Robbed away
2009年8月27日付けの朝日新聞の東京本社版の朝刊5ページに、下記の様な趣旨の記事が掲載されていた。かんぽの宿、議論聞こえず、寂しい総選挙、という見出しをつけたコラムである。コラムは、政策ウォッチというコラムで、署名記事である。
「簡易生命保険の契約が4500万件にのぼる。総選挙でかんぽの宿の問題は議論になっていないので寂しいと指摘して、鳩山邦夫衆議院議員が総務大臣を務めたときに、かんぽの宿の売却を問題にして話題になったことがあるが、かんぽの宿は、厳密に言うと国民一般の財産ではなく、簡易保険契約者の財産であったと述べる。宿は契約者が、支払う保険料と利用料を元に運営されており、だから、簡易保険特別会計が出資するかんぽ事業団の資産となっていて、旧簡易保険法では、事業の譲与は契約者か保険受取人に「分配する」と定めていたが、その肝心の特別会計と事業団が2003年末に廃止されて、郵政公社のしさんとなり、民営化によって、持ち株会社の日本郵政の資産となった、と経緯を説明する。
簡易保険契約の財産は、独立行政法人が設立されて、そこに引き継がれていることになったが、かんぽの宿は、どういうわけか、持ち株会社の日本郵政の資産とされた。「契約者の財産はこの時、かすめ取られてしまった。」と、この署名記事は強い表現で書かれている。
赤字だから、売却するとかとり壊すとか、廃止する色々な議論が行われ、また実行されてきたが、かんぽの宿は、契約者の財産であった。宿は本業ではなく、赤字だから何をしても許される、というのか、と最後にまとめている。」
本質を衝いた短い記事であった。もともと、かんぽの宿を売却することを前提としたために、独立行政法人の管理する資産と分けたのではないかとの勘ぐりは当時からあったし、また、そもそも、独立行政法人を設立して旧郵便貯金や旧簡易保険の資産管理をする方が異例でおかしいとの見方もあった。しかし、今まで、いかなることであったのか、国会で審議されたとか、その経緯が説明された話は聞いたことがない。この記事が寂しい総選挙としている009年の選挙は、民主党が大勝して政権交代が行われることになった選挙でそれほど寂しい選挙で波無かったが、郵政民営化の状況は政権交代があっても、株式売却の凍結が行われたのみで、他の改善や追求や見直しは行われずに、JPエクスプレスの設立などのように新たな問題がいろいろと発生したことは、当方ブログが指摘するまでもない。
活字になった記事は、時間が経っても亡霊のようになって残っている。まだ、かすめ取られてしまった簡保契約者の財産の行く方を問題にしているようである。ご関心の向きは図書館あたりで、新聞の縮刷版を見れば、全文を読んで参照されたい。天網恢々疎にして漏らさずとは、このことかも知れない。郵政民営化の闇を払拭することが、依然として課題として残っている一例だ。
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