暴虐の100周年
https://rumble.com/vjb3tz-episode-1063-ccp-100-a-century-of-death-and-destruction-pt.1.html
広川 泰士: STILL CRAZY―Nuclear power plants as seen in Japanese landscapes(原発・53基の原子炉)
Pavin Chachavalpongpun: Reinventing Thailand: Thaksin and His Foreign Policy
George R. Packard: Edwin O. Reischauer and the American Discovery of Japan
William H., III Hudnut: Cities on the Rebound: A Vision for Urban American
Kitamura Minoru: The Politics of Nanjing: An Impartial Investigation
Bethany McLean: The Smartest Guys In The Room: The Amazing Rise and Scandalous Fall of Enron
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ブログを再開することにしました。
これまで、フェイスブックや、その他SNSに投稿してきましたが、その外国製のメディアが、中立で自由なめでぃあではなく、検閲もどきを始めていますから、危機感を覚えています。当方は、個人攻撃や、いわゆるヘイトスピーチなどを厳に注意していますが、そのSNSは、寡占状態にあることから、自ら一方的な見方を金科玉条に押し立てて、一週間停止などと、規制をかけてきます。外国の会社ですから、日本の法の支配の枠外にあることを利用して、問答無用に規制を課してきています。
自由な言論の空間をまもるために、ブログを再開することにします。
どうぞ、よろしくお願いします。
週刊現代の5月17日号に特集記事として掲載された。備忘録代わりに、ご参考まで。それにしても、西室泰三氏は雲隠れしたのか、巨額損失があってもメディアの力をしても消息がつかめない。実に不思議だ。
以下文字おこし。
「私が現役だった頃は、郵便局では1円でも懐に入れたら懲戒免職になっていました。サラ金に手を出した職員がいれば、それも解雇した。郵政公社時代からの職員には、国民の大事なおカネを預かっていることへの強烈な自負がありました。だから、おカネに関する不祥事には非常に厳しく対応してきたのです。それが、どうしたものでしょうか。いまの日本郵政は4000億円も損失を計上したにもかかわらず、長門正貢社長をはじめ経営陣は誰一人としてまともに責任を取ろうとしません。巨額損失の元凶である西室泰三・元社長にいたっては、一切お咎めなしです。彼らが失った4000億円は、もとはと言えば国民からお預かりした大事なおカネ。それを浪費しながら、のうのうとしている首脳陣の姿は見ていられるものではない。特に巨額損失の全責任を負うべき西室氏に対しては怒りを感じます」
そう語るのは総務省政策統括官から日本郵政公社常務理事に転じ、日本郵便副会長などを歴任した稲村公望氏(69歳)だ。
日本郵政はこのほど、豪物流子会社トール・ホールディングスの業績悪化から、約4000億円の損失を計上すると発表。この巨額損失によって、2007年の郵政民営化以来、初の赤字に転落する。
そのトール社は、日本郵政が15年に約6200億円で電撃買収した会社。この買収劇こそ、当時社長だった西室氏の鶴の一声で決まったものだった。
「東芝社長や東京証券取引所会長を歴任してきた西室氏が安倍政権から請われて日本郵政社長に就いたのは、いまから4年前の13年のことです。西室氏は就任時からさっそく、『世界全体を俯瞰した物流業を作り上げる』『日本の金融業界、物流業界の最先端を行く企業になる』と語っていました」
西室氏が物流事業への参入を強く主張したのには、郵政グループの株式上場という重要なミッションを抱えていたという背景事情があった。
「当時、郵政の株は政府が保有していましたが、上場の際にはその一部を売却して、東日本大震災の復興財源に充てることになっていました。上場時に投資家にたくさん株を買ってもらうため、西室氏は郵政が将来にわたり成長していくバラ色のシナリオを描く必要があったのでしょう。
とはいえ、郵便事業というのは急速に成長していくビジネスではない。そこで西室氏は、内需企業であった日本郵政に、『物流参入』や『グローバル化』という新しい成長戦略を売り物として加え、箔をつけようとしたのだと思います」
実際、西室氏は就任当初から国内外の物流各社の買収戦略を開始。国内勢の佐川急便、日立物流なども買収対象として検討に入った。
しかし、そんな西室氏の前のめりの熱意とは裏腹に、当初から郵政社内には物流事業への参入に反対の声があったという。
「理由はとても単純で、そもそも郵便会社が物流に参入してもビジネスモデルとして成り立たないからです。なぜかと言うと、郵便は10~100gほどの軽いものや、単価が安いものを数多く取り扱う商売。一方の物流のビジネスはその正反対で、重くて一つ当たりの単価が高いものを運んで儲ける。つまり、郵便と物流はビジネスが根本的に違うのです」
実際、買収したトール社にしても、主に輸送しているのは豪州産の鉱石であり、郵便とはまったく別物だった。
「しかも、郵政社員には物流事業のノウハウもないので、うまくいかないことは目に見えていた。私が日本郵政公社の常務理事時代にも海外物流会社と提携する話が浮上したが、当時の生田正治総裁に『この会社と組むべきではない』と進言し、結局ご破算にした経緯もある。
アメリカでも郵政会社は郵便に特化し、物流に手を出していない。これが世界の常識。ところが西室氏を始めとする電機メーカーや銀行出身の日本郵政首脳陣は、その違いすらよくわからず、無理矢理に突っ走った」
当時、上場の目途とされていたのは15年秋。刻一刻とその「期限」が迫ってくる中、西室氏は一部の幹部だけを集めて買収チームを組成してプロジェクトを進めたが、その過程では掟破りの一手まで断行している。
「トール社を買収するには巨額の資金が必要だったので、その資金捻出のために『ウルトラC』をやったのです。そのスキームというのは上場前の14年に実行されたもので、親会社の日本郵政が所有するゆうちょ銀行の株式を、ゆうちょ銀行に買い上げさせるもの。ゆうちょ銀行に自社株買いをさせて、1兆3000億円ほどあったゆうちょ銀行の内部留保を日本郵政に吸い上げさせた。自社株買いは制度的に認められているとはいえ、このような大規模な『資金還流』は本来なら許されないものです」
西室氏がこのように強引に進めてきたトール社買収が、世間にお披露目されたのは15年2月。西室氏は発表会見で、「必ず(買収)効果は出る」と胸を張って見せた。
しかし、そんな楽観論に水を差すように、この巨額買収をめぐっては、発表直後からさっそく辛辣な意見が噴出した。
「たとえば英フィナンシャルタイムス紙は、約6200億円という買収価格について、『49%のプレミアムをつけた大盤振る舞い』と報じました。つまりは、郵政の経営陣はトール社の企業価値を過大に評価しすぎだと批判したわけです。実際、当時すでに鉄鉱石など資源価格が下落し始め、トール社の業績には先行き不安が出ていた。
しかも、西室氏はトール社を日本郵政傘下の日本郵便の子会社としたため、日本郵便は15年以降、買収にかかわる会計処理として毎年200億円級の巨額を償却しなければいけなくなった。15年3月期の日本郵便の最終利益は約150億円だったのに、です」
しかも、周囲が懸念していた通り、買収後のトール社の業績は低迷。買収した郵政側に物流事業のノウハウがないため、その経営をまともにマネジメントすることもできない状態に陥った。
当然、晴れて上場した日本郵政グループの株価も振るわないまま「じり貧化」。そして、買収発表からたった2年しか経過していない今年4月、トール社の業績悪化を理由に、日本郵政は4000億円の巨額損失計上に追い込まれたのである。
「いま西室氏の出身母体である東芝が巨額損失に苦しんでいますが、その原因となった米原発会社ウェスチングハウス社の巨額買収に当事者としてかかわっていたのが、東芝会長だった西室氏でした。その意味では、今回も同じ構図が繰り返されているように見えます。
西室氏の経営手腕には、ほかにも疑問に感じる部分がありました。それは就任早々のこと、米大手生保アフラックと提携して、アフラックに全国の郵便局の窓口でがん保険を独占的に販売できるようにしたのです。これはグループ会社のかんぽ生命の収益を圧迫する施策だったため、かんぽ生命を民業圧迫と批判していた米国政府に配慮したものだと囁かれました。そもそも、郵政民営化は94年以降、米国が毎年の対日年次要望書(正式名称「日米間の新たな経済パートナーシップ」)で求めていたもので、その郵政民営化委員会の委員長だったのが西室氏でした。
いずれにしても西室氏はグループの利益を失するような手を打ってきた。西室氏は昨年、体調不良を理由に社長職を退任しましたが、その責任は重大と言わざるを得ない。そんな西室氏を推薦した安倍晋三首相、菅義偉官房長官にも『任命責任』がある」
西室氏の後任に就いた長門社長も、赤字転落を発表した4月25日の会見で「トール社買収の狙いは正しかったといまでも考えている」と語り、自らの責任については6ヵ月間の役員報酬20%カットで済ませた。
稲村氏は言う。
「私は5月8日に、著書『「郵貯マネー」はどこへ消えたか』の共著者である菊池英博氏との連名で『辞任勧告書』を長門氏に送りました。長門氏はトール社の実態を知りながら、適切な経営指導もせずに放置してきたのだから、経営者失格です。トール社の4000億円もの損失処理に使われる原資は元々、国民の資産。役員報酬のわずかな減額だけで責任を取ったふりをするのは国民への背信行為で、絶対に許せません。西室氏も病気療養中というが、代理人を通じて責任についてコメントを発表することぐらいはできるはずです」
赤字発覚直後、日本郵政の株価は急落し、1200円台にまで落ち、上場前の公募価格(1400円)を大きく下回っている。株主たちはこの怒りを、いったいどこにぶつけたらいいのだろうか
数年前の記事
■中国に擦り寄るアメリカ
卓越した演説で登場したオバマ大統領であったが、アメリカ合衆国の国力が弱体化した現在においては御用済みの気配である。辛うじて医療保険と金融規制法を議会通過させたが、所詮それは骨抜き法案であり、変革(チェンジ)を求めた支持者たちは失望し、それはもはや絶望に近い。
オバマ大統領の参謀は、地元シカゴや選挙支援者の論功行賞の職を別にすれば、元クリントン政権の側近が大量採用されている。ここから、ヒラリー国務長官の隠然たる影響力が伺える。そのため、オバマ政権の中国に対する態度は、クリントン大統領時代と似通っている。
オバマ政権は、中国海軍が海外に展開することを黙認し、チベットやウィグルの人権問題も口にしなくなった。ミャンマーでは、インド洋進出の道路・港湾が建設されているが、一言も苦言を呈することがないばかりか、タイの争乱を黙認し、独立国としてのタイの尊厳を尊重する姿勢など全く見られない。G20でのIMFの支援増額、北朝鮮問題の六カ国協議の丸投げ、人民元の交換比率変更など、北京にすり寄る態度ばかり見られる。武器の台湾輸出、ダライラマとの会見、グーグルに対す検閲などの問題でも、アメリカ合衆国の国是である人権という概念をすっかり忘れたかのような対応である。
■日本離れするアメリカ
他方で、日本に対するアメリカの態度もまた、クリントン大統領時代のそれに似通ってきている。
郵政民営化などにより日本の国民資産が外国金融機関を経由して、上海や沿海の都市に摩天楼を林立させる構図が見られる。北京オリンピックと上海万博に至る過程は、米国の戦後の対日占領政策と近似する。
ガイトナー財務長官は、在京の米国大使館で勤務した経歴があるが、日本国民の資産を海外移転するために、いかなる関与を行ったのかなども検証すると興味深いであろう。
いずれにしても、米中関係は相互に戦略パートナーとする新戦略同盟の関係になっている。オバマ大統領は、ミルトン・フリードマンと国際金融勢力の影響下で米国の工場と化した北京政府と、世界規模の諸問題において協調を維持することを明確にしている。もはやそこに、日米同盟の入り込む隙間などない。ソマリア沖での海賊対策の艦船を、海上自衛隊から人民解放軍に差し替えたのも、その一端である。
■無作為に陥る日本
オバマ政権内では、日米同盟の空洞化に対する警鐘を鳴らさず、従来の主従関係を維持するだけの同盟論が大手を振ってまかり通っていた。グァムへの移転は、内々の了解が達成されていないのか、太平洋の勢力分割が話されたのではないか、普天間基地の移設は日本の安全保障に寄与するのか、台湾海峡事件の時のように空母を派遣してほしいとする北京内部の分裂の担保のためなのか、新戦略同盟の強化の為に利用されているのではないか、など、何ら疑いの声が上がることはなかった。
韓国哨戒艦の沈没事件においても、トンキン湾事件や、イラクの大量破壊兵器の有無の様に謀略をやってのける過去の履歴を疑いもしなかったようだ。
とはいえ、アメリカ内に知日派が存在することもまた事実である。「自立・自尊の外交や北方外交を展開した祖父を持つ鳩山総理であっただけに、抵抗すべきであった」と吐露した対日政策関係者OBがいたことを記録にとどめておきたい。また、ロン・ポール共和党上院議員とバーニー・フランク下院議員・歳出委員長は、米国の国防予算は天井を破っており、普天間は閉鎖すべきであると公式に発言していた。
日本が天文学的に巨額な米軍費用を負担していることを、ワシントンで喧伝すべきであるが、霞ヶ関の外交出先は、自立・自尊の日本外交を内包した鳩山政権を支援することなく、岡田外務大臣からして小間使いに過ぎなかった。
■日米同盟を再構築せよ!
アジア太平洋において、日本以外に米国の戦略的な同盟国となれる国はない。米国の政策を心底から支持することのできるのは、大東亜戦争を闘い、太平洋で米軍と死闘を尽くした日本だ。それにも関わらず、米国経済・社会の弱体化が深まる中で、アジアの力関係を変化させ、北京の帝国の台頭を許し、日本の常任理事国入りに反対したのは、米国の一部拝金勢力と在京の追従者である。
アメリカの中間選挙を契機にして、日米双方で、政治・外交を再編成し、対等互恵の日米同盟を再構築することは不可能ではない。米国は、65年も経つのだから、日本において占領軍の横柄な態度はやめるべきだし、東京裁判、原爆投下などの一方的な歴史を見直す良い機会だ。またそれは、日本においては、アメリカに依存する現在の体制から脱却し、自立自尊の将来戦略を描き、国体の本義を追求して取り戻す救国の機会にもなるだろう。
稲村公望先生インタビュー「アフラックに占拠された郵便局」
●アフラックに屈した安倍政権
── 2009年の民主党政権の誕生によって、郵政私物化の流れは一旦止まりましたが、2012年末に第二次安倍政権が発足すると、再び私物化の流れが強まっていきました。
稲村 安倍政権発足直前、日本郵政の斎藤次郎社長は坂篤郎副社長を後任社長に昇格させました。ところが、官房長官に内定していた菅義偉氏が「財務省出身者によるたらい回し人事だ」と批判しました。菅氏は、一貫して郵政民営化推進論者と目されてきました。2012年4月に郵政民営化法改正案が可決さ、持ち株会社の日本郵政による金融子会社2社の株式完全売却が、「義務」から「努力規定」に改められましたが、これに小泉進次郎氏、中川秀直とともに反対票を投じたのが菅氏でした。
結局、坂氏は2013年6月に退任させられ、後任の社長に就任したのが西室泰三氏です。西室氏は郵政民営化委員会の委員長も務めていたので、郵政持ち株会社の社長を務めるのは、明確な利益相反です。
東西冷戦時代の1987年に「東芝機械ココム違反事件」が起こりました。東芝は米国議会による制裁内容を和らげるための、空前の規模のロビー活動を展開したとされています。西室氏は1992年から東芝アメリカ社副会長を務めてきた人物で、ロビー活動を通じて米政財界中枢に人脈を築いたと言われています。
2013年7月、西室社長がぶち上げたのが、米アメリカンファミリー生命保険(アフラック)との、がん保険分野での提携でした。この提携によって、全国2万の郵便局と、かんぽ生命の79の直営店舗でアフラックのがん保険を販売することになりました。まさに、郵便局はアフラックに占拠されてしまったのです。アフラックの狙いは、がん保険市場の制覇にとどまらず、わが国が誇る国民皆保険の崩壊を待って、混合診療に関連する保険など様々な保険商品を、郵便局で独占的に販売することだと見られています。
そもそも、アメリカ企業は、ゆうちょ、かんぽの郵政マネーや不動産資産に狙いを定めていましたが、アフラックとの提携によって、郵便局のネットワークが外資に独占される道を開いてしまったのです。
アフラック日本代表を務めてきたのは、USTR(米通商代表部)日本部長、在日米国商工会議所会頭などを歴任してきたチャールズ・レイク氏です。彼は、まさに日本の市場開放を要求するアメリカ企業の先頭に立ってきた人物です。西室氏は日米財界人会議議長を務め、古くからレイク氏と関係を深めていました。
アフラックが警戒していたのは、かんぽ生命が独自のがん保険を開発し、市場を抑えることでした。こうしたアフラックの懸念に配慮するように、2013年4月、麻生太郎副総理兼経産相は、かんぽ生命について「当分の間、新しい保険商品は認可しない」と述べました。
しかも、TPP交渉への参加を急ぐ安倍政権は、2013年8月からアメリカとの並行協議を開始し、保険分野の非関税障壁について一方的な妥協を強いられていたのです。日米政府が交わした書簡の附属文書には、「日本国政府は…民間のサービス提供者よりも、かんぽ生命による保険サービスの提供について有利となるような競争条件を生じさせるいかなる措置(保険業法の改正も含む)も採用せず、又は維持しない」と書かれているのです。まさに、TPPを先取りする形で、安倍政権はアメリカの保険会社の要求に屈していたということです。
●舞い戻ってきた郵政私物化の張本人・横山邦男
── 西室社長は2016年3月に退任しました。
稲村 ところが同年6月28日、西川善文社長時代の郵政私物化の張本人である横山邦男氏が、日本郵便社長に就任しました。
横山氏は、三井住友銀行出身の西川腹心4人組のリーダー格で、2006年2月から2008年10月まで日本郵政専務執行役を務めていました。その間、郵政プロパーの意向を無視して、かんぽの宿売却未遂など郵政事業経営に対する背信行為を行いました。
民主党政権時代の2010年1月に総務省に設置された日本郵政ガバナンス検証委員会(委員長:郷原信郎)の「日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会報告書」には、横山氏の背信行為が細かく記録されています。
当時サブプライムローン問題で不動産市況は冷え込んでおり、専門家はかんぽの宿の処分の中止や延期を助言していました。ところが、横山氏らの執行部は、これらの助言を無視し、2008年12月に不当に低価でオリックス不動産との一括事業譲渡契約を締結してしまったのです。横山氏とともに、かんぽの宿処分で動いていたのは、オリックスが出資する不動産会社「ザイマックス社」から西川社長に引き抜かれた伊藤和博執行役だとされています。横山氏と伊藤氏は、民主党、社民党、国民新党の3党によって、特別背任未遂罪で東京地検に告発されました。
また、横山氏は日本郵便のゆうパックと日通ペリカン便との統合による大損失を発生など、経営に多大の損害をもたらした張本人です。さらに横山氏は「みなし公務員」の身分でありながら、三井住友銀行から住居の提供を受けていたとして国会で追及されました。
2009年10月に西川氏が日本郵政の社長を辞任すると、横山氏も追われるように郵政を去りました。それから7年、郵政グループから永久追放されるべきA級戦犯である横山氏が、日本郵便社長として舞い戻ってきたのです。この信じ難い人事を主導したのは、菅義偉官房長官だともささやかれています。
「日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会報告書」で指摘された数々の疑惑は、未だに放置されたままです。いまこそ、郵政私物化の闇を暴かなくてはいけない。
●豪物流会社トール社買収失敗の責任を取れ!
── 日本郵政は4月25日に、2017年3月期の連結純損益が400億円の赤字に転落する見通しだと発表しました。
稲村 2015年に日本郵便を通じて買収したオーストラリアの物流子会社トール・ホールディングスの業績が悪化したためです。買収価格6200億円と実際の資産価値の差額に当たる「のれん代」など4003億円の減損損失を一括で計上したのです。減損処理を主導したのは、横山邦男社長だとされています。
もともと、トールの買収は、当時の西室社長が強引に決めたものです。日本郵政は、上場に向けて、株価を上げるためにお化粧をする必要があったのです。また、西室氏は就任当初から国内外の物流企業の買収を検討していました。佐川急便、日立物流などの買収も検討しましたが、いずれも実現が困難だったため、トールに目をつけたのです。
しかし、トール買収には一部の社外取締役から反対意見もありました。高過ぎる買収額だけが理由ではなく、国内と海外の物流事業の相乗効果は薄いという意見もありました。そもそも、郵便事業は、軽くて、単価の安いものを大量に扱います。これに対して、物流は重くて一個当たりの単価の高いものを扱います。ビジネス・モデルが真逆なのです。物流のノウハウを持っていない郵便社員に経営できるはずがないのです。にもかかわらず、西室氏は強引に買収を進めた。
『フィナンシャルタイムズ』は、当時から、この買収が「49%のプレミアムをつけた大盤振る舞い」と批判していました。しかも、『エルネオス』によると、東芝はトールにシステムを納入していたという情報があります。それが事実なら、利益相反を疑われても仕方がありません。いずれにしても、西室氏の責任は重大です。
長門正貢社長をはじめとする現経営陣の責任も重いと言わざるを得ません。長門社長は、トール買収当時、日本郵政の役員に就任しており、トールの業態を十分知る立場にありました。しかも、2016年6月に日本郵政社長に就き、トールを直接指導すべき立場にあったのです。ところが、トール社に対して適切な経営指導をすることなく、4000億円の損失を一括償却するという乱暴な処理をしたのです。その原資は、長年にわたって蓄積されてきた国家の財産であり、国民の資産です。それを無視し、役員報酬をわずかに減額しただけで責任を取ったふりをする態度は、日本国民に対する背信行為であり、国民として断固として許しがたい。
私は、『「ゆうちょマネー」はどこへ消えたか』の共著者である菊池英博氏とともに、5月8日付で、いま述べた趣旨で、長門社長に対して辞任勧告書を提出しました。
いまこそ、郵政私物化の実態にメスを入れ、郵政の在り方について根本から見直すべきです。
『月刊日本』2017年9月号
マハティール・モハマド×稲村公望「戦争は解決策にならない」
マハティール氏は、1981年から2003年までの22年間にわたりマレーシア首相を務め、同国の国際的な地位を飛躍的に上昇させた。今年設立50周年を迎えた東南アジア諸国連合(ASEAN)の拡大に力を尽くすとともに、東アジアの団結を訴えてきた。首相引退後も国内外で活発な発言を続けている。アメリカの衰退、中国の台頭、朝鮮半島情勢の緊迫化の中で、日本外交はどうあるべきなのか。6月上旬、来日中のマハティール氏に聞いた。
戦争は問題の解決にならない
稲村 南シナ海などでの中国の活動が活発になっています。これに対して、2013年には、フィリピンのアキノ前政権が、南シナ海における中国の主張や行動は国連海洋法条約違反だとしてオランダ・ハーグの仲裁裁判所に提訴しました。仲裁裁判所は2016年7月、中国が設定した「九段線」には「法的根拠はない」と認定する裁定を公表しました。
マハティール 仲裁裁判所への提訴というフィリピンのやり方は、適当ではありませんでした。中国と同じテーブルに座って交渉をすることが大切です。マレーシアの場合も、南シナ海のスプラトリー諸島の領有権を主張しています。我々は、中国とテーブルにつき、中国の補給線を侵す意図はないことを彼らに説得することが重要です。
稲村 1967年に東南アジア諸国連合(ASEAN)が創設された背景にも、中国の台頭がありました。マレーシアの国境でも中国共産党の活動がありました。
マハティール ASEANが創設された時代と現在とでは状況が違います。当時、中国は単なる発展途上国の一つでしたが、現在中国はアメリカに次ぐ経済大国となりました。人口は、なんと14億人にも達しています。さらに中国は軍事的にもアメリカに対抗するような力を持っています。
東南アジアは、中国と2000年の付き合いがあります。しかし、我々は中国に支配されたことはありません。ところがいま、中国は途方もなく強大化し、アジア各国はそれを不安に思っています。この地域に巨大な軍事力は必要ありません。アメリカが軍艦を派遣しても、問題の解決にはなりません。
好むと好まざるとにかかわらず、中国とアメリカ、日本との対立は拡大していくでしょう。そうなれば、中国との間で紛争が起きる可能性があります。それは大きな戦争につながりかねません。つまり、戦争は解決策にはならないということです。対話によって、対立を抑制するしかありません。
経済協定などに中国を関与させることが重要です。それが、中国が軍備の増強や政治支配の強化よりも、経済に目を向けさせることにもつながります。
核戦争が起きれば、全世界が被害を受ける
稲村 現在、核・ミサイルの開発を推進する北朝鮮とアメリカの緊張が高まっています。かつて、36年にわたって朝鮮半島を統治した日本は、アメリカと北朝鮮が対話のテーブルに着くことを後押しすべきではないでしょうか。日本は、東アジアの平和と安定のために指導力を発揮すべきだと思います。
マハティール 日本と朝鮮半島との間には、長い付き合いがあります。現在、北朝鮮の核・ミサイル開発が問題になっていますが、経済制裁や軍艦の派遣で問題は解決しません。外交努力なしには、平和は達成されないのです。日本は、軍事的な手段によらず、国際紛争を解決するために指導力を発揮すべきです。
稲村 アメリカは北朝鮮に対する経済制裁を強めていますが、歴史を見ても、経済制裁によって問題が解決されたことはありません。かつての対日石油禁輸も、結局日本を戦争に追いやっただけでした。北朝鮮は、自らの生き残りのために必死のように見えます。
マハティール 北朝鮮は、核戦争でも通常戦争でも問題は解決しないことを、きちんと理解すべきです。いま核戦争が起きれば、その被害の大きさは広島と長崎の原爆の比ではありません。全世界に放射能が広がり、全世界が被害を受けることになります。通常兵器による戦争でも大被害になります。もはや戦争を起こしてはならないということです。
監視カメラを増やしてもテロは防げない
稲村 テロの問題も、世界の平和と安定にとって脅威です。
マハティール マンチェスター、ロンドン、パリなど各地でテロリズムが発生しています。これに対してヨーロッパの人々の怒りが高まっており、彼らはセキュリティー対策を強化してテロと戦おうとしています。しかし、それでは問題を根本的に解決することはできません。
マレーシアにはテロに勝利した経験があります。テロリストに対する心理作戦を展開したのです。テロを支持している国民の心を得るために努力したのです。銃や監視カメラを増やしたところで、テロをなくすことはできません。テロを起こそうと考える人の心を変えるしかありません。
普通の人間が次々に自爆テロを行っています。攻撃を受けた人々は、怒りと不満を溜めています。怒りの連鎖を断ち切らなければなりません。忘れてはならないのは、イラク、イエメン、シリアに対する空爆によって、テロによるよりも多くの命が奪われたという事実です。
イスラエルとパレスチナの問題も解決されていません。この問題において、日本は一方の肩を持つべきではありません。日本は双方に対してテーブルに着いて対話させることに努力すべきです。
稲村 2年前の本誌インタビューにおいて、あなたは「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)はマレーシアの『大安売り』になる」と、明確にTPPに反対しました。アジアの哲人政治家としての叡智を感じるコメントでした。そして、幸運なことにトランプ政権が誕生し、TPPからの離脱を決定しました。
マハティール 多国間の経済協定という考え方自体は悪くありません。しかし、TPPは、強者による一方的な枠組みでした。政府を訴えて巨額の賠償を得るという権限を、多国籍企業に、一方的に与えたことが問題でした。多国籍企業が各国の政府の上位に立ってしまうということです。
TPPには米国や多国籍企業に有利な内容が盛り込まれていました。アメリカが離脱した今、TPPの問題点が改善できれば、中国がそれに加わる可能性も出てくるでしょう。
貿易をめぐっては、各国がそれぞれに独自の問題を抱えています。したがって、貿易交渉においては、相互に相手を尊重する必要があります。
稲村 国家指導者として、あなたはどのような信念を持って、国家の発展に取り組んできたのでしょうか。
マハティール 人間の力も含め、国が持っている資源をどう効果的に使うかが重要です。だからこそ、私は1981年に首相に就任するとすぐに、イギリス一辺倒の外交路線を転換し、「ルックイースト(東方を見よ!)」政策を打ち出し、日本や韓国などの東アジア諸国から、労働倫理や経営手法などを学び、マレーシアの発展に役立てようとしたのです。
(構成 坪内隆彦)
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