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Kuroshio 182

火山と建国神話の神々

●日本列島の火山帯は、北から南まで 一筆書きのように繋がる。日向の霧島 火山の麓を発って、カルデラの形跡す ら判然としない紀伊半島の死火山の熊 野を経て、もっと安定した盆地の大和 に民族の中心を移動させたことが神武 東征の物語ではないだろうか。 火山の神々が日本神話の中枢にいる のだとすれば、興味と関心は、近隣の 済州島や朝鮮半島の神話はどうなって いるのかに移る。朝鮮半島の代表的火 山は、白頭山(支那では長白山と呼ぶ。 吉林省延辺朝鮮族自治州、同省白山市 と北朝鮮の国境にある標高二七四四メ ートル。頂上に「天池」と呼ばれる直 径約四キロのカルデラ湖がある)であ り、神話は壇君神話である。桓因とい う天帝の庶子の桓雄が白頭山に降り立 ち、そこに居た虎と熊との夫婦がいた が、虎を追い払い、祭壇の上で人間に 化身した熊女と結ばれる。檀君王倹が 生まれ、檀君は支那の堯帝が即位して 五〇年目の庚寅の年に白頭山を下り、 平壤を都と定め朝鮮を建国したとする 神話である。桓雄は、日向の高千穂峯 に降臨した瓊瓊杵尊に似て、熊女もコ ノハナサクヤヒメに近似する。熊が火 山の化身であれば、コノハナサクヤヒ メも同様に火山の女性神だからである。
さらに白頭山は、満洲族にとっても 民族の発祥と深く関わる聖山で、白頭 山の池に水浴びをしていた天女が身ご もり、始祖となる布庫里雍順を産み、 その子孫が清の初代皇帝ヌルハチへと 続く物語がある。清の皇帝、康煕帝、 乾隆帝、嘉慶帝は、祭礼を執り行なう ために、祖先発祥の地の白頭山へ足繁 く運び、禁忌の山としていた。 白頭山は九四六年に壊滅的規模の噴 火を起こし、火山灰は一〇〇〇キロ以 上離れた日本列島に降り注いだ。北海 道や東北地方で白頭山火山灰の真下に 十和田湖の平安噴火(九一五年)の火 山灰があることが確認されているから、 先ず日本列島で大噴火があり、その後 に朝鮮半島の活火山の活動に影響を与 える順序があると考えられる。白頭山 の大噴火は文献には残されていない。 支那では唐が滅亡して「五代十国」と 混乱の時代が続き、渤海が亡び契丹が 起こった。高麗は版図を確立していな かったので正史の中に大噴火の記録は 残らなかったが、大噴火の存在は考古 学によって証明確認されている。 ●済州島は典型的な火山島で中央に漢 拏山(一九五〇メートル)があり、側 火口が三六〇余りもある。噴火口跡が 残り、島の西側には海底火山もある。
済州島の火山活動は、七三〇〇年前の 鬼界カルデラの大爆発の火山灰が済州 島に残っており、その上に火山灰が積 もっていることから、その後も継続し たことが判り、特に一一世紀には数度 の大噴火があったことが朝鮮の王朝の 記録として残る。 ●火山と鉱物資源とは密接な関わりが ある。火山地帯には豊富に鉱物資源が あることが常であるから、白頭山のあ る北朝鮮は、金・鉄・マグネサイト・ 無煙炭・銅を産出する資源大国である。 特にウランの推定埋蔵量は、世界最大 規模である。核兵器の製造のみならず、 核燃料製造にも国内で自力調達できる から、国連の核物質の禁輸措置も北朝 鮮には全く効果がない。ウラン鉱山と 精錬施設は平安北道の博川、黄海北道 の平山などにある。白頭山からは黒曜 石も出る。北海道の十勝、本州の和田 峠、伊豆七島の内の神津島が黒曜石の 生産地となって日本列島の各地に供給 されたのと同じ状況が朝鮮半島でも発 生して白頭山が王朝発祥の地として地 の利を占めていた可能性を想像させる。 日本では人形峠にウラン鉱山が発見さ れているが、出雲の火山地帯の一部だ。 石見銀山、佐渡金山、世界一の金山で ある菱刈鉱山はすべて、出雲から阿蘇、 霧島へとつづく火山地帯の中にある。 霧島火山帯は鬼界カルデラを経て、南 西諸島沿いに西表島近くの海底火山に
至るが、豊富な鉱物資源が海底に眠っ ている可能性は極めて高い。尖閣諸島 の海底に石油資源があることが判って から支那が俄かに領有権を主張して国 際紛争が発生してるが、第一次列島線 の海底には、豊富な鉱物資源が開発を 待って眠っている可能性は極めて大き いから、今後日支間で国際紛争が拡大 する可能性があり、目が離せない海域 となっている。すでにメタンハイドレ ートの存在は確認され、支那は石油を 採掘している。千島列島から北海道の 山々、下北半島から十和田を経て、東 北地方の蔵王などを縦貫して、関東北 部の浅間山に至り、そこから箱根、富 士山と連なり、更に伊豆七島から小笠 原、遙かに鳥島、硫黄島に届く日本列 島の東側の火山地帯についても、海底 に稀少資源が豊富に眠っていることは レ ア メ タ ル 間違いない。スサノオの神は、まずは 出雲から朝鮮半島に降臨したが、白頭 山の大爆発を逃れて出雲に戻り、出雲 と熊野の古い死火山の鉱山地帯とを往 来し、遂に大和朝廷に服属する出雲の オオナモチという火山神の祖となった のだ! ●アレクサンドル・ワノフスキー、鎌 田東二ほかの共著『火山と日本の神話 ─亡命ロシア人ワノフスキーの古事記 論』 (桃山堂、二〇一六年二月刊)は 悠久の日本神話の本質を衝く良書だ。 諸賢にご一読を勧める。 (つづく)

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