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Kuroshio 115

地球温暖化と黒潮

 地球が温暖化すれば黒潮の力が強まって、その北上する流れはいよいよ勢いを増す。黒潮の分流として日本海に入っている対馬海流の海水温度が上がれば、より多量の水蒸気を発散することになり、豪雪地帯と呼ばれる山形の月山などでは、文字通りの深雪地帯になることが予想されている。日本海から津軽海峡を抜けた対馬海流は、北海道の南縁の海水温度を上げ、根釧原野の霧の深さを晴らすことになる。宗谷海峡を抜ける対馬海流は稚内から北見の方へ南流する反流となり、北海道北東のハマナスの岸辺を洗うようになるから、オホーツク海の流氷の接岸は全く無くなる。間宮海峡に入る対馬海流は、樺太島とシベリア大陸との分離をはっきりさせ、シベリアの沿岸流として反流するリマン海流に加わり水温を上げ、ロシア沿海州から朝鮮半島東海岸にかけての気候を和らげる。房総半島沿岸の磯の底に生息している珊瑚は、更にその水域を北上させる。黒潮は、現在は、銚子の沖で東転するが、転回点を那珂湊(なかみなと)沖まで北上させる。鹿島と香取の宮、大洗の磯前神社の結界・創建、原発の立地は、黒潮の流れの移動と関連している。海水温が上がれば、北海道には現在分布していないハマグリも生息するようになり、根室海岸まで到達しているあさりなどは、更に範囲を北上させてオホーツク海沿岸に入り込むに違いない。貝類は生息できる一定の海水の温度幅があり、その上下に応じて移動する。気候が温暖であった縄文時代前期から中期にかけては、海水面が現在よりも二~三メートル高い位置にあったとされ、北海道にも温帯域の貝が生息していたことが、ハマグリの化石が沖積層に大量に残っていることから確かめられている。地球温暖化が進めば、北海道の平野に沖積地が広がって海水が浸入することになるから北海道の食生はいよいよ豊富になる。北海道の気候は、今は本州とは異なる亜寒帯に分類されているが、温暖化が進めば温帯になり、「縄文海進」の時代には、北海道のアイヌ文明が本州の山内丸山遺跡に象徴される文明と同一であったことが容易に想像できる。

 二万年から一万八〇〇〇年前の最も寒冷化した時代には、世界的に海水面が現在よりも一二〇メートル下にあった。与那国島の海底遺跡もこの深度にあることを既に指摘して、アラビア海のシュメールのウルの遺跡とも比較しながら議論を進め、スンダランドの文明が現実に存在したことを指摘してきた。地質学で完新世と呼ばれる一万年前頃、即ち縄文時代の初期の約一万五〇〇〇年から九〇〇〇年前までには、現在の海水面から四〇メートル下まで上昇して来た。東京湾の場合、現在の湾奥は陸地で、横須賀と房総半島あたりを結ぶ線が海岸となっていたが、(海底地図を見ると、峡谷のような川の流れた地形が東京湾口にはある。冷戦の時代には、旧ソ連の原子力潜水艦が潜んでいた深みがあり、そこには、奇妙な顎の深海鮫が生息している。)縄文時代の中期になると、海水面は一気に三〇メートル程上昇して、東京湾を内海にしている。約六五〇〇年前から五五〇〇年前頃には、今の海面を越えて海水が陸地の奥深くまで浸入した。その現象は、「縄文海進」と呼ばれている。現在の海面より二~三メートル高い位置に到達したとされる。六三〇〇年前に南九州の鬼界カルデラが噴出した火山灰が全国各地に地層となって残っており、また約九三〇〇年前に日本海西部の鬱陵島から噴出した火山灰も地層に残っているので、二つの地層の資料で年代の特定ができるようになった。その前後の沖積層の貝類の化石の調査を加えて、海水面の上下と、海水温の変化を判定する。三〇〇〇年前の縄文中期に若干の上昇があったが、縄文中期後半に入ると海岸線が再び低下をはじめ、その後は、弥生時代にかけての約二二〇〇年前頃までに海面が低下し、「縄文中期の小海退」と呼ばれている。その後、微動の上下を繰り返しながら現在に至っている。エドワード・モースが大森貝塚を発見したのが、明治一〇年(一八七七)であったが、日本全国の貝塚の調査が進んで、地層に含まれる貝殻の化石と貝塚とを照合することによって、海面上下の規模が判定される。「縄文海進」の時代に関東地方では、今の栃木県や群馬県の一部にまで貝塚が残り、現在の海水面より五〇~六〇キロの内陸まで海岸線が入り込んでいたことが分かっている。東京の目黒区の東山にもその名残りの貝塚がある。鎌倉鶴岡八幡宮も、隼人の鹿児島神宮も、一五〇〇年前の多摩川の古墳も、今は台地上に位置する古社の多くが波打際に築造されたことは間違いない。勿論、地震などによる地盤の隆起や沈下もあり、特に六五〇〇年前の巨大地震による列島の隆起は著しく、小田原・羽根屋遺跡のように海抜二二~二四メートル隆起したものもある。東日本大震災では江戸時代に干拓された沖積地が水没し、東日本の海岸は約一メートル弱の地盤沈下を引き起こしていることを特筆しておきたいが、地球温暖化は、実は黒潮文明が北上して力が加わることで、大日本(おほやまと)の島と民族の発展にとって必ずしも不利な話ばかりではない。(つづく)

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