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Book Review

亀井静香先生の新刊本の書評を高橋清隆氏が書いている。ご参考まで。

http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/1843807.html

05年に小泉政権が郵政民営化を打ち出して以来、グローバリズムとたった1人で全面交戦してきた男、亀井静香衆院議員。本書は、従米的政策によって自滅しつつある日本の惨状に我慢できず、「弟のようにかわいがってきた」安倍首相に託す渾身(こんしん)のメッセージである。  文章は非常に砕けている。「ショボイよな」「ひどいもんだよ」「抵抗するぜ!」など、修辞法の軽さが目障りなほどだ。ライターが口述筆記したのだろう。内容は「アベノミクス」をはじめとする安倍氏の政策批判、小泉政権の総括、幼少期から国民新党脱退までの半生記、今後の戦いに向けた提言などからなる。  安倍氏の政策批判では、経済学に明るい亀井氏の本領が発揮されている。「第1の矢」と称される金融緩和策は、わが国の株式市場を外国ヘッジファンドの賭博場にしていると指摘する。マスコミが絶対書かない真相である。  「政府は、株価が下がればPKO(プライス・キーピング・オペレーション)で郵便貯金や簡易保険、国民年金などの公的資金をせっせせっせとつぎ込んで株価の維持に躍起になっている。…その結果、日本国民の積み立ててきた金が兜町を通じてアメリカをはじめとする外国の金融市場にジャブジャブ流れている」  「機動的な財政出動」をうたう「第2の矢」は、日本の現状を見ないために空振りしているという。小泉改革前後から公共事業を減らしてきたために人手不足に陥り、技術者もいなくなり、金を積んでも工事が進まないと指摘する。  「第3の矢」については、政権再交代のどさくさに竹中平蔵氏が入ってきて、新自由主義的な政策を展開していると批判する。郵政民営化や労働者派遣法の改正、タクシーの許認可制度廃止などを挙げた後、次のようにつづる  「竹中も口では『セーフティーネットが必要だ』と言っている。しかし、日本人が長い歴史の中で続けてきた日本らしいセーフティーネットである『相互扶助』の仕組みを自由競争の市場原理に合わないという理由でさんざん破壊してきたやつが今さら何をという感じだ」  亀井氏は竹中氏を「彼は派遣会社大手のパソナ会長も務めている。だから経済人と言った方がいいだろう」と両断。その上で、『美しい国、日本』を目指す晋三が、なぜこの矛盾に気付かないのか、俺にはさっぱり分からない」と吐露している。ほとんどの国民の正直な気持ちではあるまいか。  今後の戦いに向けた提言として、農村漁村の復興や地域再生、特別会計の廃止などを挙げる。  農業政策では、地方再生を掲げながらTPPや農協解体で農業をつぶしにかかる安倍政権の矛盾を指摘。補助金などを通じて農家に工夫を促すと同時に、食糧安保の観点から主食である米や麦を政府が買い上げることも提言している。  地域再生については、日本の企業の99%が中小零細企業であることから、規模の大小を問わず地方に工場を出す会社に大幅な補助金を出し、新技術開発を促進することや、地方への移住者が増えている現状を踏まえ、保育園や特別養護老人ホーム開設などによる活性化を提案。「かんぽの宿」を使った長期介護サービスやデイサービスの検討にも言及する。  財源は、特別会計と一般会計の一体化と、無利子非課税国債の発行で十分賄われると主張する。会計制度の変更で30兆円、無利子非課税国債で20、30兆円は捻出できるとにらむ。後者は消費税引き上げの代替策になる。  ところで、同書は12月1日現在、Amazon「日本の政治」部門で第1位、総合でも88位の人気本だが、最寄りの紀伊國屋ですら置いてない。版元が小さいからだろうか。拙著『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)の原稿がおよそ30社から断られた苦い体験と重なる。  「亀井静香について書いた」と言うと、大抵「たたく方か、それとも持ち上げる方か」と聞かれ、「持ち上げる方です」と言うと、それで話は終わった。大手から亀井氏を肯定する本は出せないのがわが国の現状らしい。  これまでのマスコミ報道も悪宣伝に終始してきた。12月14日投票の衆院選出馬についても、「『無所属』亀井氏、出馬固まらず」(11.18産経)「永田町ではすっかり存在感が低下した無所属の亀井静香元金融担当相」(夕刊フジ)など印象操作を繰り返す。亀井氏の名を出すと拒絶反応を示す国民がまだいるが、単にマスコミに洗脳されているだけではないか。  12月2日から、「大義のない解散」(11.21亀井氏HP「視点論点」)に伴う選挙戦が始まる。同書は、国民を完膚無きまでに苦しめてきた従米路線政治への宣戦布告に見える。

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