Post Box and Wet Paint
東京の市ヶ谷駅近くの歩道に郵便ポストがあって、赤ペンキが新しく塗りかえられ、「ペンキ塗り立て注意」の張り紙が貼られてあった。郵政民営化が行われて、ポストは奇麗になるどころか、ペンキがはげたりしても放置された郵便ポストが大半となったのが実態であるだけに、新しいペンキが塗られて奇麗になったことはいいことだ。よく見ると、日本郵便と書いて横文字でJPと書いたシールが貼ってあるし、上には、郵便と書いて〒のマークがちゃんとあり、英語表記でポストとまで明示されているのだから、その分ポストが醜くなっていることがわからないのだろうか。日本郵便が取り扱う次のものを投函して下さいなどと、お役人行儀の口調の文章が書かれて、すっきりしたポストのデザインをぶちこわすかのように擦り切れたシールが残っている。 ポストの横壁には、〒のマークが白く浮き上がってこちらの面が一番すっきりして奇麗に見えた。正面はつまらぬJPのマークがあって、ごみごみしているからだ。民営化で、利益を上げることに血道を上げたが、しかし、それはポストのペンキの塗り替えもしないで、新しい設備投資もしないであげた見かけの利益であって、長期的には滅びの道に至ることでしかなかったのだ。ポストのペンキが塗り替えられたのは、新しい経営陣が、これまで怠ってきた設備投資を優先すると宣明したから、そのささやかな成果かも知れない。それでもまだ、その正面をごちゃごちゃと言い訳がましく貼られた横文字のシールや役人行儀の文章で書かれた注意書きのシールを引っぱがすわけにはいかないようだが、虚妄の後腐れを強引にでも剥がした方が、〒ポストがすっきりして、本来の役目が発揮することは素人目にも明らかだ。いらざるシールを剥がしてペンキを塗り替えればもっと奇麗さが長持ちしたのではないだろうか。
ともあれ、ようやくペンキ塗り立て郵便ポストを見て、ほっとする感を持ったのは、この筆者だけだろうか.。郵政民営化など一連の虚妄の構造改革論で日本がどんどん没落していた実態を,けなげにも駅近くの郵便ポストが体現していたかのようだ。貼り付けられた余計なシールは、まだ一部で大手を振って残っている拝金の市場原理主義の残党のようなもので、すぐさま剥ぎ取ってしまうわけにはいかない宙ぶらりんな勢力が残っているが、ペンキを塗り替えたことは、もう潮目が変わって上げ潮ならぬ引き潮になったようだ。
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