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B-29 and Moral Hazard

アメリカの日本空襲にモラルはあったか(ロナルド・シェイファー著、草思社)を読んでいた。日本の中小都市、5万から10万の人口の都市に1時間にその人口の6倍から8倍にも及ぶ数の焼夷弾を、米国陸軍航空軍のB29編隊は投下した。この航空軍が戦後空軍となった。ロナルド・シェイファー氏は、米国の歴史学者である。日本の一般国民に対して行った攻撃と、道義、倫理の問題を詳論している。勿論、無差別攻撃の首謀者であったカーチス・ルメイ将軍についても詳述している。この本は、米国航空軍の戦法が、南北戦争時代のシャーマン将軍の戦法を採用したと指摘している。ルメイの焼け野原にする戦法は、アメリカの伝統を踏まえての戦法だったから、ルメイに反対したのは少数の人でしかなかったと指摘する。この本を日本語に翻訳した深田民生氏は、日本側の反応もアメリカの多数派の考え方と似ていたとするのは興味深い。清沢冽を次のように引用する。「これ等の空爆を通して、ひとつの顕著な事実は、日本人が都市爆撃につき、決して米国の無差別爆撃をウランでも、憤っても居らぬことである。僕が、「実に怪しからん」と言うと、...「戦争ですから」と言うのだ。戦争だから老幼男女を爆撃しても仕方が無いと考えている」。つまり日本側も竹槍で戦い1億総玉砕を辞せず、宣伝を聞かされて、戦闘員と非戦闘員を区別しない戦いをしていたという。国際法のことも知らなかったのだろう。清沢洌は、竹槍で戦うこと等を愚劣極まりないと思っていたからこそ、無差別爆撃を激しく非難したのである。米国側は、日本の都市を焼き払って当たり前と考えていたが、それに反対する少数の人ですら、肥料工場の爆撃や水田に枯れ葉剤を撒いて、日本人を飢えに追い込むことには賛成していたのだ。

戦後七十年の談話が話題になっている。昨日、とある大学の教授の話を小耳に挟んだが、安倍政権の中枢に位置して談話の草稿を執筆する可能性のある東大教授の言説が怪しい、大丈夫かとの話をしていた。下手な談話を出すくらいなら、まだ出さない方がマシと言っているように聞こえた。原爆が広島と長崎に投下され、アメリカの日本空襲にモラルはあったのか、とのこの本の題名に対する答えは、もう誰もがはっきりと答えを出すことが出来る。少数ながら、米国の心ある人々の胸中には深い傷跡を残していることは間違いない。

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