか。無駄な箱物を作りすぎたとの批判があるが、それは郵便局や郵政の責任ではなかったし、離れで、しゃぶしゃぶやすき焼きを食べていたのは、決して郵政の関係者では無かったことは、もう明らかだ。郵政事業は、いずれの事業も縮小して、郵便局などは民営化後新たな設備投資を行わず、施設は老朽化してきている。外国勢力が目をつけた巨額の資産を保有していた郵便貯金も、簡易保険も、目減りをしているのが実態ではなかったのか。そうした実態にはほおかむりをして、大上段の劇場型政治を東京都知事選挙に求めて、表舞台に出てきたことには、驚きを禁じ得ない事態であった。小泉男元総理と細川元総理の今回の脱原発の主張をしながらの競演は、またぞろ、資源エネルギー政策をめぐる外国勢力の後押しでもあったのだろうか。時間がたって、郵政民エ化の虚妄を国民が忘れてしまったとでも思ったのだろうか。こうした、元首相の政党政治を無視した反乱について、与党の自民党がおとがめもないのは、一体全体どういうことなのだろうか。

No TPP

米国内でもTPPに賛成する動きが鈍化した。TPPの交渉権限はもともと議会がもっており、それが政府に委譲されないといけないからだ。しかし、議会では、TPPに反対する意見が急速に高まっている。次の映像は、数年前のものであるが、内容は変わらない。

http://youtu.be/oPo8SOD9ig8

Post Box and Wet Paint

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東京の市ヶ谷駅近くの歩道に郵便ポストがあって、赤ペンキが新しく塗りかえられ、「ペンキ塗り立て注意」の張り紙が貼られてあった。郵政民営化が行われて、ポストは奇麗になるどころか、ペンキがはげたりしても放置された郵便ポストが大半となったのが実態であるだけに、新しいペンキが塗られて奇麗になったことはいいことだ。よく見ると、日本郵便と書いて横文字でJPと書いたシールが貼ってあるし、上には、郵便と書いて〒のマークがちゃんとあり、英語表記でポストとまで明示されているのだから、その分ポストが醜くなっていることがわからないのだろうか。日本郵便が取り扱う次のものを投函して下さいなどと、お役人行儀の口調の文章が書かれて、すっきりしたポストのデザインをぶちこわすかのように擦り切れたシールが残っている。 ポストの横壁には、〒のマークが白く浮き上がってこちらの面が一番すっきりして奇麗に見えた。正面はつまらぬJPのマークがあって、ごみごみしているからだ。民営化で、利益を上げることに血道を上げたが、しかし、それはポストのペンキの塗り替えもしないで、新しい設備投資もしないであげた見かけの利益であって、長期的には滅びの道に至ることでしかなかったのだ。ポストのペンキが塗り替えられたのは、新しい経営陣が、これまで怠ってきた設備投資を優先すると宣明したから、そのささやかな成果かも知れない。それでもまだ、その正面をごちゃごちゃと言い訳がましく貼られた横文字のシールや役人行儀の文章で書かれた注意書きのシールを引っぱがすわけにはいかないようだが、虚妄の後腐れを強引にでも剥がした方が、〒ポストがすっきりして、本来の役目が発揮することは素人目にも明らかだ。いらざるシールを剥がしてペンキを塗り替えればもっと奇麗さが長持ちしたのではないだろうか。

ともあれ、ようやくペンキ塗り立て郵便ポストを見て、ほっとする感を持ったのは、この筆者だけだろうか.。郵政民営化など一連の虚妄の構造改革論で日本がどんどん没落していた実態を,けなげにも駅近くの郵便ポストが体現していたかのようだ。貼り付けられた余計なシールは、まだ一部で大手を振って残っている拝金の市場原理主義の残党のようなもので、すぐさま剥ぎ取ってしまうわけにはいかない宙ぶらりんな勢力が残っているが、ペンキを塗り替えたことは、もう潮目が変わって上げ潮ならぬ引き潮になったようだ。

Bernie Sanders Postal Banking

Banking on the Postal Service:

  Sen. Bernie Sanders has fought cuts in service by the U.S. Postal Service. He’s also sponsored legislation to let the Postal Service find innovative new ways to shore up its finances. A new report from the ...Postal Service suggests one way the agency could make as much as $8.9 billion in annual revenue would be to offer limited banking services like cashing checks and selling pre-paid debit cards. The USPS already takes in more than $100 million in revenue each year by selling postal money orders. “One of the areas we should be looking at is banking,” Sanders told Ed Schultz in a radio interview on Wednesday.

  Listen to the interview: http://www.sanders.senate.gov/newsroom/video-audio/ed-schultz-radio-020514
米国議会にバーニー・サンダース上院議員がいる。バーモント州選出の議員である。米国の郵便に、銀行業務を開始するように求めている。日本では、分社化して切り離そうとしたことは大違いだ。アメリカでも、郵便局で郵便貯金があったが、廃止した経緯がある。それから、郵便為替は、郵便事業の分野として定義されていると言うことであり、それは今の米国郵便でも行われており、一億ドル以上の収入があると言う。プリペイドカードや、小切手の現金化なども提案している。ご参考まで。
なお、サンダース上院議員の提言に対して、米国人のコメントが面白いので、そのいくつかをコピペしておきたい。
Yes and have the government give back all of the money it stole from the Post Office...a few years ago..
Bernie and Elizabeth Warren, politicians that are thinkers and doers instead of just being talkers. We need more of them!
How about repealing the Postal Accountability and Enhancement Act of 2006. This Act was designed to make the Post Office fail by people who wanted to privatize mail delivery. It is another manufactured crisis brought to you by the GOP. If it we not for this unjust Act the Post Office would be turning a profit. If Obama proposed an Act like this on any business out there he would be called a America hating socialist. The Post Office should not need to come up with new niches so that they can avoid becoming bankrupt. What they need to do is post a quote from George Washington's first State of The Union Address, "I trust, need recommendation; but I can not forbear intimating to you the expediency of giving effectual encouragement as well to the introduction of new and useful inventions from abroad as to the exertions of skill and genius in producing them at home, and of facilitating the intercourse between the distant parts of our country by a due attention to the post-office and post-roads", (Washington, 1790).
 this is normal in 99% of all other countries in the world. it shouldn't be a shock to americans, and if it IS, u all need to travel. the rest of the world's post offices offer bank services. most of the time they don't even call it the post office, it's the postbank
why is it so shocking? adding financial lending services to the post office adds income. and the post office already does postal money orders and passport application services, both which really have nothing to do with sending packages. adding banking services is just "adding products". not shocking.
There is so much that could be said about this issue. In many countries, the Post Office is the bank of the poor and working class. It provides access to low cost bank services for people who have neither the means nor the need for the services of a major bank. Post offices provide interest-bearing accounts, bill paying services, and low-interest short-term credit for the working class and working poor, with special banking facilities for those who qualify for government assistance programs.

The cost of being poor in America is high. The article describes the plight of the millions of people who don't have bank accounts, and who pay an average of 10% of their annual incomes in fees and usurious interest rates to check-cashing and payday loan operators. Besides those victims, the major banks make a fortune in transaction fees, monthly fees, bank card fees, check fees, and other fees, from their poor and working class customers. Many of those fees are waived for people who keep five-figure or larger bank balances.

Elizabeth Warren's plan would alleviate some of the burden of poverty for millions of people. Unfortunately, financial institutions, both the banks and the shady second-tier financial sector, will prevail. Last time I checked, the poor didn't have lobbyists in Washington.

http://truth-out.org/・・・/elizabeth-warren-end-usurious・・・
 Sorry but I think the USPS should be allowed to cut back offices in small towns. USPS was supposedly spun off from the govt but then not allowed to make RATIONAL cost-cutting decisions. So postal workers have to put in LONG HOURS in big cities long after dark.  I don't walk around my own neighborhood in the suburbs after dark. But back to this suggestion to provide banking services, there are HUGE compliance considerations - including MONEY LAUNDERING to consider - is USPS prepared?  Debit card have BSA/AML issues.
You CANNOT DENY SMALL TOWNS ACCESS to mail delivery services ! I say to close up inner cities lay off lazy employees save real money & then they don't have to be afraid!  No one makes anyone work anywhere!

Kuroshio 108

水没した巨大大陸スンダランド

スンダランドは現在のマレー半島、ボルネオ、スマトラ、ジャワ、ベトナム沖にあった。深さ約一〇〇メートルの海域が太古の氷河期には水面上にあり、その後の海面上昇で水没したとされる広大な沖積平野のことである。インドネシアがオランダ植民地となったことから、今から九〇年前にインドネシアの海域を調査分析したモーレングラーフ博士が名付けた。調査記録はライデン自然史博物館に保存されている。海底にいくつもの谷筋が残り、そこが陸地だったことが明らかになり、東南アジアは陸続きであったことが証明された。スンダランドはインド亜大陸ほどの大きさがあった。オーストラリアとニューギニアの間の海面下に沈んだ平野はサフルランドと呼ばれ、海南島の周辺の約一〇〇メートル水深の海域もナンハイランドと名付けられているが、今の支那と朝鮮半島の間にある黄海も干上がり陸続きだった。最終氷期の末より急激な海面上昇が始まったことが世界各地の海岸地層の研究で明らかになっており、一万四〇〇〇年前には海面が現在より約一〇〇メートル下にあったのだが、一万年前までに五〇メートル上昇した。八五〇〇年前までには今の海面下二〇メートル近くまで上昇した。スンダランドの海面が最も上昇した一万年前までの海面上昇で、今の南シナ海の原形が形成され、海がシャム湾の奥深くまで陥入することになったが、その時点でも、ボルネオとスマトラとは繫がっていた。ボルネオとスマトラが海峡で切り離されたのは八五〇〇年前までの海面上昇の時で、一五〇〇年の時間が経過している。マラッカ海峡が出現したのもこの時だと考えられる。八五〇〇年前までの海面上昇はその後も続き、約八四〇〇年前に一時的に寒冷化し海面が低下したが、八〇〇〇年前からは地球上のすべての地域で急速に海面の上昇が始まった。四五〇〇年前当時の海水面は今の海岸線よりも五メートル高かった。その後は海面が徐々に低下するようになり、今の海岸線になった。アラビア海、カリブ海、マラッカ、それからオーストラリアのグレイトバリアーリーフでの海面の動きをデータで比較すると、海面が上下して微妙に異なる変化を示しながらも、なだらかに上昇したことが分かる。グリーンランドの氷河の研究からも、氷河期終了後に三回の海面上昇があったことを証明している。黒海が地中海と繫がったのも氷河期終了以後の海面上昇の時代だ。黒海は地中海より数十メートル海面が低い内陸湖だったが、七二五〇年前にボスポラス海峡から黒海に海水がなだれ込んだ。黒海の北側は海面が上昇して水没した。一説には、この黒海の海面上昇が「ノアの箱舟」の伝説に反映されたとの見方があるが、洪水伝説が中東に限らず世界中にあるのは海面上昇の反映である。北米先住民の神話にも洪水伝説があるところを見ると、北米大陸を覆っていた氷河が溶け出して大洪水となったからで、五大湖はその名残である。大陸に載った五〇〇〇メートルの厚さの氷の山塊が溶け出し、地面の荷重が減って地殻が上昇を始めたために、今の五大湖よりも大きい面積を占めたアガシズ湖が干上がって、その後に水たまりのように点々と数限りない淡水湖を出現させた。カナダの北方には今も湖が氷雪の中に点在しており、水上飛行機が主な交通手段となっている。原住民の洪水伝説は洪水のなかったマッケンジー川の側にはなく、氷河の溶けた水がなだれ込んだジェームス湾やハドソン湾のティレル海近くの部族の伝説として残ったのは当然の帰結である。北米大陸の氷河が溶け出したことは、大西洋ばかりではなく、太平洋でも急激な海面上昇を招いた。氷河の消失が地殻の歪みを生じさせて、大地震の引金にもなったのではないかと指摘されている。南極大陸の氷が溶ければ地殻の大変動が起きて、大地震を引き起こす可能性があるが、その時には、太平洋ばかりではなく世界中の海に大津波が押し寄せることになる。ちなみに、バルト海のボスニア湾の海底は今だに一〇〇年に一メートルという速度で上昇している。氷河の重みから解放された地殻が上昇するのである。

スンダランドに繋がる氷河期の人類の生活の痕跡がボルネオやマレー半島、タイやカンボジアに至る地域に残っている。ボルネオの町ミリから車で二時間ほど南のニアー国立公園にある巨大な石灰岩洞穴「ニアー洞窟」には四~一万年前の人類の生活の痕跡があり、東京ドーム二つ分の大きさだ。また、当時の気候は現在のような熱帯雨林の気候ではなく、気温が今より五度から七度は低かったとされ、海面が一〇〇メートルも低かったとすれば、気温もさらに低く、乾燥した気候と、食料が容易に採集できる森のある快適な生活環境だったことが推測される。切除用の剥片石器も出土しているが、奄美大島の土浜遺跡でも同じものが見つかっている。食べかすとしての豚、サイ、猿の骨、淡水・海水の貝殻も見つかっている。新石器時代の遺跡が、現在のタイ、カンボジア、スマトラ、モルッカ、チモール、パラワン、ルソン島などに点在しており、スンダランドの遺構として十分な数の遺跡が各地にある。与那国の海底遺跡も加えたいが、自然の岩石だとの異論もあるから、まずは台湾台北県八里郷の大坌坑(ターペンケン)遺跡の名前を挙げておきたい。香港の近くには旧石器時代からの遺跡が残る。ベトナム中部サ・フィン遺跡も注目に値する。チャム王朝があった場所に居住していた先住民遺跡で鉄器を特徴とし、甕棺の葬制も見られる。交易が広範に行なわれていたことが明らかで、ベトナムでは生産されないガラスや、カーネリアン、瑪瑙、橄欖石などの貴石、金が装飾に用いられている。漢鏡も出土している。タイのカンチャナブリの近くのバンカオ洞穴には新石器時代の生活跡があり、タイ南部のクラビの近くには、九三〇〇~七六〇〇年前まで遡るサカイ洞窟がある。サカイ洞窟からはコメが発掘され、稲作の発祥地が支那であるとの通説を覆す可能性が出た。新石器時代の中心地だったとはいえ、わざわざ寒い気候の揚子江や黄河を稲作の発祥地とするよりも、熱帯のインドシナからビルマおよびバングラデッシュにかけての気温の高い地域に発祥を求める方が、すんなりと受け入れられる。稲の栽培は、稲の容器としての陶器とその収穫道具である石器とも関連していると考えるのは理に叶っているが、考古学上でも、稲作の起源について中華思想を裏付ける証拠は何も見当たらない。稲の栽培は第三の洪水で海水面が上昇しスンダランドが海没する以前から、今のインドシナやビルマ、バングラデッシュ地域で行なわれていたと考える方が順当である。近年、タイとビルマの国境近くの内陸にあるスピリット洞窟から紀元前五〇〇〇年前のコメが発見され、この説を裏付けた。マレー半島山間部にはグアチャ洞窟などの一連の洞窟群がある。スマトラ北部のピーブロック遺跡には稲の栽培跡として水稲ばかりでなく陸稲栽培の遺跡が残る。ジャワ島のサンギランには、初期人類の集積場ともいえる大遺跡がり、世界遺産に登録された。ジャワ島の古都ソロの近くである。ジャワ原人の頭蓋骨、歯、大腿骨の化石が発見され、一五〇~一万年前ころまでのメガントロプス、ジャワ原人、ホモ・エレクトゥスなどの初期人類の化石が多数見つかっている。その一部は地元のサンギラン博物館で公開されている。ボルネオのニア洞窟については先述したが、グアシレの洞窟が、マレーシアのサラワク州の州都クチンの西部にある。グアシレの洞窟で発見された壷の中からも紀元前二三三四年のコメが発見されている。ボルネオのサバ州のマハカム川上流の遺跡では、一〇〇〇年以上も前の舟形の棺に入った大量の人骨が発掘された。フィリピンのパラワン島のタホン洞窟では四万五〇〇〇年を遡る甕に入れられた葬制の跡が見つかっている。近くのドゥヨン洞窟ではうつぶせにして葬られた人骨が副葬品と共に発掘されている。ボルネオ島の東北部のマレーシアのサバ州、センポルナの町の一〇キロ南にブキット・テンコラックという遺跡があるが、これは新石器時代の製陶工場の跡としては東南アジア最大規模の遺跡である。

 スマトラやジャワやフィリピンには、かつてはスンダランドの高地の一部であったと思われる遺跡が残っているが、それらに共通するのが小動物を射止めるための吹矢である。吹矢は台湾にはないが、インド洋を隔ててマダガスカルにはある。パブアニューギニアの海岸線沿いに点々と残り、日本の南九州にもある。樹皮布はインドネシアに残るが、今ではオセアニアのポリネシア、メラネシア、ミクロネシアで伝統的に作られている。タヒチ語でタパと呼ばれ、またカパ(ハワイ語)、ンガトゥ(トンガ語)、マシ(フィジー語)、シアポ(サモア語)などとも呼ばれているが、樹皮布原料にはクワ科のカジノキ、パンノキ、イチジクなどが使われ、カジノキはポリネシア全域に広がる一般的な原料である。日本でも今では三椏(みつまた)や楮を(こうぞ)和紙の原料とすることが普通になったが、元来カジノキが原料であった。広東省の珠江デルタでも樹皮紙がつくられた遺跡が発掘されている。

 筆者はバンコクの日本大使館に勤務したことがあるが、大使公邸が落成して、その玄関に飾られたタイの東北部のバンチェンで発掘された淡いピンク色の渦巻き模様の古陶器を見て驚いたことがある。その陶器がタイ東北部の大平原で生産されたにもかかわらず、教科書で習ったメソポタミアの彩陶に似ていたからだ。バンチェン遺跡は八〇〇〇~七五〇〇年前に起源があるが、インド洋を隔てたメソポタミアとタイのバンチェンの陶器が似ているとすれば、両者の間に何らかの交流があったとも考えられる。マラッカ海峡が洪水で開かれ、スンダランドの後裔が製陶技術を携えてメソポタミアに渡った可能性も想像できる。アラビア海の海岸線は少し後退したが、紀元前三〇〇〇年ころに最も栄えたウルは当時の海岸線にある港町だった。 (つづく)

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